住民税の納付書が届かないのはなぜ?届かない理由と、休職・育休で普通徴収に切り替わるとき
会社に勤めていて給与から住民税が天引きされている方(特別徴収)には、市区町村から納付書や納税通知書は届きません。通知は会社を通じて渡されます。非課税の方にも通知書は送られず、6月上旬の発送前や、1月1日に住んでいた市区町村が別のときも届きません。逆に、休職・育休・退職で会社が給与から引けなくなると、会社の届出を経て普通徴収に切り替わり、本人宛てに納付書が届きます。この記事は、会社に勤めている(休職・育休中を含む)方向けに、地方税法と市区町村の案内にそって理由・問い合わせ先・延滞金をまとめました。
納付書が届かない主な理由
住民税は、毎年1月1日に住んでいた市区町村が、前年の所得にもとづいて課税します(地方税法第318条)。納め方は、会社が給与から引く「特別徴収」と、本人が納付書で納める「普通徴収」の2つです。届かない理由は、次のいずれかであることがほとんどです。
| 状況 | 届くもの | 確かめ先 |
|---|---|---|
| 給与から全額が天引き(特別徴収) | 納税通知書は届かない。会社経由の特別徴収税額決定通知書 | 会社の給与担当・給与明細の住民税欄 |
| 年金から全額が天引き・口座振替 | 納税通知書は届くが、納付書は入っていない(大阪市) | 通知書の納付方法欄 |
| 住民税が非課税 | 納税通知書は送られない | 市区町村の税務担当 |
| 6月上旬の発送前 | これから届く | 発送時期(京都市は6月10日頃) |
| 申告が遅かった | 発送が遅れる。大阪市は3月17日以降の申告が対象 | 市区町村の案内ページ |
| 1月1日から引っ越した | 1月1日の住所の市区町村から届く | 旧住所の市区町村 |
出典:大阪市「令和8年度 市民税・府民税・森林環境税納税通知書の送付について」(2026年5月29日)、文京区「住民税のよくある質問」(2025年12月15日更新)、京都市Q&A Q12(2026年2月17日更新)、2026年10月2日確認。発送時期や申告の遅れの扱いは、市区町村によって違います。
給与天引きの方は、会社が毎年5月31日までに税額の通知を本人に渡すことになっています(地方税法第321条の4第2項)。月割額は6月から翌年5月まで、給与を払うたびに毎月引かれます(同法第321条の5第1項)。納付書が届かないのは、通常の流れです。
非課税の方は、納める税金が発生しないため、納税通知書は送られません(文京区)。京都市も、納付額が無い方には原則発送しないと案内しています。非課税になるのは、地方税法第295条により、生活保護の生活扶助を受けている方や、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の方などです(このほか、均等割のみの方に対する市町村の条例による基準があります)。
転居した方は、1月1日の住所で課税されます。文京区は、1月31日に転出しても、その年度の住民税は転出先ではなく文京区に納めると案内しています。
どこに問い合わせるか
住民税は、1月1日現在の住所の市区町村の税務担当が窓口です。引っ越した後でも、旧住所の市区町村に問い合わせます。大阪市の場合は、住んでいる区を担当する市税事務所の個人市民税担当が窓口で、区役所には問い合わせ窓口がありません(納税通知書の封筒や表面に問い合わせ先が書かれています)。
問い合わせる前に、次の順で確かめると早く済みます。
- 給与明細に、住民税の天引きがあるか(全額が天引きなら、納付書は届かない)
- 会社から「特別徴収税額決定通知書」を受け取っているか(5月中旬〜下旬に会社へ届く)
- 1月1日にどこに住んでいたか
- 6月上旬の発送時期を過ぎているか、確定申告や住民税の申告が遅れていないか
6月上旬は、納税通知書の送付にともなって窓口や電話が混み合います。大阪市は、事前にQ&Aを確認し、電話や郵便の手続きを使うよう案内しています。
休職・育休・退職で普通徴収に切り替わるとき
給与から住民税を引けなくなったときは、会社が市区町村に届出をして、残りの税額を普通徴収に切り替えます。地方税法第321条の5第2項は、給与の支払を受けなくなった事由が起きた月の翌月以降の月割額について、会社が徴収して納める義務を負わないと定めています。同条第3項は、会社がその旨の届出書を市区町村に出すと定めています。
- 休職や育休で給与が出なくなる見込みを、会社の給与担当に伝える
- 会社が「給与所得者異動届出書」を市区町村に出す(退職だけでなく、病気休暇や育児休業で特別徴収ができなくなるときも提出が必要です。江東区)
- 届出の後、市区町村から本人宛てに納税通知書・納付書が届く(文京区)
