低解約返戻金型終身保険とは?しくみ、メリット・デメリット、途中解約で元本割れする期間、払済保険、保険料控除の区分
低解約返戻金型終身保険は、生命保険文化センターの説明では、保険料払込期間中など一定期間の解約返戻金を通常より抑えることで、保険料を割安にした終身保険です。終身保険は払込期間中に解約すると、解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回ることがほとんどです。この記事は加入や解約を勧めるものではなく、会社に勤めている方が、設計書を見る前に、しくみ、途中で解約したとき、払い込みが難しくなったとき、保険料控除の区分を原典で確かめられるように整理したものです。
低解約返戻金型終身保険のしくみと、時期ごとの解約返戻金
終身保険は、死亡保障が一生涯続く保険です。満期保険金はなく、期間の経過とともに解約返戻金が増えていきます(生命保険文化センター)。低解約返戻金型は、この終身保険のうち、保険料払込期間中など一定期間の解約返戻金を通常より抑えることで保険料を割安にした商品です。同じ保険金額なら、一般的に保険料は低くなりますが、そのぶん、抑えられている期間に解約したときの返戻金は少なくなります。時期ごとの解約返戻金と、設計書で確かめることを並べます。
| 時期 | 解約返戻金 | 確かめること |
|---|---|---|
| 契約から間もない時期 | 契約後短期間での解約は、まったくないか、あってもごくわずか | 設計書の解約返戻金の表の1年目、5年目などの金額 |
| 返戻金を抑えている期間(保険料払込期間中など) | 通常の終身保険より少ない。払込期間中の解約は、払込総額を下回ることがほとんど | 抑えられている期間がいつまでか。払込期間と同じとは限らない |
| 抑えている期間が終わったあと | 期間の経過とともに増えていく(終身保険一般)。増え方と水準は商品ごと | 払込総額を返戻金が上回るのは何年目か |
| 解約せずに亡くなったとき | 死亡保険金を受け取る。解約返戻金は受け取らない | 保険金額と、払込を続けられる期間 |
※生命保険文化センター「終身保険」「用語辞典」「生命保険Q&A(解約する場合の留意点は?)」で、2026年10月3日に確認しました。返戻金を抑える期間の長さと、期間が終わったあとの金額を述べた数値は、生命保険文化センターの説明にありません。当サイトでは返戻率の目安は示しません。保険会社の設計書で確かめてください。
解約返戻金は、保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などで変わり、通常は払い込んだ保険料の総額より少ない、と生命保険文化センターは説明しています。一時払にした場合でも、経過期間などによっては、解約返戻金が一時払保険料を下回ることがあります。養老保険との違いは養老保険のメリット・デメリットに整理しています。
メリットとデメリット
生命保険文化センターの説明と、解約返戻金の仕組みから、確かめる点を整理します。どちらが大きいかは、保険金額、払込期間、解約する可能性で変わります。
- 保険料が割安になる:生命保険文化センターは、低解約返戻金型は一般的に保険料が割安となっていると説明しています。割安になる幅は商品ごとに異なります。
- 保障が一生涯続く:終身保険は死亡保障が一生涯続きます。保障が必要な期間が決まっている場合は、定期保険など保険期間が決まった保険もあります(生命保険文化センター Q&A「定期保険・養老保険・終身保険の違いは?」)。
- 途中で解約すると少ない:抑えられている期間に解約すると、返戻金は通常型より少なく、払込総額を下回ることがほとんどです。「貯蓄のつもりで入って、途中で解約した」という使い方には向きません。
- 返戻金をもとにする手続きに影響する:払済保険や延長保険は、その時点の解約返戻金をもとに変更するため、返戻金が少ないと、変更できないことがあります(生命保険Q&A「保険料の払込みが困難になったときは?」)。
- 払込期間の選び方:払込期間は、一定期間または一定年齢までの「有期払」と、一生涯の「終身払」があります。一般的に終身払は有期払より毎回の保険料が安くなりますが、払込が一生涯にわたることを考える必要があります(生命保険文化センター)。
- 外貨建てなどは別の確認が要る:終身保険には、外貨建てや市場価格調整(MVA)を利用した商品もあり、これらは市場リスクのある商品です。契約時に市場リスクを確認することが必要です。
保険金額を決めるときの順番は、後ろの「終身保険が必要かを考える順番」にまとめています。
払い込みが難しくなったとき(払済保険など)
払い込みが難しくなっても、解約せずに保障を続ける方法として、生命保険文化センターは次の3つを挙げています。
- 減額:保険金額を減らす分だけ、それ以降の保険料の負担を軽くする方法です。減額した部分は、解約したものとして取り扱われます。
- 延長(定期)保険への変更:払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、死亡・高度障害保障のみの定期保険に変更する方法です。保険期間が短くなることがあります。
- 払済保険への変更:払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間をそのままにして、保障額の少ない保険に変更する方法です。付加している特約は消滅します。
延長保険と払済保険は、解約返戻金が少ない場合は変更できないことがあります。低解約返戻金型は、返戻金が抑えられている期間があるため、変更できるか、変更後の保障額がいくらかを、保険会社に確かめてください。払済保険にしたときや解約したときの税金は生命保険を解約したときの税金にまとめています。
保険料控除の区分
国税庁のタックスアンサーNo.1141では、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約で、保険金等の受取人のすべてが保険料を払う方またはその配偶者その他の親族であるものが、生命保険料控除の対象です。終身保険は死亡に基因して保険金が支払われる保険なので、一般の生命保険料に当たります(当サイトの読み。区分は保険会社の控除証明書で確かめてください)。控除額は、契約した時期で式が分かれます(No.1140)。
| 契約した時期 | 区分 | 控除額の上限 |
|---|---|---|
| 平成24年1月1日以後 | 新契約の新生命保険料 | 4万円(年間の支払保険料等が8万円超で一律) |
