育休明けの社会保険料|いつから引かれる?復帰月の給料・3か月後に下がる育児休業等終了時改定・年金を減らさない養育期間の特例

育休から復帰する会社員の方が、復帰後の社会保険料がいつから・いくらになるかを、日本年金機構と法令の原文で整理した解説です。保険料の免除は、育休が終わった日の翌日が属する月の前月までです。時短で給料が下がっても、保険料は育休前の標準報酬月額のままなので、会社を通じた申出で3か月後に下げられます。下がった分の年金額を守る申出も別にあります。

場面ごとの表(保険料と手続き)

育休の保険料免除は、育休を開始した日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までです(健康保険法第159条、厚生年金保険法第81条の2)。復帰したあとの保険料と手続きは、復帰の日と給料の変わり方で分けると整理できます。

場面保険料手続き
3月31日に育休が終わり、4月1日に復帰 3月分まで免除。4月分から負担が戻る(終了日の翌日は4月1日) 予定どおりに終わる場合に、復帰時の追加の届出を求める案内は見当たらない
3月15日に育休が終わり、3月16日に復帰 2月分まで免除。3月分から負担が戻る(終了日の翌日が3月に入る) 同上
予定より早く復帰した 実際に終わった日の翌日が属する月の前月まで免除 会社が「育児休業等取得者終了届」を、終了予定日の前日までに提出する
育休を開始した月と、終了日の翌日の月が同じ その月に育休が14日以上なら、その月は免除 育休の取得のたびに、会社が申出書を出す(育休中か終了後1か月以内)
時短などで給料が下がったが、保険料が育休前のまま 改定までは育休前の標準報酬月額で計算される。申出をすると、復帰月以後3か月の平均で、4か月目から下がる 会社を通じて「育児休業等終了時報酬月額変更届」を出す(速やかに)
下がった標準報酬月額で、将来の年金が減るのが心配 保険料は下がった額のまま。年金額の計算にだけ、育休前の高い額を使える 会社を通じて「養育期間標準報酬月額特例申出書」を出す

出典:日本年金機構「育児休業期間中の保険料免除」「育児休業等が終了したときの手続き」「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」、健康保険法第159条・第43条の2、厚生年金保険法第81条の2・第23条の2・第26条(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。免除の細かい条件は産後パパ育休の保険料の免除にまとめています。

復帰月の給料から、いつ引かれるか

保険料の負担が戻る月と、給料から実際に引かれる月は、1か月ずれることがあります。法令は、事業主が給料から引けるのを前月の標準報酬月額に係る保険料と定めているためです(健康保険法第167条第1項、厚生年金保険法第84条第1項)。

育休の終了日免除される月復帰月の給料の控除
3月31日(4月1日に復帰) 3月分まで 4月の給料で引ける前月(3月)分は免除済みで、引かれない。4月分は5月の給料から
3月15日(3月16日に復帰) 2月分まで 3月分の保険料が発生する。前月控除なら4月の給料から引かれる

出典:健康保険法第159条・第167条、厚生年金保険法第81条の2・第84条(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。条文は「控除することができる」と定めるもので、どの給料からどの月の分を引くかは会社の給与規程によります。

復帰月の給料が少なく見える、あるいは差引支給額が足りなくなる場合は、社会保険料だけでなく、住民税など定額で引かれる項目が給料の少ない月に重なっていることがあります。内訳は給与明細の控除欄で確かめられます。給料から住民税を引かない期間があった人は、住民税の納付書が届かない理由に払い方があります。

3か月後に下がる育児休業等終了時改定と計算例

保険料の元になる標準報酬月額は、育休に入る前の給料で決まったままです。復帰後に時短で給料が下がっても、そのままでは保険料は下がりません。通常の随時改定は2等級以上の差が要件ですが、育休明けは1等級以上の差で、申出により改定できます(日本年金機構)。

