生命保険の見直しはいつ・何から?結婚・出産・住宅購入・子の独立・転職・定年ごとに確かめること|公的保障を先に数える順番、解約前の確認、保険料控除の区分が変わるか
生命保険の見直しは、「今の契約の中身」と「公的保障・会社の保障で出る分」を先に数え、そのあとで保険を変える方法を選ぶ順番で進めます。生命保険文化センターは、年齢、家族構成、生活環境の変化に伴って保障ニーズは変わるため、加入時にぴったりだった保険も見直すことが大切、と説明しています。この記事は入る・やめるを勧めるものではなく、「いつ・何を確かめるか」の順番を原典で整理したものです。
見直しを進める順番
次の3つを、この順に見ます。
- 1. 今の契約の中身を確かめる:生命保険文化センターは、契約内容を確認する手段として保険証券、ご契約のしおり、保険会社からの通知(契約内容のお知らせ)を挙げ、なかでも基本的な契約内容が載る保険証券が最も重要としています。
- 2. 公的保障と会社の保障で出る分を引く:万一のときの遺族年金、会社の死亡退職金、住宅ローンの団信、病気で働けないときの傷病手当金は、民間の保険に頼る前に数える部分です。これを引いてもなお不足があるかを見ます。
- 3. 変える方法を選ぶ前に、解約・乗換えの影響を確かめる:解約返戻金、新しい契約の告知、保障が始まる時期、保険料控除の区分が、ここで変わります。
保険料の相場や、どの保険会社・どの商品がよいかは、この記事では取り上げません。特定の商品や会社は勧めません。
きっかけごとに確かめること
下の表は、見直しのきっかけごとに、何を確かめるかを整理したものです。詳しい数え方は右の記事・ツールにあります。
| きっかけ | 確かめること | 詳しく見る |
|---|---|---|
| 結婚 | 遺される家族ができたか。万一のときの不足額(支出見込額から収入見込額を引いたもの)を、今の保障と見比べる | 必要保障額の計算 |
| 出産 | 遺族基礎年金は、18歳到達年度の末日までの子のいる配偶者か子が受け取る。子どもの医療費や教育費は、公的な助成と保険の重なりを確かめる | 子どもの保険は必要? |
| 住宅購入 | 団信は、ローン利用者が死亡や所定の高度障害状態になったとき、保険金が債務の返済に充てられる仕組み。死亡保障が重なっていないか | 収入保障保険は必要? |
| 子の独立 | 必要保障額は子の生活費や教育費の見込みが減ると小さくなる。保障を減らす方法は、保険金の減額、特約の解約、更新時に保障額を減らす、など | 必要保障額の計算 |
| 転職 | 転職先の死亡退職金の規程、加入する健康保険(傷病手当金・付加給付の有無)が変わる。働けなくなったときの備えを、公的保障で数え直す | 就業不能保険は必要?・健保組合の付加給付 |
| 定年・退職 | 遺族厚生年金は、在職中の死亡などと、老齢厚生年金の受給権者などの死亡とで要件が分かれる。定年後の働き方で医療・がんの備えを見直すか | 医療保険は必要?・がん保険は必要? |
| 更新の通知が届いた | 更新すると保険料は更新時の年齢・保険料率で再計算され、一般的に更新前より高くなる。更新しない・保障額を減らして更新するなら、更新の2か月前などの期限までに申し出る | 生命保険料の平均 |
| 遺族年金の見直し(2028年4月)が気になる | 遺族厚生年金の男女差の解消と、子のいない60歳未満の配偶者への原則5年の有期給付化など。すでに受給している人、配偶者との死別が60歳以上の人などは影響を受けない | 遺族年金の改正 |
※生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引」「生命保険Q&A」「ひと目でわかる生活設計情報」、日本年金機構の遺族基礎年金・遺族厚生年金のページで、2026年10月3日に確認しました。
会社員の公的保障を先に数える
万一のときに必要な金額について、生命保険文化センターは「支出見込額から収入見込額を引いた不足額が必要保障額の目安」とする考え方を示し、会社員の場合は遺族厚生年金や企業保障である程度まで保障される、としています。数える対象は次の4つです。
- 遺族年金:遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が年金額の基本です。在職中の死亡などでは、厚生年金の加入期間が300月(25年)未満でも300月とみなして計算します(日本年金機構)。
- 会社の死亡退職金:会社の退職金規程などに定めがあれば出ます。会社によって違うため、規程で確かめます。
- 住宅ローンの団信:団信に入っているローンは、死亡や所定の高度障害状態のとき、保険金で債務残高が返済に充てられます。
- 傷病手当金:協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などに加入する本人が、病気やケガで仕事を休み給料が減額または支給されないときの生活保障で、同一の疾病・負傷について通算1年6か月が限度です(生命保険文化センター)。
