産後パパ育休(出生時育児休業)の給付金と給料|給付率67%・13%上乗せで手取り10割相当・上限・いつもらえる・働いた日の扱い・分割取得・社会保険料の免除・申請期限
産後パパ育休(出生時育児休業)を取る会社員の方が、休業中に受け取れる給付金と、給料・社会保険料がどうなるかを、法令の原文で整理した解説です。給付金(出生時育児休業給付金)は休業開始時賃金日額の67%で、条件を満たすと出生後休業支援給付金の13%が加わり、合わせて80%になります。厚生労働省は、保険料の免除と給付の非課税により、80%で手取り10割相当になると説明しています。休業は子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで、2回に分けて取れます。
給付率と金額の上限
出生時育児休業給付金は、雇用保険法第61条の8に定められた給付金です。額は、休業開始時賃金日額に、休業した日数(2回に分けたときは合算した日数、28日が上限)を掛けて、100分の67にした額です(同条第4項)。出生後休業支援給付金の要件を満たす場合は、同じ休業日数の13%が上乗せされ、合わせて80%です。
厚生労働省のパンフレットは、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険の保険料が免除され、勤務先から給与が出ない場合は雇用保険料の負担もなく、育児休業等給付は非課税なので、80%の給付率で手取り10割相当になると説明しています。ただし、休業開始時賃金日額には上限があります。
| 項目 | 金額・率 | 出典 |
|---|---|---|
| 給付率(出生時育児休業給付金) | 67% | 法第61条の8第4項 |
| 給付率(出生後休業支援給付金) | 13%(67%と合わせて80%) | パンフレット |
| 支給日数の上限 | 休業日数の合計28日 | 法第61条の8第2項・第4項 |
| 賃金日額の上限 | 16,540円(令和9年7月31日まで) | パンフレット |
| 28日分の上限額 | 67%分は310,290円、13%分は60,205円 | パンフレット |
出典:雇用保険法第61条の8(e-Gov法令検索)、厚生労働省・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)。2026年10月3日確認。上限額は16,540円×28日×67%=310,290円、16,540円×28日×13%=60,205円です。賃金日額は休業開始前6か月の賃金総額を180で割った額で、月給が6か月間一定なら、月給を30で割った額に近くなります。
出生後休業支援給付金の条件(夫婦それぞれ14日以上など)は出生後休業支援給付金の解説、育児休業給付金の額は育児休業給付金の計算方法・受給条件と計算機にまとめています。
対象者と条件
出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、次の条件をすべて満たす産後パパ育休を取ったときに支給されます(法第61条の8、施行規則第101条の31)。
- ① 取る時期と長さ:子の出生日と出産予定日のうち早い日から、遅い日から数えて8週間を経過する日の翌日までの期間内に、28日以内の期間を定めた休業であること。2回まで分けて取れます。
- ② 被保険者期間:休業を開始した日の前2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あること。パンフレットは「賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上」と説明しています。育児休業給付金と同じ要件です。
- ③ 休業中の就業:休業中に働く日数が、28日の休業で最大10日(10日を超えるときは80時間)以下であること(施行規則第101条の31)。詳しくは下の「休業中に働いた日と給料」に書きました。
- ④ 期間を定めて雇用される人:子の出生日(予定日前の出生は予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと。
産後パパ育休は、会社に休業の初日と末日を明らかにして申し出ることで取ります(育児・介護休業法第9条の2第3項)。休業開始予定日が申出の日の翌日から2週間を経過する日より前のときは、会社が開始予定日を2週間経過日までの間で指定できます(同法第9条の3第3項)。労使協定で環境整備の措置を定めた会社は、この期間を2週間を超え1か月以内にできます(同条第4項)。
産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外です(パンフレット)。同じ子について、2回の休業をした後、または休業日数の合計が28日に達した後は、新たに申し出ることができません(育児・介護休業法第9条の2第2項)。
場面ごとの表(日数と給付金)