  • 対象:育休の終了日に、3歳未満の子を養育している被保険者
  • 算定:育休の終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬の平均額(支払基礎日数17日未満の月は除く)
  • 適用:4か月目の標準報酬月額から。1〜6月に改定されたら当年8月まで、7〜12月に改定されたら翌年8月まで
  • 条件:標準報酬月額に1等級以上の差があり、3か月のうち1か月以上は支払基礎日数が17日以上
  • 手続き:会社を通じて「育児休業等終了時報酬月額変更届」を日本年金機構に出す(添付書類は原則不要)

計算例を1つ置きます。当サイトが次の前提で試算した1例です。

  • 前提:育休前の標準報酬月額は30万円。4月1日に復帰し、時短勤務で4〜6月の報酬の平均が24万円。協会けんぽ東京支部、40歳未満(介護保険なし)、令和8年度の料率(健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金18.3%、いずれも本人は半分)。雇用保険は含まない
  • 改定前(標準報酬月額30万円):健康保険15,120円+厚生年金27,450円=月42,570円
  • 改定後(標準報酬月額24万円):健康保険12,096円+厚生年金21,960円=月34,056円
  • 差:月8,514円。7月分から翌年8月分までの14か月で約11.9万円

申出をしなければ、この差は下がりません。7月分の保険料を8月の給料から引く会社なら、実際に手取りが増えるのも1か月遅れます。社会保険料の額を自分の月給で確かめたいときは社会保険料 計算機が使えます。標準報酬月額の決まり方は標準報酬月額の仕組み、通常の随時改定は随時改定(月額変更届)とはです。

時短勤務で保険料が高く感じるとき

時短で給料が減ったのに、保険料の額が変わらず高く感じるのは、保険料が給料そのものではなく標準報酬月額にかかるためです。復帰から3か月は、育休前の標準報酬月額のまま計算されます。上の申出で改定されるのは4か月目からです。

気になること見る場所詳しいページ
復帰から3か月の保険料が、給料に対して高い 改定前の標準報酬月額で計算されている。4か月目から下げる申出を会社に伝える 上の「3か月後に下がる育児休業等終了時改定」
時短で減った給料を、給付金で補えるか 時短中に下がった賃金の一部を補う、雇用保険の育児時短就業給付金がある 育児時短就業給付金はいくらもらえる?
保険料の額を、自分の月給で確かめたい 都道府県と月給を入れると、本人負担の額が出る 社会保険料 計算機

出典:日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」。2026年10月3日確認。育児時短就業給付金の対象と額は、リンク先に分けて書いています。

年金を減らさない養育期間標準報酬月額特例

育児休業等終了時改定で標準報酬月額を下げると、保険料は下がりますが、将来の老齢厚生年金の計算に使う標準報酬月額も下がります。これを防ぐのが養育期間の特例です。3歳未満の子を養育している間の標準報酬月額が、養育を始める前の月(養育開始月の前月)を下回るとき、申出をすると、その高いほうの額を年金額の計算に使えます(厚生年金保険法第26条第1項)。

項目内容根拠
対象の期間子を養育し始めた月から、子の3歳の誕生日がある月の前月まで日本年金機構、第26条第1項第1号
保険料下がった標準報酬月額のまま。みなされるのは年金額の計算に使う額だけ第26条第1項(「平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす」)
さかのぼれる期間申出をした日の属する月の前月までの2年間第26条第1項、日本年金機構
出す書類養育期間標準報酬月額特例申出書。戸籍謄(抄)本と住民票の写し(マイナンバーを書けば省ける場合がある)日本年金機構
特例が終わる場面3歳到達、退職、育休・産休の開始、子の死亡など第26条第1項各号

出典:厚生年金保険法第14条・第26条(e-Gov法令検索)、日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」。2026年10月3日確認。育休を取らなかった人や、父親も、3歳未満の子を養育していれば対象になります。

前の計算例の続きで、年金への効果を試算します。当サイトの試算で、前提は次のとおりです。

  • 前提:標準報酬月額が30万円から24万円に下がった状態が、子が3歳になる前月まで24か月続いた。再評価率は1として概算する
  • 計算:差額6万円×24か月×1000分の5.481(厚生年金保険法第43条第1項)=年約7,900円。申出をしなければ、この分が老齢厚生年金から減る

