退職日は月末と月末の1日前どちらがいい?|社会保険料は何か月分引かれる・国民年金と国保・次の会社にすぐ入るとき

退職日を自分で決められる会社員の方が、月末に辞めるか、月末の1日前に辞めるかを選ぶときの整理です。社会保険の資格を失うのは退職日の翌日なので、月末に退職すると退職月の分まで、月末の1日前に退職すると前月の分までが会社の保険料になります。退職月の分が会社の保険料になるか、国民年金と国保になるかが分かれ目です。どちらが得かは場面で変わるので、断定はしません。

退職日ごとの表(会社の保険料と自分で払うもの)

会社の健康保険・厚生年金の保険料は、資格を失う日(退職日の翌日)が属する月の前月分まで発生します。表は、退職日ごとに、退職月の分が会社の保険料になるか、自分で払う国民年金・国保になるかを並べたものです。

退職日会社の保険料自分で払うもの
月末(31日まである月なら31日) 資格喪失日は翌月1日。退職月の分まで発生する。退職月の給料から前月分と退職月分の2か月分が引かれることがある 翌月分から国民年金・国保。翌月1日に次の会社へ入れば要らない
月末の1日前(31日まである月なら30日) 資格喪失日は月末日。退職月の分は発生しない(前月分まで) 退職月の分から国民年金・国保。月末日に次の会社へ入社すれば要らない
月の途中(15日など) 月末の1日前と同じ。退職月の分は発生しない 退職月の分から国民年金・国保。国保の月割りは市区町村による

出典:健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法・国民健康保険法(e-Gov法令検索の現行版)、日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」「会社を退職したときの国民年金の手続き」。2026年10月3日確認。次の会社への入社日が決まっている場合は転職で社会保険に空白ができたらに、国保と任意継続の比べ方は任意継続と国保はどちらが安い?にまとめています。

月末と月末の1日前で変わる理由(資格喪失日は退職日の翌日)

健康保険も厚生年金も、「その事業所に使用されなくなったとき」に該当した日の翌日に資格を喪失します(健康保険法第36条、厚生年金保険法第14条第2号)。退職日が31日なら、資格喪失日は翌月1日です。

保険料は、喪失日が属する月の前月分までです。健康保険法は、前月から引き続き被保険者である者が資格を喪失した場合は「その月分の保険料は、算定しない」と定めています(第156条第3項)。厚生年金保険法も、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき保険料を徴収し(第81条第2項)、被保険者期間は資格を喪失した月の前月までを算入します(第19条第1項)。

  • 31日(月末)に退職:資格喪失日は翌月1日。「喪失した月」は翌月なので、翌月分は算定されず、退職月の分までが会社の保険料
  • 30日(月末の1日前)に退職:資格喪失日は31日で、喪失した月は退職月そのもの。退職月の分は算定されない

給料からの引かれ方は、健康保険法第167条第1項と厚生年金保険法第84条第1項に定めがあります。事業主は、前月分の保険料を報酬から控除できます。被保険者が事業所に使用されなくなった場合は、前月分とその月の分を控除できます。日本年金機構も、月末に退職した場合は前月と退職月の2か月分を退職月の給与から控除できる、と案内しています。

切り替わる先の国民年金と国保は、どちらも会社の資格を失った日から始まります。国民健康保険法は、健康保険法の被保険者を国保の被保険者としない(第6条第1号)うえで、その除外に当たらなくなった日から資格を取得するとしています(第7条)。国民年金は、日本年金機構の案内で、月末に退職した場合は翌月1日に第1号被保険者となり、月の途中で退職した場合は翌日に第1号となって、月末も第1号なら当月分から保険料を納めるとされています。

国保の保険料は市区町村が決めます(国民健康保険法第76条第1項。国民健康保険税の市区町村もあります)。月割りの数え方も市区町村で違うため、国保の額は市区町村別の国民健康保険料で確かめられます。仙台市の案内では、国保も社会保険も月末を基準に月割りで計算し、切り替えても同じ月分を重複して払うことはない、とされています。

計算例(月給30万円の場合)

計算例を1つ置きます。当サイトの試算で、次の前提です。

  • 前提:月給(標準報酬月額)30万円、40歳未満(介護保険料なし)、協会けんぽの東京都の令和8年度の料率。健康保険料率は9.85%に子ども・子育て支援金率0.23%を加えた率、厚生年金保険料率は18.3%で、どちらも会社と折半した本人負担分
  • 雇用保険料は退職月に関係なく給与にかかるため含めない。国民年金は令和8年度の月17,920円(日本年金機構)

