会社員のふるさと納税のやり方|手続きはワンストップ特例か確定申告・デメリット・会社に報告は要るか・上限額
会社員のふるさと納税は、寄附先の自治体を選んで寄附をし、控除を受ける手続を、ワンストップ特例の申請書か確定申告のどちらかで行います。ワンストップ特例を使えるのは、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の場合です(総務省)。会社への報告については、法令の条文に報告を定めた文言は見つかりませんでした。この記事では、総務省・国税庁と法令の原文で、やり方の流れ・デメリット・会社に報告は要るか・上限額の調べ方を整理します。
会社員のふるさと納税のやり方(総務省の流れ)
総務省のふるさと納税ポータルサイトは、流れを「ワンストップ特例を申請しない場合」と「申請する場合」に分けて案内しています。会社員が自分で決めるのは、この2つのどちらにするかです。
| 手順 | ワンストップ特例を申請しない(確定申告) | ワンストップ特例を申請する |
|---|---|---|
| 1. 自治体を選ぶ | 応援する自治体を選ぶ | 応援する自治体を選ぶ(寄附先は5団体以内) |
| 2. 寄附する | 寄附後に発行される受領書を保管する | 寄附する際に、ワンストップ特例の申請書を提出する |
| 3. 手続 | 寄附の翌年3月15日までに、住所地の所轄の税務署に確定申告(受領書を添付) | 自治体への申請書の提出で完了 |
| 4. 控除 | 寄附をした年の所得税から控除(還付されることがある)と、翌年度の住民税の減額 | 所得税からの控除は行われず、その分も含めた全額が翌年度の住民税の減額 |
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税の流れ」、2026年10月2日確認。具体的な申込方法や納付方法は、自治体によって異なります。
寄附の申込方法や納付方法は自治体ごとに違うため、総務省は、寄附先の自治体のホームページ等で確認するよう案内しています。ふるさと納税は、年末調整では戻りません。この点はふるさと納税は年末調整で戻る?で整理しています。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、自分の選んだ自治体への寄附です。総務省は、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度で、一定の上限はあると説明しています。さらに、寄附先の自治体から返礼品(地域の特産品など)を受け取れる場合があります。総務省「ふるさと納税に関する現況調査」(令和8年度実施)によると、令和7年度の受入額は全国で約1兆3,314億円・約5,963万件、令和8年度課税で住民税の控除を受けた人は約1,151万人です。
控除の対象 = 寄附額 − 2,000円(上限の範囲内の場合)
※上限の範囲内であれば、2,000円を超える部分が控除されます(総務省)
総務省の例では、年収700万円の給与所得者で扶養家族が配偶者のみの方が30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える28,000円(30,000円−2,000円)が所得税と住民税から控除されます。これは控除の仕組みを示す例で、上限額ではありません。
ご自身の年収・家族構成での上限額の目安はふるさと納税 上限額計算ツールで調べられます。
返礼品の調達費用は寄附額の30%以下
地方税法37条の2第2項3号は、特例控除対象寄附金として指定される自治体の基準として、個別の寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額が、受領した寄附金の額の100分の30に相当する金額以下であることを挙げています。
ワンストップ特例制度(確定申告不要の条件)
会社員がふるさと納税で控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。ただし、確定申告の不要な給与所得者等は、ワンストップ特例制度を使えば、確定申告なしで控除が受けられます(総務省)。
ワンストップ特例の利用条件
- 寄附先が5団体以内であること(6団体以上に寄附した場合は確定申告が必要)
- 確定申告の不要な給与所得者等であること。医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請が無効となり、申請した分も含めて確定申告書に書きます(国税庁 No.1155)。給与・退職以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になる場合があります(所得税法121条)
手続きの流れ
- 寄附する際に、ワンストップ特例の申請書を提出する