二人目を考えている場合は、育休や産休を始めると特例はいったん終わり、復帰後に申出書を出し直します。次の子の基準は、前の子でみなされていた額が使われる扱いです(よくある質問の下から2番目)。

よくある質問

Q. 育休明けの社会保険料は、いつから引かれますか?

A. 保険料の負担が戻るのは、育休が終わった日の翌日が属する月の分からです。免除されるのは、育休を開始した日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月までです(健康保険法第159条第1項、厚生年金保険法第81条の2第1項)。たとえば3月31日に終わるなら3月分まで免除、4月分から負担です。給料から実際に引かれる月は、保険料を翌月の給料から引く会社が多く、会社の給与規程によります(次の質問)。

Q. 復帰した月の給料から、社会保険料が引かれていないのはなぜですか?

A. 法令は、事業主が給料から引けるのを「前月の標準報酬月額に係る保険料」と定めています(健康保険法第167条第1項、厚生年金保険法第84条第1項)。3月31日に育休が終わって4月に復帰した場合、4月の給料から引ける前月(3月)分は免除されているので、引かれません。前月分を翌月の給料から引く会社なら、4月分は5月の給料から引かれます。当月分を当月の給料から引くかどうかなど、実際の控除のしかたは会社によるので、給与明細の控除欄か人事に確認してください。

Q. 復帰月の給料が、マイナス(差引支給額が0円未満)になることはありますか?

A. 給与の支払額が少ない月に、社会保険料や住民税などの控除が重なると、差引支給額が少なくなったり、足りなくなったりすることがあります。法令や日本年金機構の資料に、復帰月の給料がマイナスになる場合を個別に定めたものは、確かめた範囲では見つかりませんでした。控除の内訳を給与明細で確かめ、不足分の扱いは会社に確認してください。

Q. 育児休業等終了時改定は、会社が自動でやってくれますか?

A. 条文は「被保険者が、事業主を経由して保険者等に申出をしたとき」に改定すると定めています(健康保険法第43条の2第1項、厚生年金保険法第23条の2第1項)。申出が要件なので、自動とは限りません。復帰したら、会社の担当者に「育児休業等終了時報酬月額変更届を出したい」と伝えるのが確実です。

Q. 育児休業等終了時改定と、通常の随時改定は何が違いますか?

A. 随時改定は、固定的賃金の変動のあと3か月の平均で、標準報酬月額に2等級以上の差が出たときに行います。育児休業等終了時改定は、1等級以上の差があれば対象です。育休の終了日に3歳未満の子を養育していることが条件で、育休の終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬の平均から、4か月目の標準報酬月額を改定します(日本年金機構)。

Q. 養育期間の特例は、申出をしないと使えませんか?

A. 条文は「申出をしたときは」従前の標準報酬月額をみなすと定めており、申出が要ります。ただし、申出が遅れても、申出をした日の属する月の前月までの2年間はさかのぼって認められます(厚生年金保険法第26条第1項、日本年金機構)。復帰してすぐに出さなくても2年分は取り戻せますが、それより前の月は対象になりません。

Q. 二人目の産休・育休に入ると、養育期間の特例はどうなりますか?

A. 育児休業等または産前産後休業を開始すると、その時点で特例はいったん終わります(厚生年金保険法第26条第1項第5号・第6号)。復帰後に特例を使うなら、申出書を出し直します。前の子の特例でみなされていた標準報酬月額は、次の子の基準になる扱いが条文の括弧書きに置かれています。産休で終わった場合の取扱いは第3項に別の定めがあるので、個別の事情は年金事務所に確認してください。

Q. 時短勤務をやめて給料が戻ったら、標準報酬月額はどうなりますか?

A. 給料が上がって、固定的賃金の変動のあと3か月の平均で2等級以上の差が出れば、随時改定で上がります。養育期間の特例は、標準報酬月額が従前を「下回る月」だけに働くので、従前の額以上に戻った月は関係しません(厚生年金保険法第26条第1項)。

参考・出典

※日本年金機構の案内と法令に書かれている範囲の整理です。保険料の控除のしかたと手続きの窓口は、勤務先によって異なります。個別の判断は、勤務先の担当者か年金事務所に確認してください。

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