本人負担は、健康保険料と子ども・子育て支援金が15,120円、厚生年金保険料が27,450円で、合わせて月42,570円です。これを使った退職月の比べ方です。

退職月に月末に退職月末の1日前に退職
会社の保険料(本人負担) 42,570円 0円
退職月の給料から一度に引かれうる額 前月分とあわせて最大85,140円 前月分の42,570円
国民年金 0円(翌月分から) 17,920円
国民健康保険 0円(翌月分から) 市区町村で決まる額(任意継続や扶養なら別)

給料から一度に引かれうる額は、日本年金機構の案内による給与計算の締切日次第の最大値です。40歳以上は介護保険料が月2,430円加わります。国保の額は、市区町村別の国民健康保険料で確かめられます。

月末に退職すると退職月の会社の保険料42,570円が出る一方、月末の1日前に退職すると、退職月は国民年金17,920円と国保(または任意継続)になります。厚生年金は将来の年金額に反映される保険料で、健康保険料は保険給付の財源です。金額の大小だけでは決められません。

どちらが得かは場面で変わる

月末と月末の1日前のどちらが得かは、次の退職後の過ごし方で変わります。

  • 次の会社の入社日が、翌月1日と決まっている:月末退職なら空白がありません。月末の1日前に退職すると、月末日の1日だけ空白になり、当月分の国民年金・国保が出ます
  • しばらく働かず、国保と国民年金に切り替える:退職月の分が、会社の保険料42,570円(月末退職)か、国民年金17,920円と国保(月末の1日前)かの違いです。国保の額は前年の所得などで市区町村ごとに違います
  • 配偶者の扶養に入る:第3号被保険者は国民年金保険料を自分で納める必要がありません(日本年金機構)。月末の1日前に退職して扶養に入れば、退職月の分の負担がない形になります。被扶養者になれるかは、配偶者の加入先の条件によります(協会けんぽ)
  • 任意継続を選ぶ:申出は資格を喪失した日から20日以内です(健康保険法第37条第1項)。保険料の比べ方は任意継続と国保はどちらが安い?にまとめています
  • 将来の年金を重くみる:次の節のとおり、退職月が厚生年金の月になるかが変わります

退職日は、保険料のほかに、有給の消化、ボーナスの支給日、失業給付の条件でも決まります。退職前に必ず確認すべき7つのことで、ほかの確認事項も並べて決められます。

次の会社にすぐ入る場合

次の会社の入社日が決まっているなら、退職日の翌日に入社して空白をなくせるかが分かれ目です。

退職日 → 入社日空白退職月の保険料
月末 → 翌月1日 なし 退職月は前の会社。翌月から次の会社
月末の1日前 → 月末日 なし 前の会社の退職月分は算定されず、次の会社の分が当月から発生する
月末の1日前 → 翌月1日 月末日の1日 月末日に会社の保険がないので、当月分は国民年金・国保

出典:健康保険法第156条第3項、日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」の例を、当サイトが退職日と入社日に当てはめたもの。入社日の1日違いで国民年金と国保が1か月分出るかが変わります。くわしくは転職で社会保険に空白ができたらにまとめています。

年金の加入月数への影響

退職日退職月は何の月か根拠
月末 厚生年金の月。国民年金第1号は翌月から 厚生年金保険法第19条第1項
月末の1日前 厚生年金の月に数えない。国民年金第1号の月になる 同項、国民年金法第11条・第11条の2

老齢厚生年金の額は、平均標準報酬額の1000分の5.481に被保険者期間の月数を乗じた額です(厚生年金保険法第43条第1項)。平均標準報酬額が30万円なら、1か月分は年額で約1,644円です(再評価率を考えない当サイトの試算)。老齢基礎年金は保険料納付済期間・免除期間の月数で決まる(国民年金法第27条)ので、第1号になった月の保険料を納めないと、その月は納付済期間に入りません。

退職で保険料の納付が難しいときは、日本年金機構が特例免除の申請を案内しています。月の数え方の違いが年金額にどれだけ響くかは、加入期間全体で変わるため、ここでは判断しません。

ボーナス月に月末で退職するとき

日本年金機構は、退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象にならないとしています。月末に退職すると、退職月は資格のある月なので、賞与からも保険料が引かれます。

当サイトの試算で、東京都・40歳未満・賞与60万円とします。本人負担は、健康保険料と子ども・子育て支援金が30,240円、厚生年金保険料が54,900円で、合わせて85,140円です。月末の1日前に退職して、賞与の支給日が退職日までなら、この賞与からは引かれません。標準賞与額は老齢厚生年金の平均標準報酬額にも入ります(厚生年金保険法第43条第1項)。