| 場面 | 給付金 | 注意点 |
|---|---|---|
| 出生直後に28日間まるごと休む | 賃金日額×28日×67%(上限310,290円) | 28日が上限。出生後休業支援給付金の要件を満たせば13%が加わる(上限60,205円) |
| 14日間だけ休む | 賃金日額×14日×67% | 14日以上あれば、出生後休業支援給付金の「通算14日以上」の要件の日数には届く(そのほかの要件は出生後休業支援給付金の解説) |
| 2回に分けて、合計28日以内 | 合算した日数で計算 | 分けられるのは2回まで。申請は1回にまとめ、2回目の休業を終了した日の翌日から出せる |
| 3回目に分ける、または28日を超えて休む | 3回目と28日を超えた分は、出生時育児休業給付金の対象外 | 会社と合意して育児休業に振り替えれば、育児休業給付金として申請できる(パンフレット) |
| 休業中に働く | 28日の休業で、就業が10日(超えるなら80時間)以下なら支給 | 休業が短いと日数と時間は比例して小さくなる。超えると全期間不支給 |
| 休業中に会社から給与が出る | 賃金日額×日数の13%以下なら減額なし | 13%を超え80%未満は差額、80%以上は不支給(下の表) |
| 期間を定めて雇用されている(契約社員・パートなど) | 契約が満了することが明らかでなければ対象 | 出生日(予定日前の出生は予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかな場合は、対象外 |
出典:雇用保険法第61条の8、施行規則第101条の31、厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)2〜4頁。2026年10月3日確認。
育休を1歳6か月・2歳まで延ばしたい場合は育休の延長の手続きにまとめています。
休業中に働いた日と給料
産後パパ育休は、育児休業と違って、休業中に働くことを制度が認めています。ただし、会社が一方的に決めることはできません。法令は、次の順で進めると定めています(育児・介護休業法第9条の5)。
- 労使協定で、休業中に就業させることができる労働者と定められていること(第2項)。
- 本人が、休業開始予定日の前日までに、就業できる日と時間帯を会社に申し出ること(第2項)。
- 会社が、その範囲内で日時を提示し、休業開始予定日の前日までに本人の同意を得ること(第4項)。同意は撤回でき、休業開始予定日以後は省令の特別の事情がある場合に限られます(第5項)。
働ける量にも上限があります。施行規則第21条の17は、働く日数の合計が休業期間の所定労働日数の2分の1以下、働く時間の合計が所定労働時間の合計の2分の1以下、休業の初日と末日に働くときはその日の所定労働時間に満たないこと、と定めています。これとは別に、給付金をもらうための上限が、28日の休業で10日(超えるなら80時間)以下です。会社に認められた範囲でも、給付金の上限を超えると全期間で出生時育児休業給付金が出ません。
休業期間を対象に会社から給料が出たときの給付金は、次のとおりです(雇用保険法第61条の8第5項、パンフレット)。賃金の額は「休業開始時賃金日額×休業の日数」と比べます。
| 会社から出た賃金 | 出生時育児休業給付金 | 出生後休業支援給付金 |
|---|---|---|
| 13%以下 | 減額なし(67%) | 減額なし(13%) |
| 13%を超え80%未満 | 80%から賃金額を引いた額 | 減額なし(13%) |
| 80%以上 | 支給されない | 支給されない |
出典:雇用保険法第61条の8第5項、厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)4頁。2026年10月3日確認。月給制で休業中も給料が減らない場合は、パンフレットが日割り計算をして、休業日数ぶんを賃金として数えると説明しています。
休業中に給料が出るかどうかは、勤務先の規程によります。出る場合は、上の表の区分で給付金が変わるので、申請の前に人事・総務へ、休業日数ぶんの賃金がいくら払われるかを確認してください。
計算例(月給30万円の場合)
次の前提で、当サイトが試算した1例です。厚生労働省のパンフレットの計算例と同じ数字を使っています。
- 前提:休業開始前6か月の月給が30万円で一定。休業開始時賃金日額は300,000円÷30=10,000円(出産手当金・育児休業給付金の計算機と同じ置き方)
- 前提:子の出生直後に産後パパ育休を14日間取る。休業中に賃金は出ない。出生後休業支援給付金の要件も満たす
- 出生時育児休業給付金:10,000円×14日×67%=93,800円
- 出生後休業支援給付金:10,000円×14日×13%=18,200円
- 合計:93,800円+18,200円=112,000円(10,000円×14日×80%)