遺族年金の家族の形ごとの出し方は収入保障保険は必要か、働けない期間の収入は就業不能保険は必要か、個人賠償や火災保険の特約との重なりは個人賠償責任保険は必要か・火災保険の家財は必要かに原典があります。2028年4月の遺族年金の見直しは遺族年金の改正で確かめられます。
解約・乗換えの前に確かめること
生命保険文化センターの手引は、現在の保険を解約して新しい保険に乗り換えると、契約年齢が上がるため保険料が割高になる場合や、健康状態によっては新たに契約できない場合がある、と注意しています。次の表で、解約・乗換えの前に確かめる点を整理します。
| 確かめること | 原典の説明 |
|---|---|
| 解約返戻金はいくらか | 保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などで異なり、通常は払い込んだ保険料総額より少ない。契約後短期間や、定期保険など保障性の高い商品は、まったくないか、あってもごくわずか |
| 解約すると戻せない | 解約した時点で契約は消滅して保障がなくなり、もとに戻せない。再び契約すると、年齢が上がって保険料が割高になったり、保険料の割増など特別条件が付いたり、契約できなかったりすることがある |
| 新しい契約の告知 | 契約者・被保険者は、保険会社が告知を求めた重要事項について事実を告げる義務がある(保険法第37条)。告知の相手は保険会社(告知書)か保険会社が指定した医師で、担当者に口頭で話しても告知したことにならない(生命保険文化センター) |
| 新しい契約の保障が始まる時期 | 申込み・告知(診査)・第1回保険料の払込みが済み、保険会社が承諾したとき、告知・診査日と払込日のいずれか遅い方にさかのぼって責任が始まる(口座振替は一般に、払込みを待たず申込みと告知の完了時点) |
| 解約する順番 | 手引は「新しい生命保険の契約成立後に解約手続きを行うなど、慎重に対応することが必要」としている |
| 転換(下取り)の場合 | 現在の契約の積立部分などを新しい契約にあてる方法で、元の契約は消滅する。同じ生命保険会社でのみ使え、告知が必要。転換時の予定利率が下がると保険料が上がることがある。転換後の契約はクーリング・オフの対象 |
| 乗換えの説明を受けるとき | 保険業法第300条第1項第4号は、不利益となるべき事実を告げずに、既存の契約を消滅させて新しい契約を申し込ませる行為を禁じている。何が不利益かは契約ごとに違うため、上の項目を自分で比べる |
※生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引」(その3)・「生命保険Q&A」(解約する場合の留意点・告知・保障の開始時期)、保険法第37条、保険業法第300条で、2026年10月3日に確認しました。商品ごとの免責期間や条件は、契約概要・約款で確かめてください。
保険料控除の区分が変わるか
保険を変えると、生命保険料控除の区分も変わることがあります。国税庁のタックスアンサーによると、平成24年1月1日以後に締結した契約(新契約)と、平成23年12月31日以前に締結した契約(旧契約)とで、控除の取扱いが異なります。
| 契約を結んだ日 | 医療保険の区分 | 一般の生命保険料の控除(所得税) |
|---|---|---|
| 平成23年12月31日以前(旧契約) | 旧生命保険料(一般の生命保険料の区分) | 年間10万円超で一律5万円(最高) |
| 平成24年1月1日以後(新契約) | 介護医療保険料(別の区分) | 年間8万円超で一律4万円(最高) |
※国税庁タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」・No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」(令和8年4月1日現在法令等)で、2026年10月3日に確認しました。ほかに個人年金保険料の区分があり、新旧の両方がある場合は別の計算になります。全体の合計の上限は12万円です。
見直しで気をつけたいのは、旧契約を更新・転換・特約の中途付加すると、その契約全体が新契約として扱われる点です(所得税法第76条第10項、国税庁質疑応答事例、生命保険文化センター)。同じ保険料でも、控除の計算表と上限が新契約のものに変わります。23歳未満の扶養親族がいる場合の特例は生命保険料控除の23歳未満の特例、控除でいくら戻るかは生命保険料控除でいくら戻るにあります。
保険料を減らしたときの家計の試算
次は、見直しで保険料を減らしたときの家計の動きを、当サイトで試算した1例です。保険料の金額は説明のための仮定で、平均や相場ではありません。
- 平成24年1月1日以後に締結した、一般の生命保険料(新生命保険料)の契約のみ