賞与の支給日に在籍していることを条件にする会社もあります。ボーナスをもらってから辞める方法はボーナスをもらって退職する方法に、賞与の保険料の仕組みは賞与の社会保険料の仕組みにまとめています。

会社に月末の1日前で処理されたとき

月末で退職するつもりなのに、会社の手続きでは月末の1日前の日付になっていた、というときの見方です。資格喪失の届出は事業主が行い、提出時期は事実発生から5日以内です(日本年金機構)。資格喪失日は退職日の翌日なので、会社が扱う退職日がどちらかで、退職月の保険料が発生するかが決まります。

  • 確かめるもの:自分が出した退職届の控え(退職日の欄)と、退職月の給与明細の社会保険料の欄です
  • 食い違うとき:まず会社の給与担当に、資格喪失日と、退職日をどの日として届け出たかを聞きます
  • 退職日そのものが争いになっているとき:退職日の扱いが違法かどうかは、ここでは断定できません。解決しないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが相談先です

退職は、何か月前に言えばよいかや、引き止められたときの進め方で変わります。退職は何ヶ月前に言えばいい?と退職を引き止められたときの断り方に分けてまとめています。

よくある質問

Q. 月末に退職すると、社会保険料は何か月分引かれますか?

A. 退職月の給料から、前月分と退職月分の2か月分が引かれることがあります。月末に退職すると資格喪失日は翌月1日で、保険料は喪失日の属する月の前月分、つまり退職月分まで発生します(健康保険法第156条第3項、厚生年金保険法第81条第2項)。日本年金機構は、月末に退職した場合は前月と退職月の2か月分を退職月の給与から控除できるとしています。給与計算の締切日によっては、前月分は前の月の給料で引かれ済みで、退職月の給料から引かれるのは1か月分になる場合もあります。

Q. 月末の1日前に退職すれば、退職月の社会保険料は払わなくてよいのですか?

A. 会社の健康保険・厚生年金の保険料は、退職月の分は発生しません(資格喪失日が退職月の末日になり、その月分は算定されないため)。そのかわり、月末に会社の保険の資格がないので、退職月の分から国民年金(令和8年度は月17,920円)と国民健康保険、または任意継続・家族の扶養のいずれかに切り替わります。次の会社に月末日までに入社する、配偶者の扶養に入るなど、退職月の分の負担が変わる場合があります。

Q. 次の会社にすぐ入社するなら、月末でも月末の1日前でも同じですか?

A. 退職日の翌日に入社して空白がなければ、どちらの退職日でも、保険料は毎月どこか1つの会社の分が発生する形になり、国民年金・国保への切り替えは要りません。違いが出るのは空白ができるときです。月末の1日前に退職して翌月1日に入社すると、月末日の1日だけ空白になり、日本年金機構の例の読み方では、月末も国民年金第1号被保険者の場合は当月分から国民年金の保険料を納めます。

Q. 退職月にボーナスが出るなら、月末退職でも社会保険料は引かれますか?

A. 日本年金機構は、退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象にならないとしています。月末に退職すると、退職月は資格のある月なので、賞与からも健康保険・厚生年金の保険料が引かれます。月末の1日前なら、退職月の賞与からは引かれません。ただし賞与の支給日に在籍していることを条件にする会社が多いので、支給日と退職日は先に確かめてください。

Q. 月末の1日前に退職すると、年金の加入月数は減りますか?

A. 厚生年金の加入月数は、退職月の分が数えられず1か月短くなります(厚生年金保険法第19条第1項)。そのかわり、退職月は国民年金第1号被保険者の月になります(国民年金法第11条・第11条の2)。老齢厚生年金の額は被保険者期間の月数に応じて決まり(厚生年金保険法第43条第1項)、老齢基礎年金は保険料納付済期間・免除期間の月数で決まります(国民年金法第27条)。第1号の月の保険料を納めない場合は、納付済期間に入りません。

Q. 会社が、こちらの希望と違う月末の1日前の日付で退職の手続きをしたときは、どうすればいいですか?

A. 保険料の発生する月は、資格喪失日(退職日の翌日)で決まります。希望の退職日を退職届に書いて提出した控えと、給与明細で、退職月の分が引かれているか、引かれていないかを確かめられます。退職日を会社がどう扱ったかの法的な評価は、ここでは断定できません。退職日そのものを会社と食い違ったまま進めているなら、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが相談先です。

参考・出典

※法令と公的機関の案内に書かれている範囲の整理で、計算例は当サイトの試算です。保険料の額は、加入する健康保険や市区町村、給与の締切日で変わります。個別の判断は、勤務先の担当者か年金事務所、市区町村の窓口に確認してください。

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