同じ14日の給料は、10,000円×14日=140,000円です。給付金の合計は、その80%にあたります。賃金日額が上限16,540円を超える人は、28日の上限額(67%分310,290円、13%分60,205円)で頭打ちになります。月給が違う場合の総額は、計算機に月給と日数を入れると出ます。
社会保険料の免除
産後パパ育休も、健康保険・厚生年金保険の保険料の免除の対象です(日本年金機構)。免除されると、本人と会社の両方の負担がなくなります。会社が日本年金機構に申出をして初めて免除されるので、本人の手続きは、会社への申出です。申出は、休業の期間中、または終了後の終了日から1か月以内に行います。
| 場面 | 免除される保険料 | 根拠・注意点 |
|---|---|---|
| 休業の開始日の月と、終了日の翌日の月が違う | 開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで | 健康保険法第159条第1項第1号、厚生年金保険法第81条の2第1項第1号。当サイトの当てはめでは、10月20日〜11月10日の休業は、終了日の翌日が11月なので10月分が対象 |
| 開始日の月と終了日の翌日の月が同じ | その月の休業が14日以上なら、その月 | 同条第1項第2号。14日未満なら、その月は免除されない(令和4年10月1日以降に開始した休業) |
| 賞与が出る月に休む | 賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える休業のとき、賞与の保険料も免除 | 休業の期間が1か月以下の人は、標準報酬月額(毎月の給与)の保険料に限られる |
| 連続して2回に分けて取る | 連続する休業は、一つの育児休業等とみなす | 健康保険法第159条第2項、厚生年金保険法第81条の2第3項。「これに準ずる場合」は厚生労働省令で定められている |
出典:健康保険法第159条、厚生年金保険法第81条の2(e-Gov法令検索)、日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き」(更新日2023年6月1日)。2026年10月3日確認。
雇用保険料は、休業中に給与が出ない場合は負担がないと、厚生労働省のパンフレットが説明しています。給与が出る場合の保険料は、勤務先の給与計算で確かめてください。
いつもらえるか・申請方法・申請期限
申請するのは原則として事業主(会社)で、事業所を管轄するハローワークに出します。本人が希望すれば、本人が直接出すこともできます。電子申請も使えます。会社の人事・総務に「出生時育児休業給付金を申請したい」と伝えます。出生後休業支援給付金も、同じ申請書で一緒に申請するのが原則です。
申請の書類は、「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」と、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」です。賃金台帳・出勤簿・育児休業申出書など、休業の開始日と終了日、賃金の額と支払状況が分かるものと、母子健康手帳(出生届出済証明のページ)など、出生日と出産予定日が分かるものを添えます。支給が決まると、約1週間で本人の口座に振り込まれます。
休業が終わった直後に申請するわけではありません。申請開始日は、子の出生日(出産予定日前に生まれたときは出産予定日)から8週間を経過する日の翌日です。休業日数が合計28日に達したときは達した日の翌日、2回に分けたときは2回目の休業を終了した日の翌日が、申請開始日になります。申請期限は、申請開始日から2か月を経過する日の属する月の末日です(施行規則第101条の33第1項)。
| 場面(パンフレットの例) | 申請開始日 | 申請期限 |
|---|---|---|
| 出産予定日10/1より後の10/5に出生(休業の日数は問わない) | 11/30 | 1/31 |
| 出産予定日10/1、出生日10/5。出産予定日から28日間休む | 10/29(28日に達した日の翌日) | 12/31 |
| 出産予定日10/5より前の10/1に出生。2回に分けて休み、2回目の休業が10/30に終わる | 10/31(2回目の休業の終了日の翌日) | 12/31 |
出典:雇用保険法施行規則第101条の33、厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)5〜7頁の例1〜3。2026年10月3日確認。申請期限は「申請開始日から2か月を経過する日の属する月の末日」で、例1は11/30の2か月後が1/30なので1/31になります。出産予定日より前に生まれたときの8週間は、出産予定日から数えます。
出生時育児休業給付金のみを申請する場合も、同じ期限です。出生後休業支援給付金の要件を後から満たしたときは、満たした日から10日以内に支給申請書を出します(パンフレット)。
