出生後休業支援給付金とは|対象者・夫婦それぞれ14日以上の条件と例外・給付率13%(手取り10割相当)・いつから・申請方法と添付書類・申請期限・もらえない人
育休中も会社に在籍している会社員の方(配偶者が会社員の方を含む)が、育児休業給付金に上乗せされる出生後休業支援給付金を受け取れるかを、条件ごとに整理した解説です。給付率は休業開始時賃金日額の13%(最大28日分)で、育児休業給付金の67%と合わせて80%、手取りで10割相当になると厚生労働省は説明しています。原則は、子の出生直後に夫婦それぞれが通算14日以上の育休を取ることですが、配偶者が無業・自営業・産後休業中などの場合は、配偶者の育休を要件にしない例外があります。
給付率13%と金額の上限
出生後休業支援給付金は、雇用保険法第61条の10に定められた給付金です。2025年(令和7年)4月1日に創設され、同日以後の休業が対象です。額は、休業開始時賃金日額に相当する額に、対象期間内に休業した日数(28日が上限)を掛けて、100分の13にした額です(同条第6項)。育児休業給付金(出生時育児休業給付金)の67%に上乗せされるので、あわせて80%です。
厚生労働省のパンフレットは、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険の保険料が免除され、勤務先から給与が出ない場合は雇用保険料の負担もなく、育児休業等給付は非課税なので、80%の給付率で手取り10割相当になると説明しています。ただし、休業開始時賃金日額には上限があります。
| 項目 | 金額・率 | 出典 |
|---|---|---|
| 給付率 | 13%(育児休業給付金の67%と合わせて80%) | 法第61条の10第6項、パンフレット |
| 支給日数の上限 | 同じ子について28日 | 法第61条の10第3項・第6項 |
| 賃金日額の上限・下限 | 16,540円・3,203円(令和9年7月31日まで) | パンフレット |
| 28日分の上限額・下限額 | 60,205円・11,658円 | パンフレット |
出典:雇用保険法第61条の10(e-Gov法令検索)、厚生労働省・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)。2026年10月3日確認。上限額は16,540円×28日×13%=60,205円です。賃金日額は休業開始前6か月の賃金総額を180で割った額で、月給が6か月間一定なら、月給を30で割った額に近くなります。
育児休業給付金そのものの額と受給条件は育児休業給付金の計算方法・受給条件と手続きの流れ、月給ごとの総額は出産手当金・育児休業給付金の計算機で確かめられます。
対象者と3つの条件(対象期間)
雇用保険法第61条の10第1項は、対象期間内にその子を養育するための休業(出生後休業)をした被保険者に、次の3つの要件をすべて満たすときに支給すると定めています。施行規則第101条の34は、この休業を「育児休業給付金が支給されるもの、または出生時育児休業給付金が支給されるもの」としています。
- ① 被保険者期間:休業を開始した日の前2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あること(第1号)。育児休業給付金の受給資格と同じ考え方です。
- ② 本人の休業日数:対象期間内の出生後休業が通算14日以上であること(第2号)。
- ③ 配偶者の要件:配偶者も同じ子について休業していて、配偶者が子の出生日から8週間を経過する日の翌日までに通算14日以上休業していること(第3号)。第2項に当たる場合は、この③は要りません。
対象期間は、本人が産後休業をしなかった場合(父親、または養子)は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日までです。産後休業をした母親は、出産予定日との前後に応じて、16週間を経過する日の翌日までです(法第61条の10第7項)。厚生労働省のパンフレットは、出産予定日と出生日のうち早い日から、遅い日から数えて8週間(母親は16週間)を経過する日の翌日までの期間としています。
配偶者の休業の要件を外す「配偶者の育児休業を要件としない場合」は、パンフレットでは次の7つに整理されています。
- 1 配偶者がいない(行方不明の一部を含む) 2 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない 3 被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
- 4 配偶者が無業者 5 配偶者が自営業者・フリーランスなど雇用される労働者でない 6 配偶者が産後休業中
- 7 1〜6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない(「育児休業をすることができないことの申告書」で確認。施行規則第101条の38に、日々雇用・契約が8週間経過後6か月以内に満了することが明らか・労使協定で除外された配偶者が会社に拒まれた場合などが定められています)
配偶者が公務員のときは、各法律に基づく育児休業の請求をしていれば、給付対象出生後休業とみなされます(施行規則第101条の35)。
場面ごとの表(もらえるか)
| 場面 | もらえるか | 条件・主な書類 |
|---|---|---|