申請書は寄附先の自治体によって異なることがあります。一部の自治体では、マイナンバーカードを利用したオンライン申請ができます。対応状況は寄附先の自治体に確認してください(総務省)。
- 申請書の期限は寄附先の自治体が決めている
法令ではなく自治体ごとの締切です。公式ページで確認した例はワンストップ特例の期限と過ぎたときにまとめています。
ワンストップ特例は住民税の減額で控除される
ワンストップ特例を申請した場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税の減額という形で控除されます(総務省)。確定申告をした場合は、所得税からの控除と住民税の減額の両方になります。
上限額の考え方と調べ方
ふるさと納税の上限額(控除される寄附の上限)は、収入や他の控除等の状況によって異なります(総務省)。当ページでは、年収別の上限額は載せていません。総務省が示す控除額の計算は、次のとおりです。
| 控除 | 計算式(総務省) | 対象となる寄附額の上限 |
|---|---|---|
| 所得税 | (寄附額−2,000円)×所得税の税率 | 総所得金額等の40% |
| 住民税(基本分) | (寄附額−2,000円)×10% | 総所得金額等の30% |
| 住民税(特例分) | (寄附額−2,000円)×(100%−10%−所得税の税率) | 住民税所得割額の2割まで |
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」、2026年10月2日確認。所得税の税率は、課税所得に応じてその人に適用される税率です。具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
ご自身の年収・家族構成での目安は、ふるさと納税 上限額計算ツールで調べられます。
年末が近い時期は上限を見誤りやすい
上限は収入や他の控除等の状況で決まるため、その年の収入が確定する前に寄附すると、上限を見誤るおそれがあります。残業代や賞与で収入が変わる方は、余裕を持った金額にするのが確実です。
デメリットと上限を超えた場合
ふるさと納税のデメリットは、控除の仕組みから次のように整理できます。
- 上限を超えた分は控除の計算に入らない。控除の対象になる寄附額には上限があり、所得税は総所得金額等の40%(所得税法78条)、住民税は30%(地方税法37条の2・314条の7)です。超えた部分は控除されず、自己負担になります
- 住民税の特例分には上限がある。総務省は、特例分が住民税所得割額の2割を超える場合、控除を合計しても(寄附額−2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えるとしています
- 控除が戻るのは寄附の後。寄附の支払が先で、確定申告をした場合の所得税の還付や住民税の減額は後になります。住民税の減額は翌年度です(総務省)
- 手続を忘れると控除を受けられない。確定申告かワンストップ特例の申請のどちらかが必要です。6団体以上に寄附してワンストップ特例の条件を外れたときは、確定申告が要ります(地方税法附則7条)
上限ギリギリより少し余裕を持たせる
上限は、その年の収入と他の控除が確定してから正確にわかります。年収に変動がある方は、控えめな金額で寄附するのが確実です。
会社に報告は要るか
所得税法78条(寄附金控除)、地方税法37条の2・314条の7(寄附金税額控除)、同法附則7条(ワンストップ特例)の条文を確認しましたが、寄附をした会社員が勤務先に報告するよう定めた文言は見つかりませんでした。条文に、勤務先や会社、給与の支払者について定めた語は出てきません。
会社が関わる可能性があるのは、給与から天引きされる住民税の通知です。総務省の行政評価局の資料は、納税義務者用の特別徴収税額決定通知書が、直接従業員に送られるのではなく、事業主を経由して交付されると説明しています。その通知書には給与所得以外の所得や所得控除の情報が含まれ、秘匿措置(シール貼付等)を講じていない市町村がある、という内容です。この資料に、ふるさと納税や寄附の語は出てきません。
寄附金税額控除の金額が通知書のどこにどう表示されるか、ワンストップ特例と確定申告で通知の仕方に違いがあるかは、資料からは確認できませんでした。会社に知られたくない場合は、寄附の前に、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口に、通知書の秘匿措置の有無と表示のされ方を確認するのが確実です。くわしくはふるさと納税は年末調整で戻る?、通知書の見方は住民税決定通知書の見方にあります。
返礼品の選び方
返礼品は地域の特産品・食料品・日用品など多岐にわたります。お得に活用するためのポイントを整理します。
返礼品の内容は自治体ごとに違う
