子どもの保険は必要?子ども医療費助成・高額療養費・学校の災害共済給付で先に出る分と、それでも残る負担|学資保険との違い、保険料控除の対象か

子どもの保険を契約するかどうかは、子ども医療費助成、高額療養費、学校の災害共済給付で先にいくら出るかを数えたあとに、残る負担を見て決めます。こども家庭庁の調査では、令和7年4月1日現在、全ての都道府県と市区町村が子どもの医療費の助成を実施していて、市区町村では通院・入院とも18歳年度末までが最も多い対象年齢です。ただし、対象年齢・所得制限・自己負担は自治体ごとに違い、差額ベッド代など保険診療ではない費用は、横浜市の案内でも助成の対象外とされています。

子どもの保険を決める順番

子どもの病気やけがの費用について、民間の保険を考える前に確かめたい仕組みが次の3つです。契約を決める前に、この順に自分の家族で何が出るかを確かめます。

  • 1. 住んでいる自治体の子ども医療費助成:保険診療の自己負担額が対象です。対象年齢、所得制限、一部自己負担の有無は自治体で違います。
  • 2. 高額療養費:ひと月の医療費の自己負担が上限額を超えたとき、超えた額が支給される医療保険の制度です。
  • 3. 学校の管理下のけがは、日本スポーツ振興センターの災害共済給付:療養に要する費用の額が5,000円以上の負傷や、内閣府令で定める疾病が対象です。

そのうえで、これらの原典の説明に含まれない部分が、民間の保険で備えるかを考える対象になります。具体的には、入院の差額ベッド代など保険診療ではない費用、付き添う親の休業や交通費、そして他人にけがをさせたり物を壊したりしたときの賠償です。賠償については個人賠償責任保険は必要かに原典があります。

保険料や保険金額の相場は、この記事では取り上げません。保険商品によって補償の内容が大きく違うため、特定の商品や会社は勧めません。

場面ごとに、先に出る分と残る負担

自治体、学校、加入している健康保険によって、実際の取り扱いは違います。下の表は、以下に出てくる原典の説明をもとに、場面ごとに整理したものです。

起きたこと公的に出るもの残る負担
風邪や中耳炎などで通院した 健康保険の給付に加えて、自治体の子ども医療費助成が自己負担額を助成する(横浜市は令和8年6月から18歳年度末まで全額助成) 自治体によっては一部自己負担。保険診療ではない費用は対象外
学校の体育や休み時間にけがをした 日本スポーツ振興センターが、療養に要する費用の額の4/10を医療費として給付(5,000円以上の場合) 給付の対象にならなかった分(5,000円未満など)。横浜市は、対象外の分を助成で払い戻す
休日の習い事や遊びでけがをした 健康保険と自治体の助成。学校の管理下の範囲(授業・課外指導・休憩時間・通学)に当たる場合は災害共済給付 学校の管理下の範囲に当たらない場合は災害共済給付の対象外
入院して治療費が高額になった 高額療養費(厚生労働省の例:70歳未満・年収約370万円〜約510万円で、医療費100万円なら自己負担は約9.3万円まで)。自治体の助成は、先に出る高額療養費などを除いて支給する(横浜市の例) 差額ベッド代、文書料、診断書代など保険診療ではない費用
入院に親が付き添い、仕事を休んだ 上の3つの制度の原典の説明には、付き添う親の休業や交通費は含まれていない 親の休業による収入の減少、付き添いの交通費など
子どもが他人にけがをさせた・物を壊した 上の3つは、子ども本人の医療費の仕組み。相手への賠償は含まれない 賠償責任そのもの(個人賠償責任保険などで備える領域)

※こども家庭庁「令和7年度『こどもに係る医療費の助成についての調査』」、横浜市「小児医療費助成」、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」、日本スポーツ振興センター「災害共済給付制度」で、2026年10月3日に確認しました。横浜市の記述は一例で、他の自治体は条件が違います。付き添いの行は、確認した原典に説明が無かったという意味で、公的な支援が全く無いという意味ではありません。

付き添う親の交通費が医療費控除の対象になるかは、子供の医療費は医療費控除の対象かに書いてあります。

子ども医療費助成は自治体で違う

こども家庭庁の調査によると、令和7年4月1日現在、全ての都道府県と市区町村が子どもの医療費の助成を実施しています。実施状況の件数は次のとおりです。

項目通院入院
都道府県:最も多い対象年齢 就学前(17都道府県) 15歳年度末(15都道府県)
都道府県:所得制限なし 26都道府県 27都道府県
都道府県:自己負担なし 13都道府県 16都道府県
市区町村:最も多い対象年齢 18歳年度末(1,576市区町村) 18歳年度末(1,600市区町村)
市区町村:所得制限なし 1,692市区町村 1,693市区町村
市区町村:自己負担なし 1,319市区町村 1,410市区町村

※こども家庭庁「令和7年度『こどもに係る医療費の助成についての調査』」の別紙1(令和7年4月1日現在。実施市区町村数は通院・入院とも1,741)。都道府県は市区町村への補助の基準で、住んでいる市区町村が実際に実施する内容は別紙3で確認できます。2026年10月3日に確認しました。

同じ政令指定都市でも内容は違います。同じ調査の別紙3から、4つの市を一例として示します。

市(一例)対象年齢(通院・入院)所得制限・一部自己負担
札幌市 通院・入院とも18歳年度末 所得制限あり、一部自己負担あり(通院・入院とも)
旭川市 通院・入院とも15歳年度末 所得制限なし、一部自己負担なし(通院・入院とも)
横浜市 通院・入院とも15歳年度末(令和7年4月1日時点) 所得制限なし、一部自己負担なし(通院・入院とも)
福岡市 通院・入院とも18歳年度末 所得制限なし、一部自己負担は通院のみあり

