育休を取るとボーナスは減る?|減る理由・休んだ期間を超えて減らすと指針の例に当たる場合・1か月だけ・産後パパ育休・公務員の場合
育休中も会社に在籍している会社員の方が、育休でボーナスがどうなるかを、育児・介護休業法と厚生労働省の指針の原文で整理した解説です。賞与の額の決め方は会社の規程によりますが、指針は休んだ期間に相当する日数を日割りで控除するのは不利益な取扱いに該当しないとし、休んだ日数を超えて減らす場合は「不利益な算定」に該当するとしています。違法かどうかの断定はせず、自分の会社の算定がどちらに近いかの読み方までを書きます。
場面ごとの表(減るか・根拠)
育休でボーナスが減るかは、会社が賞与の額をどう決めているかで分かれます。指針(第二の十一)が示す線引きは、休んだ期間の分だけか、それを超えているかです。
| 場面 | 減るか | 根拠 |
|---|---|---|
| 出勤日数を考慮する会社が、休んだ日数分を日割りで算定対象期間から除く | 休んだ分は減る。指針は不利益な取扱いに該当しないとする | 指針第二の十一の(三)ニ(イ) |
| 休んだ日数を超えて、働かなかったものとして扱う | 休んだ分を超える減額。指針は「不利益な算定を行うこと」に該当するとする | 指針第二の十一の(三)ニ(イ)後段、(二)チ |
| 実際には休んでいない期間があるのに、育休の申出・取得をしたことだけで減額する | 指針は(二)チに該当するとする | 指針第二の十一の(三)ニ(ロ) |
| 育休が1か月だけ | 算定対象期間に占める割合で減る(会社の算定式による)。計算例は下に1つ | 同上 |
| 産後パパ育休(出生時育児休業) | 育児休業の一つ。休んだ期間を除く会社なら、その分は減りうる | 法第9条の2第1項、第10条 |
| 国家公務員(一般職) | 期末手当は育休期間の2分の1、勤勉手当は全期間を除算。承認期間が合計1か月以下なら除算なし | 人事院規則九―四〇第5条第2項第2号、第11条第2項第2号 |
| 賞与月に育休(社会保険料) | 賞与月の末日を含む連続1か月超の育休なら、賞与の保険料も免除 | 日本年金機構 |
出典:育児・介護休業法第9条の2・第10条(e-Gov法令検索)、厚生労働省「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」(令和7年10月1日適用)、人事院規則九―四〇(e-Gov法令検索)、日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」。2026年10月3日確認。賞与の保険料の免除は産後パパ育休の保険料の免除に条件をまとめています。
ボーナスが減る理由(算定期間の出勤の扱い)
賞与の額の決め方に、一律の法令の計算式は、確かめた範囲では見つかりませんでした。会社の就業規則や賃金規程で決まります。よくある仕組みは次のとおりです。
- 算定対象期間:たとえば夏の賞与は前年10月〜3月、冬の賞与は4月〜9月のように、賞与の額を決める期間を会社が決めている
- 出勤の扱い:算定対象期間のうち、実際に勤務した日数や月数に応じて額を按分する。育休で休んだ期間を、勤務していない期間として数える会社がある
- 人事評価:基本の額に、評価に応じた係数をかける
指針はこの出勤の扱いについて、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に、休業した期間に相当する日数を日割りで算定対象期間から控除すること等は、不利益な取扱いには該当しないとしています(第二の十一の(三)ニ(イ))。休んだ期間の分だけ減る算定は、指針が許容する範囲という整理です。
減り方の計算例(休んだ期間を除いて按分する場合)
計算例を1つ置きます。会社によって算定式が違うため、休んだ期間を除いて月数で按分する場合という前提を置いた、当サイトの試算です。
- 前提:休まなかった場合の賞与が60万円。算定対象期間は6か月で、そのうち1か月を育休で休んだ。休んだ期間を除いて月数で按分する会社。社会保険料・所得税は含めない
- 計算:60万円×(6か月−1か月)÷6か月=50万円。減る額は10万円
- 休んだ期間を超える例:同じ前提で、1か月の育休なのに2か月分を除くと、60万円×4÷6=40万円。休んだ期間を超える1か月分(10万円)は、指針の「休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱う」例に当たるかが問われる
実際の額は、会社の算定式で変わります。賞与の手取りはボーナスの手取り計算機で確かめられます。
違法かどうかの読み方(指針の例に当たるか)
法第10条は、事業主が、育児休業をしたこと等を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。賞与の減額がこれに当たるかは、事情によって判断が分かれるので、ここでは断定しません。指針に沿って、次の3つを順に見ると、読み方が整理できます。
- 1. 減った額は、休んだ日数の範囲か:休んだ日数に相当する日数を日割りで除くのは、不利益な取扱いに該当しないと指針が書く。休んだ日数を超えて除いていれば、「不利益な算定を行うこと」の例に当たりうる
- 2. 実際には働いた期間まで減っていないか:育休の申出や取得をしたことだけで、賞与を減額する場合は、指針が(二)チに該当するとする
- 3. 時期が近いか:通達は、「理由として」にあたるかを、申出・取得と時間的に近接して不利益取扱いが行われたかで基本的に判断するとする。業務上の必要性が上回る特段の事情がある場合などは、この限りでないとも書く
通達は、不利益取扱いに該当する法律行為は民事上無効と解されると書きます。ただし、個々の賞与が該当するかは個別の事情で決まります。賃金規程の該当部分、賞与の明細、休業の期間を手元に置いて、会社の担当者に算定のしかたを聞くのが最初の一歩です。解決しないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先です。
1か月だけ・産後パパ育休の場合
短い育休でも、賞与が減らないとは限りません。算定対象期間が6か月で月数で按分する会社なら、1か月の育休は6分の1にあたります。日数で数える会社なら、休んだ日数分だけです。