同じ金額の寄附でも、返礼品の内容は自治体によって大きく異なります。当サイトは特定の返礼品の「お得さ」を判定しません。実際に使うもの・食べるものかどうかを基準に選ぶのが確実です。
日用品・消耗品を優先する
食品・トイレットペーパー・洗剤・米など、普段の生活でかならず消費するものを選ぶと節約効果が実感しやすくなります。嗜好品より日用品を優先するのが定番の活用法です。
旅行・体験型返礼品
宿泊補助券・温泉施設の入浴券・地域体験などの返礼品もあります。旅行好きな方には現物の食品より価値を感じやすい場合があります。
ふるさと納税ポータルサイトの比較
ふるさと納税の寄附はポータルサイト経由で行うのが一般的です。主要なサイトの特徴を整理します。
- ふるさと納税ニッポン:返礼品を金額・地域・使い道から検索できる。サイトには控除上限額シミュレーション、ワンストップ特例制度や確定申告の案内がある(サイトの表示より)
- ふるさとチョイス:自治体数・返礼品数ともに国内最大規模。サイト使用料の手数料はなし
- 楽天ふるさと納税:楽天ポイントが貯まる・使える。楽天SPUポイントアップとの組み合わせで高還元が可能
- さとふる:スマートフォンでの操作性が高い。PayPayポイント連携あり
- ふるなび:家電・電化製品の返礼品が充実。ふるなびコインのキャッシュバックあり
楽天ユーザーは楽天ふるさと納税が有利になることが多く、楽天ポイントの活用次第で実質負担をさらに下げることができます。
よくある質問
Q. 会社員がふるさと納税をしたら、会社に報告する必要はありますか?
A. 所得税法78条、地方税法37条の2・314条の7、附則7条の条文には、寄附をしたことを勤務先に報告するよう定めた文言は見つかりませんでした。会社が関わる可能性があるのは、給与から天引きされる住民税の通知です。総務省の行政評価局の資料によると、納税義務者用の税額通知書は事業主を経由して従業員に交付されます。寄附金税額控除の金額がその通知書のどこにどう表示されるかは、資料からは確認できませんでした。気になる場合は、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口に確認してください。
Q. 会社員のふるさと納税は、ワンストップ特例と確定申告のどちらでやればいいですか?
A. 総務省は、ワンストップ特例の申請を行えるのは、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先の自治体が5団体以内の場合に限るとしています。6団体以上に寄附した場合や、医療費控除などで確定申告をする場合は、確定申告で控除を受けます。2つの違いは、年末調整とふるさと納税のページにまとめています。
Q. ふるさと納税は年末調整で戻りますか?
A. 戻りません。所得税法190条2号が年末調整の計算に入れる控除の列挙に、寄附金控除(78条)が挙がっていないためです。詳しくは、年末調整とふるさと納税のページにあります。
Q. 寄附の上限額を超えると、どうなりますか?
A. 控除の計算に入る寄附の額には上限があります(所得税は総所得金額等の40%、住民税は30%。総務省)。さらに総務省は、住民税の特例分が住民税所得割額の2割を超える場合、控除の合計は(寄附額−2,000円)の全額にならず、実質負担額は2,000円を超えるとしています。
Q. 上限額はどうやって調べればいいですか?
A. 総務省は、上限額は寄附をした方の収入や他の控除等の状況によるとし、具体的な計算はお住まいの市区町村の住民税の担当部署に問い合わせるよう案内しています。目安は、当サイトの上限額計算ツールで調べられます。
参考・出典
- 総務省 - ふるさと納税の流れ・税金の控除について・ふるさと納税の概要・よくある質問(2026年10月2日確認)
- 総務省 - ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)PDF
- 総務省 行政評価局 - 納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿(2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索 所得税法(78条・121条。2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索 地方税法(37条の2・314条の7・附則7条。2026年10月2日確認)
- 国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
※総務省・国税庁と法令の原文に書かれている範囲の整理です。控除の可否や手続は、個別の事情や市区町村の取扱いで変わります。具体的な取り扱いは寄附先の自治体、お住まいの市区町村、所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。