- 納付書の納期限までに、自分で納める
さいたま市も、育児休業や長期の欠勤、休職などで給与の支給がなくなるときは、給与からの徴収ができないため普通徴収に切り替えられると案内しています。
休職・退職の後に、会社へ特別徴収の通知書が届いたとき
江東区は、すでに退職・休職した従業員について、会社に特別徴収の通知書が届いたときも、会社が異動届出書を出せば、受付後に普通徴収へ切り替えると案内しています。給与が止まったのに納付書が届かないときは、会社の給与担当に届出の有無を確かめます。
退職したときは、残りの住民税をまとめて払うか選べる
退職の場合は、残りの税額を最後の給与などから一括で引く「一括徴収」が絡みます。地方税法第321条の5第2項の区分は次のとおりです。
| 給与が止まる日 | 残りの税額 | 届く納付書 |
|---|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | 最後の給与・退職手当等から一括徴収 | 一括で引ければ届かない |
| 6月1日〜12月31日 | 本人の申出があれば一括徴収 | 申出がなければ届く |
出典:地方税法第321条の5第2項(e-Gov法令API、2026年10月2日確認)、文京区・江東区の案内。条文の区分は1月1日〜4月30日と6月1日〜12月31日です。江東区は「1月から5月に退職」の場合を一括徴収の義務として案内しています。最後の給与や退職手当が少なく一括徴収が難しいときは、普通徴収に切り替えます(江東区)。
退職時の住民税のくわしい仕組みは住民税の基本、一括徴収でいくら引かれるかは退職時の住民税 一括徴収額 計算ツールで確かめられます。
会社が「普通徴収」で報告するのは、どんなとき?
年度の途中ではなく、はじめから普通徴収になる人もいます。江東区が示す東京都の基準では、普通徴収が認められるのは次のようなときです。
- 総従業員数が2人以下
- 他の事業所で特別徴収されている(乙欄に当たる方など)
- 給与が少なく税額を引けない(年間の給与支払額が110万円以下など)
- 給与の支払が不定期(毎月ではない)
- 退職者または退職予定者(5月末日まで)、休職者(休職などで4月1日現在、給与の支払を受けていない方を含む)
入社・復職・転職した年度は、普通徴収のままでもかまいません(江東区)。復職後に給与天引きへ戻したいときは、会社が「特別徴収切替届出(依頼)書」を出します。切り替えられるのは納期限が来ていない分だけです。
納期限と延滞金(令和8年)
普通徴収の納期は、地方税法第320条で6月・8月・10月・1月中とされ、市町村の条例で日が決まります。大阪市の令和8年度は、6月30日・8月31日・11月2日・令和9年2月1日です。納期限までに納めないと、市町村の徴税吏員が納期限後20日以内に督促状を発します(同法第329条)。
納期限後に納めると、納期限の翌日から納付の日まで、日数に応じた延滞金がかかります(同法第326条)。条文の割合は年7.3%(納期限の翌日から1か月を経過する日まで)と年14.6%(その後)ですが、附則第3条の2により、延滞金特例基準割合が年7.3%に満たない年は、その割合を使います。
| 期間 | 条文の割合 | 令和8年中 |
|---|---|---|
| 納期限の翌日から1か月を経過する日まで | 年7.3% | 年2.8% |
| その後 | 年14.6% | 年9.1% |
出典:地方税法第326条第1項・附則第3条の2第1項(e-Gov法令API、2026年10月2日確認)、大阪市「市税の延滞金」(延滞金特例基準割合は令和8年1月1日〜12月31日が1.8%)、柏市「市税の延滞金と還付加算金の計算方法」(令和8年は2.8%・9.1%)。割合は毎年変わります。
計算式は「税額×延滞日数×割合÷365日」です。柏市の案内では、税額の1,000円未満を切り捨て、延滞金は1円未満を切り捨てて合算し、1,000円未満なら加算されず、1,000円以上は100円未満を切り捨てます。
計算例:第1期分60,000円を100日遅れで納めた場合
年税額24万円を4期に等分した第1期分で、納期限6月30日の100日後(10月8日)に納めたとします。最初の31日分は60,000円×31日×2.8%÷365日=142円、残り69日分は60,000円×69日×9.1%÷365日=1,032円です。合計1,174円の100円未満を切り捨てた1,100円が延滞金になります。
届かないまま納期限を過ぎた場合の延滞金の扱いは、確認できた原文には書かれていません。通知書が届いていないと気づいたら、早めに市区町村へ連絡してください。納付が難しいときは、減額・免除や納税の猶予の制度があります(大阪市の例)。
