休職するとボーナスはどうなる?|減る・ゼロになる場合・傷病手当金との関係・査定への影響・公務員の期末手当と勤勉手当
休職中も会社に在籍している会社員の方が、休職でボーナスがどうなるかを、労働基準法・健康保険法などの原文で整理した解説です。賞与の額の決め方は会社の規程によりますが、賞与は傷病手当金の調整の対象になる「報酬」に入らないので、ボーナスが出ても傷病手当金は減らない、という読み方になります。休職を理由に査定を下げるのが違法かどうかは、断定しません。
場面ごとの表(ボーナスはどうなるか)
休職でボーナスがどうなるかは、会社が賞与の額と支給の条件をどう決めているかで分かれます。労働基準法は、賞与のような「臨時の賃金等」の定めをする場合は、就業規則に書くよう求めています(第89条第4号)。
| 場面 | ボーナス | 根拠 |
|---|---|---|
| 算定対象期間の一部が休職の期間 | 休んだ期間を除いて按分する会社なら、その分は減る。法令に一律の計算式は見つからず、会社の規程による | 労働基準法第89条第4号 |
| 算定対象期間の全部が休職の期間 | 按分する会社なら、算定の基礎がなくなりゼロになりうる | 同上 |
| 賞与の支給日に休職中 | 休職中も在籍はしている。休職者を支給の対象から外す規程の会社なら、支給されない | 同上(会社の賃金規程) |
| 傷病手当金を受けている | 賞与は傷病手当金の「報酬」に入らず、出ても傷病手当金は調整されない。年4回以上の支給は別 | 健康保険法第3条第5項・第108条第1項 |
| 休職を理由に査定が下がった | 休職を理由とする不利益取扱いを禁じる条文は、確かめた範囲では見つからない。違法かは個別の事情で判断が分かれる | 労働契約法第3条第5項 |
| 国家公務員(一般職) | 基準日に休職中なら勤勉手当は対象外。期末手当は無給の休職なら対象外。詳しくは下の節 | 人事院規則九―四〇第1条第1号・第7条第1号 |
出典:労働基準法・労働契約法・健康保険法・国家公務員法・一般職の職員の給与に関する法律・人事院規則九―四〇(いずれもe-Gov法令検索の現行版)。2026年10月3日確認。休職中の社会保険料は休職中の社会保険料に、育休のときのボーナスは育休を取るとボーナスは減る?にまとめています。
減る・ゼロになる理由(算定対象期間と支給日在籍)
賞与を支払う義務そのものや、額の決め方を定めた一律の条文は、確かめた範囲では見つかりませんでした。労働基準法は賞与も「賃金」に含めたうえで(第11条)、賃金を毎月1回以上支払う原則から「臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもの」を除いています(第24条第2項ただし書)。額や条件は、会社の就業規則や賃金規程が決めます。よくある仕組みは次のとおりです。
- 算定対象期間:たとえば夏の賞与は前年10月〜3月、冬の賞与は4月〜9月のように、賞与の額を決める期間を会社が決めている
- 出勤の扱い:算定対象期間のうち、実際に勤務した日数や月数に応じて額を按分する。休職で休んだ期間を、勤務していない期間として数える会社がある
- 支給日在籍:賞与の支給日に在籍していることを支給の条件にしている。休職中でも在籍はしているが、休職者を対象外とする会社もある
- 人事評価:基本の額に、評価に応じた係数をかける
ボーナスがゼロになるのは、この仕組みのどれかで額が決まらなくなる場合です。休職の期間が算定対象期間の全部に及ぶ、休職者を対象から外す規程がある、支給日までに退職した、のような場合です。どれに当たるかは、賃金規程の賞与の項で確かめられます。
減り方の計算例(休んだ期間を除いて按分する場合)
計算例を1つ置きます。会社によって算定式が違うため、休んだ期間を除いて月数で按分する場合という前提を置いた、当サイトの試算です。
- 前提:休まなかった場合の賞与が60万円。算定対象期間は6か月で、そのうち2か月を休職した。休んだ期間を除いて月数で按分する会社。社会保険料・所得税は含めない
- 計算:60万円×(6か月−2か月)÷6か月=40万円。減る額は20万円
- 算定対象期間の6か月全部が休職の期間なら、同じ前提で60万円×0÷6=0円になる
実際の額は、会社の算定式で変わります。賞与の手取りはボーナスの手取り計算機で確かめられます。
傷病手当金との関係(賞与は報酬に入らない)