※こども家庭庁の同調査の別紙3(令和7年4月1日時点)から抜き出した一例です。調査の後に変わった自治体があります。横浜市は、市の案内(2026年10月2日更新)で、令和8年6月から対象年齢を18歳年度末まで拡大し、入院・通院とも保険診療の自己負担額を全額助成すると説明しています。住んでいる市区町村の最新の内容は、自治体の案内で確認してください。

横浜市以外の市区町村の対象年齢・所得制限・一部自己負担は、市区町村別 子ども医療費助成の一覧で、都道府県から選んで確かめられます。

高額な治療のとき・学校でけがをしたとき

高額な治療のとき:厚生労働省は、高額療養費制度の上限額は年齢と所得に応じて定められており、令和8年8月からは、年単位の上限額(年間上限)が新しく設けられた、と説明しています。横浜市の案内では、自分が加入する健康保険から高額療養費や付加給付金が出る場合は、その額を除いて助成を支給します。そのため、先に健康保険の側の支給を受け、支給決定通知書を受け取ってから助成を申請します。この順序や手続きは、加入している健康保険と自治体によって違うため、確認が必要です。

学校でけがをしたとき:日本スポーツ振興センターの災害共済給付は、学校の管理下で生じた負傷で、療養に要する費用の額が5,000円以上のものが対象です。医療費の給付額は、療養に要する費用の額の4/10で、これは国民健康保険の自己負担3/10に、療養に伴って要する費用として1/10を加えたものです。学校の管理下は、授業中、学校の教育計画に基づく課外指導(部活動など)、休憩時間、通常の経路での通学などです。給付は学校の設置者が保護者の同意を得て加入契約を結ぶ仕組みで、共済掛金は保護者と設置者が負担します。

災害共済給付の対象は、子ども本人の負傷・疾病・障害・死亡です。他人への賠償は、この制度の給付の種類に入っていません。

学資保険との違い

ここまでの医療費や学校のけがの話は、子どもが病気やけがをしたときの費用です。学資保険は、進学のための教育資金を準備するものなので、備える対象が別です。

学資保険が必要かどうかは、返戻率と、ほかの積み立て方法との比較で見ます。学資保険は必要か 計算機で数字を入れて確かめられます。教育費の総額の目安は子どもの教育費の平均はいくらかにあります。

子どもの保険料は生命保険料控除の対象か

国税庁のタックスアンサーは、生命保険料控除の対象になる契約を、保険金等の受取人のすべてが、保険料を払い込む方またはその配偶者その他の親族である契約としています。原典に書かれている条件は、受取人と保険料を払い込む方の関係です。契約ごとに対象かどうかは、保険会社から届く控除証明書で確認できます。

契約の種類国税庁の説明控除の区分
生存または死亡に基因して保険金が支払われる契約(学資保険など) 平成24年1月1日以後の契約は、対象になる契約として挙げられている 新生命保険料
疾病・傷害のうち、医療費支払事由に基因して保険金が支払われる契約 平成24年1月1日以後の契約は、介護医療保険契約等として対象になる 介護医療保険料
傷害保険契約 対象にならない契約として挙げられている 対象外
保険期間が5年未満の貯蓄保険・貯蓄共済 対象にならない 対象外

※国税庁タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」・No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」で、2026年10月3日に確認しました。平成23年12月31日以前に締結した契約は取り扱いが異なります。

23歳未満の扶養親族がいる場合は、令和8年分と令和9年分に限り、新生命保険料の控除額の計算式と上限額が変わります(租税特別措置法第41条の15の5、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。控除でいくら戻るかは生命保険料控除でいくら戻る、学資保険の書き方は学資保険は年末調整で控除できるかに任せます。

よくある質問

Q. 子ども医療費助成があれば、子どもの医療保険は要りませんか?

A. この記事は、要る・要らないを決めるものではありません。横浜市の案内では、助成の対象は保険診療の自己負担額で、入院の差額ベッド代や文書料、健康診断など保険給付とならないものは助成の対象外とされています。こうした費用が家計にとってどの程度の負担かは、家族の収入や貯蓄で変わります。助成の範囲を確かめたうえで、残る費用に備えるかを考えてください。

Q. 引っ越すと、子ども医療費助成の内容は変わりますか?

A. こども家庭庁の調査では、助成は各市区町村が実施し、対象年齢・所得制限・一部自己負担は自治体ごとに異なります。横浜市の案内も、市内に住所がある子どもが対象です。引っ越し先の市区町村の最新の案内を確認してください。

Q. 学校でけがをしたとき、子どもの医療証は使えますか?

A. 横浜市の案内では、市立の小・中学校等の学校管理下の負傷は、医療機関で医療証を使わず自己負担額を支払い、日本スポーツ振興センターの災害共済給付を先に請求します。給付の対象にならなかった分は、助成の払い戻し申請で戻る、と説明されています。自治体と学校種によって取り扱いが異なる可能性があるため、学校と自治体の案内を確認してください。

Q. 子どもが加入する傷害保険の保険料は、生命保険料控除の対象になりますか?

A. 国税庁のタックスアンサーは、生命保険料控除の対象になる契約から、傷害保険契約を除いています。生存または死亡に基因して保険金が支払われる契約や、医療費支払事由に基因して保険金が支払われる契約は対象になりえます。契約ごとに対象かどうかは、保険会社から届く控除証明書で確認できます。

参考・出典

※2026年10月3日現在にこども家庭庁・横浜市・厚生労働省・日本スポーツ振興センター・国税庁で確認した内容で、制度や自治体の取り扱いは変わることがあります。横浜市は自治体の一例で、他の市区町村の内容とは異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではありません。個別の事情は、住んでいる自治体、学校、加入している健康保険や保険会社にご確認ください。

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