よくある質問
Q. 住民税の納付書が届かないまま、納期限が過ぎそうです。どうすればよいですか?
A. 個人住民税の普通徴収の納期は、地方税法第320条により6月・8月・10月・1月中で、市町村の条例で定められています(大阪市の令和8年度は6月30日・8月31日・11月2日・令和9年2月1日)。納期限後に納めると、納期限の翌日から納付の日までの延滞金がかかる定めです(同法第326条)。通知書が届いていないことを理由にした延滞金の扱いは、確認できた原文には書かれていません。気づいた時点で、1月1日現在の住所の市区町村の税務担当に連絡してください。
Q. 育休中や休職中は、住民税が免除または減額されますか?
A. 住民税は前年の所得をもとに計算する税金で、大阪市は「納付時期の所得状況などにかかわらず納めていただく」と案内しています。休職や育休で収入が減っても、税額が自動で下がることはありません。納付が難しい場合の減額・免除や納税の猶予は、市区町村ごとの制度です。大阪市は、予測できない失業や前年の6割以下への大幅な所得減少が見込まれる場合などを、申請による減額・免除の例としています。
Q. 給与から引かれているのに、納付書も届きました。二重に払うことになりますか?
A. 給与以外の所得(副業など)がある場合は、会社経由の特別徴収税額決定通知書のほかに、納税通知書が届くことがあります(大阪市)。給与以外の所得にかかる分は、給与天引きとは別に納付書で納める必要があります。二重払いの心配があるときや内訳が分からないときは、納付する前に市区町村へ確認してください。
Q. 復職したら、住民税を給与からの天引きに戻せますか?
A. 戻せます。会社が市区町村に「特別徴収切替届出(依頼)書」を出すと、年度の途中でも切り替えられます。切り替えられるのは納期限が来ていない分だけで、すでに納期限が過ぎた分は切り替えられません(江東区・文京区)。入社・復職・転職した年度は、普通徴収のままでもかまわないとされています(江東区)。
Q. 納付書をなくしました。再発行できますか?
A. 市区町村によって扱いが違います。文京区は納税通知書の再発行はせず、課税証明書の利用を案内しています。大阪市は、納付書の再発行を区役所の税証明書発行窓口でも行っています。1月1日現在の住所の市区町村に問い合わせてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 - 地方税法(第318条・第295条・第320条・第321条の4・第321条の5・第326条・第329条・附則第3条の2、2026年10月2日確認)
- 大阪市 - 令和8年度 市民税・府民税・森林環境税納税通知書の送付について(2026年5月29日、2026年10月2日確認)
- 大阪市 - 市税の延滞金(2025年12月12日、2026年10月2日確認)
- 文京区 - 住民税のよくある質問(2025年12月15日更新、2026年10月2日確認)
- 江東区 - 特別徴収に関するよくある質問(2026年5月15日更新、2026年10月2日確認)
- さいたま市 - 従業員が休職中のため普通徴収に切替えることはできますか(2022年1月24日更新、2026年10月2日確認)
- 京都市 - 新年度の個人住民税の通知書はいつ頃発送されますか?(2026年2月17日、2026年10月2日確認)
- 柏市 - 市税の延滞金と還付加算金の計算方法(2025年12月26日更新、2026年10月2日確認)
※住民税の取扱いは市区町村によって異なります。具体的な手続きや税額は、1月1日現在の住所の市区町村の税務担当または勤務先の給与担当にご確認ください。