傷病手当金は、休職中に報酬の全部または一部を受けることができる期間は支給されません。ただし、受けることができる報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、差額が支給されます(健康保険法第108条第1項)。
ここでの「報酬」は、賃金、給料、手当、賞与などを問わず労働の対償として受けるすべてのものですが、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは除かれています(同法第3条第5項)。同じ法律の第3条第6項は、3月を超える期間ごとに受けるものを「賞与」と呼んでいます。年2〜3回のボーナスは、報酬に入らず、出ても傷病手当金は減らない、という読み方になります。
気をつけたいのは、年4回以上に分けて支給される賞与です。3月を超える期間ごとの支給ではないので、報酬として扱われる読み方になります。自分の賞与がどちらにあたるかは、加入している健康保険に確かめられます。
傷病手当金の額の計算と支給期間(通算1年6か月)は傷病手当金の支給条件・支給額に、適応障害・うつで休職したときの給料全体は適応障害・うつで休職したときの給料にまとめています。
査定への影響と、違法かどうかの読み方
休職でボーナスの査定が下がったとき、それが違法かどうかは、ここでは断定しません。読み方を整理します。
- 休職を理由とする不利益取扱いの条文は見当たらない:労働基準法・労働契約法・健康保険法の条文には、「休職」の語自体が出てこず、休職を理由とする不利益取扱いを禁じる定めも、確かめた範囲では見つかりませんでした。育児休業(育児・介護休業法第10条)や、産前産後休業・妊娠(男女雇用機会均等法第9条第3項)には、休んだことを理由とする不利益取扱いを禁じる条文があります。休職は、その条文の対象になっていません
- 一般の原則はある:労働契約法は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、濫用することがあってはならないと定めています(第3条第5項)。賞与の算定が合理的かは、規程の内容と運用で判断が分かれます
- 見るところ:減った額が、休んだ期間の分の按分で説明できるか。休職していない期間の勤務まで低く評価されていないか。ほかの休んだ社員と同じ基準か
賃金規程の該当部分、賞与の明細、休職した期間を手元に置いて、会社の担当者に算定のしかたを聞くのが最初の一歩です。解決しないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが相談先です。
公務員の場合
国家公務員(一般職)の期末手当・勤勉手当は、給与法と人事院規則九―四〇で決まります。基準日は6月1日と12月1日です。心身の故障による休職(国家公務員法第79条第1号)は、休職者は職員の身分を保有しますが、給与は法律に別段の定めがある範囲に限られます(同法第80条第4項)。
| 場面 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 基準日に休職中(期末手当) | 給与の支給を受けていない休職者(無給休職者)は対象外。心身の故障による休職は、満1年に達するまで期末手当などを100分の80支給できる | 規則九―四〇第1条第1号、給与法第23条第3項 |
| 基準日に休職中(勤勉手当) | 支給を受ける職員に含まれない | 規則九―四〇第7条第1号、給与法第23条第6項 |
| 基準日に復職済み(期末手当) | 在職期間の算定で、休職にされていた期間の2分の1を除く | 規則九―四〇第5条第2項第5号 |
| 基準日に復職済み(勤勉手当) | 勤務期間の算定で、休職にされていた期間の全期間を除く | 規則九―四〇第11条第2項第5号 |
| 休職の前に病気で休んだ期間 | 勤勉手当は、勤務しなかった日(週休日等を除く)が30日を超えると、その全期間を除く(人事院の定める期間を除く) | 規則九―四〇第11条第2項第9号 |
出典:国家公務員法第79条・第80条、一般職の職員の給与に関する法律第19条の4・第19条の7・第23条、人事院規則九―四〇、人事院規則一一―四(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。公務上・通勤による傷病の休職は、給与法第23条第1項で給与の全額が支給されます。地方公務員や教員は、勤務先の条例・規則で決まります。