よくある質問
Q. 産後パパ育休の給付金は、いつ振り込まれますか?
A. 休業が終わってもすぐには申請できません。申請は、子の出生日(出産予定日前に生まれたときは出産予定日)から8週間を経過する日の翌日からです。休業の日数が合計28日に達したときは達した日の翌日、2回に分けたときは2回目の休業を終了した日の翌日から申請できます(施行規則第101条の33第1項)。申請して支給が決まると、約1週間で本人の口座に振り込まれると厚生労働省のパンフレットに書かれています。
Q. 産後パパ育休中に働くと、給付金はどうなりますか?
A. 28日の休業のうち就業が10日(10日を超える場合は80時間)以下なら、給付の対象です。休業が28日より短いときは、この日数と時間が日数に比例して小さくなります。これを超えて働くと、その休業の全期間で給付金が支給されません(パンフレットの例では、28日の休業中に14日働くと不支給)。働いて給与が出たときの減額は、本文の「休業中に働いた日と給料」の表にまとめました。
Q. 産後パパ育休は2回に分けて取れますか?
A. 同じ子について2回まで分けて取れ、合計は28日が上限です。給付金の申請は、2回分を1回にまとめて、2回目の休業を終了した日の翌日から行います。3回目の休業や、28日を超えた分は出生時育児休業給付金の対象外です。会社と合意して育児休業に振り替えれば、育児休業給付金として申請できるとパンフレットに書かれています。
Q. 産後パパ育休のあとに、続けて育児休業を取ることはできますか?
A. 産後パパ育休は、育児休業とは別の制度です。雇用保険法第61条の8第6項と第7項は、同じ子について育児休業給付金と出生時育児休業給付金の両方を受ける場合の扱いを定めています。育児休業給付金の額と条件は、育児休業給付金の解説記事と計算機で確かめられます。育休を1歳6か月・2歳まで延ばす条件は、育休の延長の解説記事にまとめています。
Q. 公務員でも、出生時育児休業給付金をもらえますか?
A. 雇用保険法第6条第6号は、国・都道府県・市町村などに雇用される者のうち、離職したときに他の法令等で受ける給与の内容が雇用保険の給付を超えると認められ、厚生労働省令で定めるものを、雇用保険法の適用除外としています。これに当たる公務員は、この給付金の対象ではありません。育児休業中の給付は別の制度になるので、所属先の人事担当に確認してください。
Q. 申請の期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
A. 施行規則に定められた期限は、申請開始日から2か月を経過する日の属する月の末日です。期限を過ぎた場合に受け付けられるかどうかは、この記事では確かめられていません。気づいた時点で、勤務先の人事担当か、事業所を管轄するハローワークに問い合わせてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 育児・介護休業法(第9条の2〜第9条の5)・育児・介護休業法施行規則(第21条の15・第21条の17)
- e-Gov法令検索 雇用保険法(第6条・第61条の8)・雇用保険法施行規則(第101条の31・第101条の33)
- e-Gov法令検索 健康保険法(第159条)・厚生年金保険法(第81条の2)
- 厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)
- 日本年金機構 育児休業等を取得・延長したときの手続き
※法令と、厚生労働省・日本年金機構の案内に書かれている範囲の整理です。実際に受け取れる額と手続きは、勤務先とハローワークで異なります。申請前に、勤務先の担当者と事業所を管轄するハローワークに確認してください。