| 平成23年12月31日以前 | 旧契約の旧生命保険料 | 5万円(年間の支払保険料等が10万円超で一律) |
| 新契約で、23歳未満の扶養親族がいる(令和8年分・令和9年分) | 新契約の新生命保険料 | 6万円(年間の新生命保険料が12万円超で一律) |
※国税庁タックスアンサーNo.1140・No.1141(令和8年4月1日現在法令等)、e-Gov 租税特別措置法第41条の15の5で、2026年10月3日に確認しました。新契約と旧契約の双方に加入している場合の計算、介護医療保険料・個人年金保険料との合計の上限(12万円)は、国税庁のNo.1140で確かめてください。
租税特別措置法第41条の15の5は、23歳未満の扶養親族がいる場合に新生命保険料の控除額の上限を6万円とする特例を、令和8年分と令和9年分の所得税について定めています(国税庁のタックスアンサーNo.1140は「令和8年分以降」と書いています)。条件は生命保険料控除の23歳未満の特例に、控除でいくら戻るかは生命保険料控除でいくら戻るにあります。
終身保険が必要かを考える順番
低解約返戻金型かどうかの前に、一生涯の保障が必要かを先に決めます。生命保険の見直しの順番は生命保険の見直しはいつ・何から?に、遺族年金など公的保障を先に数える手順があります。そのうえで、次を確かめます。
- 保障が必要な期間:子どもが独立するまでなど期間が決まっているのか、一生涯なのか。生命保険文化センターは、万一のとき家族にできるだけ多くのお金を残したい場合は、定期保険は少ない保険料で多くの保険金を準備できる「保障機能」に優れていると説明しています。
- 貯蓄の役割を求めるか:終身保険は解約したときに解約返戻金が戻ってきますが、預貯金のように「預けたお金が増えて戻ってくる」とは限りません。払込期間中に解約する可能性があるなら、低解約返戻金型は返戻金が少ない期間があります。
- 払い続けられるか:払込期間の終わりまで、保険料を払い続けられる収入があるか。払えなくなったときの手続き(払済保険など)は、返戻金が少ないとできないことがあります。
- 相続での扱い:被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税の課税対象ですが、受取人が相続人なら、500万円に法定相続人の数を掛けた額まで非課税です(国税庁No.4114)。保険金額を決める前に、受取人と相続人の数を確かめておきます。
変額保険など、運用実績で金額が変わる保険との違いは変額保険のデメリットにあります。
よくある質問
Q. 低解約返戻金型終身保険とは何ですか?
A. 生命保険文化センターの説明では、保険料払込期間中など一定期間の解約返戻金を通常より抑えることで、保険料を割安にした終身保険です。終身保険は死亡保障が一生涯続き、満期保険金はなく、期間の経過とともに解約返戻金が増えていきます。低解約返戻金型は一般的に保険料が割安とされますが、抑えられている期間に解約すると、返戻金は少なくなります。
Q. 低解約返戻金型終身保険を途中で解約すると、元本割れしますか?
A. 生命保険文化センターは、終身保険は保険料払込期間中に解約した場合、解約返戻金が保険料払込総額を下回ることがほとんどだと説明しています。解約返戻金は、保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などで異なり、契約後短期間での解約では、まったくないか、あってもごくわずかです。低解約返戻金型は、その返戻金を通常より抑えた商品です。抑えられている期間がいつまでか、払込総額を返戻金が上回るのは何年目かは、保険会社の設計書(解約返戻金の表)で確かめてください。
Q. 低解約返戻金型終身保険の保険料は、生命保険料控除の対象ですか?
A. 国税庁のタックスアンサーNo.1141では、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約で、保険金等の受取人のすべてが保険料を払う方またはその配偶者その他の親族であるものが、生命保険料控除の対象です。平成24年1月1日以後に締結した契約は新契約の「新生命保険料」、平成23年12月31日以前に締結した契約は旧契約です。保険期間が5年未満の貯蓄保険などは含まれません。保険会社から届く控除証明書に、区分と金額が書かれています。
Q. 保険料を払い続けるのが難しくなったら、どうなりますか?
A. 生命保険文化センターは、解約しないで保障を続ける方法として、保険金の減額、延長(定期)保険への変更、払済保険への変更を挙げています。払済保険や延長保険は、その時点の解約返戻金をもとに変更するため、解約返戻金が少ない場合は変更できないことがあります。低解約返戻金型は返戻金が抑えられている期間があるため、変更できるか、変更後の保障がいくらになるかを、保険会社に確かめてください。
Q. 終身保険の死亡保険金に、相続税はかかりますか?
A. 国税庁のタックスアンサーNo.4114では、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は相続税の課税対象です。受取人が相続人の場合、受け取った保険金の合計額が「500万円 × 法定相続人の数」の非課税限度額を超えると、超える部分が課税対象になります。相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、非課税の適用はありません。
参考・出典
- 生命保険文化センター:主契約の種類 終身保険・用語辞典・解約する場合の留意点は?・保険料の払込みが困難になったときは?・定期保険・養老保険・終身保険の違いは?
- 国税庁タックスアンサー:No.1140 生命保険料控除・No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等・No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
- e-Gov法令検索:租税特別措置法(第41条の15の5)
※2026年10月3日現在に生命保険文化センター・国税庁・e-Govで確認した内容で、制度や法令は変わることがあります。低解約返戻金型の返戻金を抑える期間、解約返戻金の額、変更の可否は、保険会社と契約ごとに異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではなく、加入・解約・変更の判断は保険証券と設計書、保険会社の説明、税の判断は税務署の案内で行ってください。