よくある質問
Q. 休職すると、ボーナスは出ませんか?
A. 出ないと決まっているわけではありません。賞与を支払う義務そのものや額の決め方を定めた一律の条文は、確かめた範囲では見つかりませんでした。労働基準法は、賞与のような「臨時の賃金等」の定めをする場合は就業規則に書くよう求めており(第89条第4号)、実際の扱いは会社の規程で決まります。休んだ期間を除いて按分する会社なら、その分は減ります。休職者を対象から外す会社や、支給日に在籍していることを条件にする会社では、結果が変わります。自分の会社の賃金規程の賞与の項で確かめられます。
Q. 休職中にボーナスをもらうと、傷病手当金は減りますか?
A. 条文の読み方では、ボーナスが出ても傷病手当金は調整されません。傷病手当金は、報酬の全部または一部を受けることができる期間は支給されない定めですが(健康保険法第108条第1項)、この「報酬」からは、臨時に受けるものと3月を超える期間ごとに受けるものが除かれています(同法第3条第5項)。年2〜3回の賞与は3月を超える期間ごとに受けるものにあたります。年4回以上に分けて支給される賞与は、3月を超える期間ごとではないので、報酬として扱われる読み方になります。自分の賞与がどちらかは、加入している健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に確かめられます。
Q. 休職を理由にボーナスの査定を下げるのは、違法ですか?
A. 違法かどうかは、ここでは断定できません。育児休業や産前産後休業には、休んだことを理由とする不利益取扱いを禁じる条文がありますが(育児・介護休業法第10条、男女雇用機会均等法第9条第3項)、労働基準法・労働契約法・健康保険法の条文には、休職を理由とする不利益取扱いを禁じる定めは、確かめた範囲では見つかりませんでした。労働契約法は、権利の行使に当たって濫用することがあってはならないと定めています(第3条第5項)。休んだ期間の分だけ按分する算定なのか、休職を理由に上乗せして下げているのかなど、個別の事情で判断が分かれます。賃金規程の該当部分と賞与の明細を手元に置いて、会社の担当者に算定のしかたを聞くのが最初の一歩です。解決しないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが相談先です。
Q. 休職から復職した直後のボーナスは、どうなりますか?
A. 会社の規程で決まります。算定対象期間のうち休職していた期間を除いて按分する会社なら、復職後も、算定対象期間に休んだ期間が入っている回のボーナスは減ります。休職していた期間が算定対象期間から外れた回から、通常の算定に戻ります。算定対象期間がいつからいつまでかは、賃金規程で確かめられます。
Q. 国家公務員は、休職中にボーナス(期末手当・勤勉手当)が出ますか?
A. 基準日(6月1日・12月1日)に休職中かどうかで変わります。基準日に休職中の国家公務員は、勤勉手当の支給を受ける職員に含まれません(人事院規則九―四〇第7条第1号)。期末手当は、給与の支給を受けていない休職者(無給休職者)が支給の対象外です(同規則第1条第1号)。心身の故障による休職は、休職の期間が満1年に達するまで、期末手当などを100分の80支給することができると給与法に定められています(第23条第3項)。基準日に復職している場合は、休職にされていた期間が、期末手当では2分の1、勤勉手当では全期間、算定から除かれます。地方公務員や教員は、勤務先の条例・規則で決まるので、同じとは限りません。
Q. 労災の休業や、育休のときも同じですか?
A. この記事は、業務外の病気やけがで休職する場合の整理です。業務上の病気やけがの休業は労災保険の対象で、この記事の傷病手当金とは別の制度です。育休のときの賞与の扱いは育休を取るとボーナスは減る?にまとめています。
参考・出典
- e-Gov法令検索 労働基準法(第11条・第24条・第89条)・労働契約法(第3条)
- e-Gov法令検索 健康保険法(第3条・第99条・第108条)
- e-Gov法令検索 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(第9条)
- e-Gov法令検索 国家公務員法(第79条・第80条)・一般職の職員の給与に関する法律(第19条の4・第19条の7・第23条)
- e-Gov法令検索 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当)
※法令に書かれている範囲の整理です。賞与の算定のしかたは会社の就業規則・賃金規程によります。個別の判断は、勤務先の担当者か、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに確認してください。