| 夫婦とも会社員で、どちらも出生直後に育休を取る | 夫婦それぞれもらえる | 本人は対象期間(父は出生後8週間、母は16週間)に通算14日以上。配偶者は出生後8週間以内に通算14日以上。配偶者の給付金が支給決定された後に申請する |
| 妻が産後休業中で、夫が育休を取る | 夫がもらえる | 配偶者の産後休業は例外6。夫が対象期間に14日以上。母子健康手帳(出生届出済証明)か分娩予定日証明書で足りる |
| 配偶者が専業主婦(夫)で無業 | 本人が14日以上取ればもらえる | 例外4。配偶者の所得課税証明書(なければ非課税証明書)と、配偶者の同意書 |
| 配偶者が自営業・フリーランス | 本人が14日以上取ればもらえる | 例外5。配偶者の所得課税証明書(事業所得で給与収入がないこと)と、配偶者の同意書 |
| 配偶者が公務員 | 配偶者も14日以上取ればもらえる | 配偶者の任命権者の通知書の写しなど、育休の期間が分かる書類 |
| 配偶者がいない(ひとり親) | 本人が14日以上取ればもらえる | 例外1。戸籍謄(抄)本と住民票、またはひとり親向けの公的制度を使っている書類 |
| 配偶者は会社員で育休を取れるが、取らない | もらえない | 配偶者が出生後8週間以内に14日以上の育休を取っていないと、③を満たさない |
| 本人の育休が14日未満 | もらえない | パンフレットの例:産後パパ育休が12日だと不支給 |
出典:雇用保険法第61条の10、施行規則第101条の34〜38、厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)19・20頁、同「出生後休業支援給付金の支給申請における配偶者の同意書の提出について」。2026年10月3日確認。配偶者の同意書は、マイナンバーで地方税情報を確認する試行運用のためのものです。母親が申請するときも、令和8年8月1日から母子健康手帳の写しを配偶者の確認書類にできます。
パンフレットには、ハローワークの簡易診断ツールへの案内もあり、要件と必要書類を確かめられます。育休を延ばしたい場合は育休の延長の手続き、育休後の時短勤務中の給付は育児時短就業給付金にまとめています。
計算例(月給30万円の場合)
次の前提で、当サイトが試算した1例です。厚生労働省のパンフレットの計算例と同じ数字を使っています。
- 前提:休業開始前6か月の月給が30万円で一定。休業開始時賃金日額は300,000円÷30=10,000円(出産手当金・育児休業給付金の計算機と同じ置き方)
- 前提:父が子の出生直後に育休を30日間取り、母は産後休業中(例外6)。休業中に賃金は出ない
- 育児休業給付金(30日):10,000円×30日×67%=201,000円
- 出生後休業支援給付金(上限の28日):10,000円×28日×13%=36,400円
- 最初の30日の合計:201,000円+36,400円=237,400円
30日のうち28日までが13%の対象で、29日目以降は67%だけです。賃金日額が上限16,540円を超える人は、上の上限額(28日で60,205円)で頭打ちになります。月給が違う場合の総額は、計算機に月給と育休の期間を入れると出ます。
申請方法・添付書類・申請の期限
申請するのは原則として事業主(会社)で、事業所を管轄するハローワークに出します(施行規則第101条の42第1項)。やむを得ない理由があるときや本人が希望するときは、本人が出すこともできます。電子申請も使えます。育児休業給付金(産後パパ育休なら出生時育児休業給付金)の申請書と一体になっているので、会社の人事・総務に「出生後休業支援給付金も申請したい」と伝えます。
書類は、休業の期間や賃金を示す賃金台帳・出勤簿・育児休業申出書、母子健康手帳(出生届出済証明のページ)に加え、配偶者の要件を満たしていることが分かる書類です。配偶者が会社員なら、世帯全員の住民票(続柄あり)か母子健康手帳で配偶者であることを示し、申請書に配偶者の被保険者番号を書きます。ハローワークが配偶者の給付金の支給決定を確認するので、配偶者の給付金が出た後に申請してください。支給が決まると、約1週間で本人の口座に振り込まれます。
| 申請の場面 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 産後パパ育休(出生時育児休業給付金)と一緒に | 出生後8週間(出産予定日前の出生は予定日から8週間)を経過する日の翌日から、2か月を経過する日の属する月の末日まで | 施行規則第101条の33第1項 |
| 育児休業給付金の初回申請と一緒に | 支給単位期間の初日から4か月を経過する日の属する月の末日まで | 施行規則第101条の30第1項 |
| 後から単独で申請 | 休業を開始した日から4か月を経過する日の属する月の末日まで | 施行規則第101条の42第4項 |
| 申請後に要件を満たした | 満たした日の翌日から10日以内 | 施行規則第101条の42第2項 |
出典:雇用保険法施行規則第101条の30・第101条の33・第101条の42(e-Gov法令検索)、厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)。2026年10月3日確認。期限の数え方の例として、パンフレットは「育児休業開始日が7月10日なら4か月を経過する日は11月9日で、提出期限は11月30日」と書いています。