- 年間の保険料を12万円(月1万円)から6万円(月5,000円)に減らす
- 所得税率10%、23歳未満の扶養親族なし、剰余金・割戻金なし。復興特別所得税と住民税は含めない
| 項目 | 見直し前 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 年間の保険料 | 120,000円 | 60,000円 |
| 生命保険料控除(所得税) | 40,000円(8万円超は一律) | 35,000円(6万円×1/4+2万円) |
| 控除の減少による所得税の増加 | ― | 約500円(5,000円×10%) |
| 1年間の家計の差(保険料の減少−税の増加) | ― | 約59,500円 |
| 同じ条件で10年間 | ― | 約595,000円 |
※当サイトの試算です。控除額は国税庁タックスアンサー No.1140 の新契約の表(年間支払保険料等が2万円以下は全額、2万円超4万円以下は1/2+1万円、4万円超8万円以下は1/4+2万円、8万円超は一律4万円)で計算しました。
この試算に入っていないものがあります。保険料を減らした分だけ保障も変わるため、浮いた金額が、減った保障の不足を貯蓄でまかなえる範囲かは別に数える必要があります。また解約返戻金や、新しい契約の保険料は含めていません。自分の保険料で計算するときは、生命保険料控除でいくら戻るの計算機が使えます。
よくある質問
Q. 生命保険の見直しは、どんなときにするものですか?
A. 生命保険文化センターの手引は、年齢、家族構成、生活環境の変化などに伴い保障ニーズは変化するため、加入したときはぴったりだった生命保険でも、変化にあわせて見直すことが大切、と説明しています。結婚・出産・住宅購入・子の独立・転職・定年のほか、定期保険や医療保険の更新の通知が届いたときも確かめる機会です。
Q. 見直しは、今の保険を解約して新しく入る方法しかありませんか?
A. 生命保険文化センターの手引は、見直しの方法として、追加契約、特約の中途付加、転換、保険金の減額、特約の解約を挙げています。保障を減らす方法には、保険金の減額や特約の解約があり、減らした分の保険料が安くなります。どの方法が使えるかは生命保険会社と契約によって違うため、保険証券を見ながら保険会社に確かめてください。
Q. 古い保険を更新したり転換したりすると、保険料控除はどうなりますか?
A. 平成23年12月31日以前に締結した契約(旧契約)でも、平成24年1月1日以後に新契約を附帯して締結した場合は、同日以後に締結した契約とみなされます(所得税法第76条第10項)。国税庁の質疑応答事例は、新契約とみなされる契約変更等には、主契約や特約の更新も含まれると説明しています。生命保険文化センターは、更新・転換・特約の中途付加(保障のない特約は除く)をした契約全体が新制度の対象になる、としています。
Q. 解約すれば、払い込んだ保険料は戻ってきますか?
A. 生命保険文化センターは、解約返戻金は保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などによって異なり、通常は払い込んだ保険料総額より少なく、契約後短期間での解約や定期保険など保障性の高い商品では、まったくないか、あってもごくわずかと説明しています。自分の契約でいくらになるかは、保険会社に確かめてください。
参考・出典
- 生命保険文化センター:生命保険の契約にあたっての手引(その3:生命保険の見直しと留意点)・保障内容を変更したいときは?・解約する場合の留意点は?・契約の「更新」って何?・病歴があったのに告知するのを忘れていたら?・申込みをした後、いつから保障が始まるの?・新旧両制度で対象契約がある場合の生命保険料控除は?
- 生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」:公的な遺族年金の仕組み・遺族年金の見直し・傷病手当金と障害年金・必要保障額の算出方法・団体信用生命保険
- 日本年金機構:遺族基礎年金・遺族厚生年金
- e-Gov法令検索:保険業法(第300条)・保険法(第37条・第55条)・所得税法(第76条)
- 国税庁:No.1140 生命保険料控除・No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等・質疑応答事例 傷害特約付生命保険契約の特約の更新
※2026年10月3日現在に生命保険文化センター・日本年金機構・e-Gov・国税庁で確認した内容で、制度や法令は変わることがあります。解約返戻金、更新、転換、告知の扱いは、保険会社と契約ごとに異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではなく、見直しの判断は保険証券と保険会社の説明で行ってください。