産後パパ育休は、法が育児休業の一つとして定めたもの(法第9条の2第1項)で、4週間以内の休業です。不利益取扱いの禁止にも出生時育児休業申出が含まれています(法第10条)。賞与の算定で休んだ期間を除く会社であれば、産後パパ育休の期間も同じように扱われることがあります。
気をつけたいのは、日数でなく月単位で数える会社です。4週間の休業が丸1か月分として除かれていれば、休んだ日数を超えて除いている可能性があります。実際の休業日数と、賞与の算定で除かれた幅を比べると、指針の例に当たるかを確かめられます。
賞与が出る月に休むと、賞与の社会保険料が免除される場合があります。免除の条件は産後パパ育休の保険料の免除に、育休が明けたあとの保険料は育休明けの社会保険料にまとめています。
公務員の場合
国家公務員(一般職)の期末手当・勤勉手当は、給与法と人事院規則九―四〇で決まります。育児休業をした期間は、期末手当の在職期間と勤勉手当の勤務期間から、次のように除かれます。
| 手当 | 育休の期間の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 期末手当 | 在職期間から育休期間の2分の1を除く。6か月全部が育休なら、在職期間は3か月で、割合は60/100 | 規則九―四〇第5条第2項第2号、給与法第19条の4第2項 |
| 勤勉手当 | 勤務期間から育休の全期間を除く。6か月全部が育休なら、勤務期間は零で、期間率も零 | 規則九―四〇第11条第2項第2号、第10条・別表第二 |
| 承認期間が合計1か月以下の育休 | 期末手当・勤勉手当とも、除かれない | 規則九―四〇第5条第2項第2号イ・ロ、第11条第2項第2号 |
出典:人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)、一般職の職員の給与に関する法律第19条の4・第19条の7、人事院規則一九―〇第4条の3(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。「6か月全部が育休」は当サイトの当てはめです。地方公務員や教員は、勤務先の条例・規則で決まります。
規則は、子の出生の日から57日間内に取る育休と、それ以外の育休とを分けて書いていますが、どちらも承認期間が合計1か月以下なら除かれません。
よくある質問
Q. 育休を取ると、ボーナスは必ず減りますか?
A. 必ずとは言えません。賞与の額の決め方に一律の計算式は、確かめた範囲では見つかりませんでした。会社の就業規則や賃金規程で決まります。休んだ期間を算定対象期間から除いて按分する会社なら、その分は減ります。支給額を人事評価だけで決める会社や、算定対象期間に休んだ日が入らない会社では、休業そのものでは減らない場合もあります。自分の会社の賞与の算定式は、賃金規程か給与の担当者で確かめられます。
Q. 育休を取ったことを理由にボーナスを減らすのは、違法ですか?
A. 違法かどうかは、ここでは断定できません。法第10条は、育児休業をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁じています。指針は、休んだ期間に相当する日数を日割りで控除するだけなら不利益な取扱いに該当しないとし、休んだ日数を超えて働かなかったものとして扱う場合や、実際には休んでいない期間まで減額する場合は「賞与等において不利益な算定を行うこと」に該当するとしています。自分の会社の算定がどちらに近いかは、賃金規程と明細の突き合わせが要ります。迷うときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
Q. 育休が1か月だけなら、ボーナスはどのくらい減りますか?
A. 算定対象期間が6か月で、月数で按分する会社なら、1か月分の6分の1が減る計算になります(試算の前提は計算例のとおりです)。算定対象期間の長さと按分のしかたは会社によって違います。日数で数える会社なら、休んだ日数分だけです。減額が休んだ期間を超えていないかは、賃金規程と賞与の明細で確かめられます。
Q. 産後パパ育休でも、ボーナスは減りますか?
A. 法は、出生時育児休業(産後パパ育休)を育児休業の一つとして定め(法第9条の2第1項)、不利益取扱いの禁止にも出生時育児休業申出を含めています(法第10条)。賞与の算定で休んだ期間を除く会社であれば、産後パパ育休の期間も同じように扱われることがあります。産後パパ育休は4週間以内なので、算定対象期間に占める割合は小さくなります。
Q. 育休明けのボーナスの査定が下がりました。育休のせいですか?
A. 査定の理由は、評価の根拠を会社に聞かないと分かりません。指針は、実際には労務の不提供が生じていないにもかかわらず、育児休業の申出等をしたことのみをもって賞与を減額することを不利益な取扱いの例に挙げています(指針第二の十一の(三)ニ(ロ))。昇進・昇格の人事考課で、同じ理由で不利に評価することも例に挙がっています(同ホ(ロ))。通達は、申出や取得と時間的に近接して行われたかどうかで「契機として」を判断するとしています。評価の期間と休業の期間が重なる部分は、会社に説明を求められます。
Q. 公務員も、育休でボーナスが減りますか?
A. 国家公務員(一般職)は、人事院規則九―四〇で、期末手当は育児休業の期間の2分の1、勤勉手当は全期間を、在職期間・勤務期間から除くと定めています。承認期間が合計1か月以下の育児休業は除かれません。地方公務員や教員は、勤務先の条例や規則で決まるので、同じとは限りません。
参考・出典
- e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(第9条の2・第10条)
- 厚生労働省 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(令和7年10月1日適用・第二の十一)
- 厚生労働省 育児・介護休業法の施行について(通達・令和7年10月1日適用)(第39)
- e-Gov法令検索 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)・一般職の職員の給与に関する法律(第19条の4・第19条の7)
- 日本年金機構 育児休業期間中の保険料免除
※法令と指針に書かれている範囲の整理です。賞与の算定のしかたは会社の就業規則・賃金規程によります。個別の判断は、勤務先の担当者か、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に確認してください。