もらえない人・減額されるとき
- 本人の休業が通算14日未満:対象期間に14日以上必要です(第1項第2号)。
- 配偶者の要件を満たさない:配偶者が出生後8週間以内に14日以上休業しておらず、7つの例外にも当たらない場合です。
- みなし被保険者期間が12か月に満たない:休業開始前2年間に通算12か月以上が必要です(第1項第1号)。産後休業をした人で12か月に満たない場合は、産前休業を始めた日などを基準に見直す定めがあります(同条第5項)。
- 育児休業給付金が不支給になる:休業中の賃金が「休業開始時賃金日額×休業日数」の80%以上になると、育児休業給付金が出ないため、出生後休業支援給付金も出ません。
- 28日分を使い切った後の休業:同じ子の休業日数の合計が28日に達した日後の休業は、支給されません(第3項第3号)。5回目以降の休業も、省令の定める場合を除いて支給されません。
休業中に賃金が出る場合の取扱いは、よくある質問に書きました。13%以下なら減額なし、13%を超えて80%未満なら育児休業給付金だけが減額され、出生後休業支援給付金は減額されません。
よくある質問
Q. 出生後休業支援給付金は、育児休業給付金とは別に申請するのですか?
A. 原則として、同じ申請書で一緒に申請します。厚生労働省のパンフレットは、初回の育児休業給付金(産後パパ育休の場合は出生時育児休業給付金)と出生後休業支援給付金を、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」で一体的に申請することを原則としています。先に育児休業給付金だけ申請した場合も、育児休業給付金の支給決定後に、出生後休業支援給付金の支給申請書で単独に申請できます。
Q. 妻(夫)が育休を取らないと、もらえませんか?
A. 雇用保険法第61条の10第2項と施行規則は、配偶者がいない、配偶者が雇用される労働者でない(無業・自営業・フリーランス)、配偶者が産後休業中などの場合は、配偶者の休業を要件にしないと定めています。配偶者が会社員で育休を取れる状況なのに取らないときは、この例外には当たりません。例外に当たるかどうかは、パンフレットの7区分の確認書類をもとに、ハローワークが判断します。
Q. 育休を2回に分けて取りました。28日分はどうなりますか?
A. 複数回に分けて取ること自体はできます。施行規則第101条の39は、給付対象出生後休業を合計2回以上する場合を、複数回取得することが妥当な場合として定めています。ただし、同じ子について休業日数の合計が28日に達した日後の休業には支給されません(雇用保険法第61条の10第3項第3号)。パンフレットも、すでに支給された日数を差し引いた日数が上限になると案内しています。5回以上に分けた場合の5回目以降は、やむを得ない理由として省令に定める場合を除き、支給されません。
Q. 会社から育休中に給与が出ています。減りますか?
A. パンフレットによると、休業中に払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業日数」の13%以下なら、育児休業給付金も出生後休業支援給付金も減額されません。13%を超えて80%未満のときは、育児休業給付金が減額されますが、出生後休業支援給付金は減額されません。80%以上になって育児休業給付金が支給されないときは、出生後休業支援給付金も支給されません。
Q. 出生後休業支援給付金には税金や社会保険料がかかりますか?
A. 厚生労働省のパンフレットの注記は、育児休業等給付は非課税と書いています。また、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険の保険料が免除され、勤務先から給与が出ない場合は雇用保険料の負担もないため、休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取り10割相当になる、という説明です。ただし賃金日額に上限があるとも書かれています。個別の税の扱いは、勤務先やハローワークで確認してください。
Q. 申請の期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
A. 施行規則に定められた期限は、申請の場面ごとに違います(本文の「申請の期限」の表)。期限を過ぎた場合に受け付けられるかどうかは、この記事では確かめられていません。気づいた時点で、勤務先の人事担当か、事業所を管轄するハローワークに問い合わせてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 雇用保険法(第61条の10)・雇用保険法施行規則(第101条の30・第101条の33〜第101条の42)
- 厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)
- 厚生労働省 出生後休業支援給付金の支給申請における配偶者の同意書の提出について・令和8年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直します
- 厚生労働省 出生後休業支援給付金の簡易診断(要件確認)ツール
※雇用保険法・施行規則と、厚生労働省・ハローワークの案内に書かれている範囲の整理です。実際に受け取れる額と手続きは、勤務先とハローワークで異なります。申請前に、勤務先の担当者と事業所を管轄するハローワークに確認してください。