住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?上限額への影響、入居した年のワンストップ特例、2年目以降の手続
住宅ローン控除とふるさと納税は、同じ年に併用できます。上限額の目安に使う住民税の所得割の額は、条文上は住宅ローン控除を引く前の額です。ただし、住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要なので、ワンストップ特例の申請は無効になります。2年目以降は、条件を満たせばワンストップ特例を使えます。国税庁・総務省・地方税法の原文で確かめた内容を、問いごとにまとめました。
併用はできる。2つの控除は何から引くのか
住宅ローン控除は、年末のローン残高などをもとにした額を所得税額から直接引く控除です。ふるさと納税は、寄附額から2,000円を引いた額を、所得税と住民税から引く寄附金控除です。制度が別なので、2つを比べて片方を選ぶ関係にはありません。
| 控除 | 何から引くか | 出どころ |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除 | 居住した年分以後の各年分の所得税額から引く。所得税から引ききれない分は、翌年度の個人住民税の所得割の額から引く(上限あり) | 国税庁 No.1211-1、地方税法附則5条の4 |
| ふるさと納税 | 所得税は所得控除、住民税は税額控除(基本分と特例分)。特例分は住民税所得割額の2割が限度 | 国税庁 No.1155、総務省 税金の控除について |
| 2つが重なる年 | どちらも、調整控除までを反映した住民税の所得割の額から引く形で定められている | 地方税法314条の7、附則5条の4 |
出典:国税庁 No.1211-1・No.1155(令和8年4月1日現在法令等)、総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」、地方税法(e-Gov)、2026年10月3日確認。3行目は条文の読みで、国税庁・総務省がこの言い回しで書いているわけではありません。附則5条の4の居住年の範囲は、2027年1月1日施行の版で令和12年までに広がります。控除する先の所得割の額の定め方は、どちらの版も同じです。
国税庁の2つのページには、片方を受けるともう片方を受けられなくなる、という記載はありません。変わりうるのは、上限額の見方と、入居した年の手続です。次の2つの節で、それぞれ確かめます。
住宅ローン控除で上限額は変わるか
総務省の説明では、住民税の特例分の控除は、住民税所得割額の2割が限度です。超えると、実質負担は2,000円を超えます。この「所得割額」が、住宅ローン控除で小さくなるのかが、気になるところです。
地方税法314条の7は、ふるさと納税の寄附金税額控除と特例控除額の上限を、「第314条の3及び前条の規定を適用した場合の所得割の額」を基準に定めています。一方、住宅ローン控除の住民税分(附則5条の4)も、「第314条の3及び第314条の6の規定を適用した場合の所得割の額」から控除すると定められています。どちらも同じ額から別々に引く形で、住宅ローン控除を引いたあとの額が、特例分の2割の基準になるとは書かれていません。
所得税が0円になる年に起きること
確定申告でふるさと納税を寄附金控除に入れると、所得税額が小さくなります。住宅ローン控除で引ききれない額が増えるので、住民税から引かれる住宅ローン控除が増える形になります(住民税側には上限があります)。条文の読みなので、実際の額は市区町村にご確認ください。
総務省は、上限額は収入や他の控除等の状況によるとして、具体的な計算は市区町村に問い合わせるよう案内しています。上限額の目安は、ふるさと納税 上限額計算ツールで計算できます。ツールは住宅ローン控除などの他の控除がない場合の目安なので、住宅ローン控除を受ける年は、結果を目安として見てください。
入居した年と2年目以降の手続
住宅ローン控除は、最初の年分だけ確定申告が必要です。給与所得者でも同じで、2年目以後の年分は年末調整で受けられます(国税庁 No.1211-1)。この違いが、ワンストップ特例が使えるかどうかを分けます。
| 年 | 住宅ローン控除 | ふるさと納税 |
|---|---|---|
| 入居した年(最初の年分) | 確定申告が必要 | ワンストップ特例の申請は無効。確定申告で寄附金控除を受ける |
| 2年目以降(ほかに確定申告がない年) | 給与所得者は年末調整で受けられる | 寄附先が5団体以内なら、ワンストップ特例を使える |
| 2年目以降(医療費控除などで確定申告をする年) | 年末調整、または確定申告で受けられる | ワンストップ特例の申請は無効。確定申告で寄附金控除を受ける |
出典:国税庁 No.1211-1・No.1155(令和8年4月1日現在法令等)、総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」、2026年10月3日確認。確定申告をする年は、2年目以降でも住宅ローン控除を確定申告で受けられます。
入居した年は、ワンストップ特例の申請書を出していても、確定申告を行うことで無効になります。国税庁 No.1155 は、申請をした分も含めて寄附金控除額を計算するよう案内しています。確定申告書の書き場所は、医療費控除とふるさと納税の併用の記事の表が同じ使い方です。申請書の期限や、出し忘れたときの手続はワンストップ特例の期限と過ぎたときにまとめています。
寄附の流れそのものはふるさと納税の解説に、年末調整で戻るかどうかはふるさと納税は年末調整で戻る?に、住宅ローン控除を含む会社員の節税の全体像は会社員のための節税10選にあります。
よくある質問
Q. 住宅ローン控除とふるさと納税は、併用できますか?
A. 併用できます。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は所得税額から引く控除(国税庁 No.1211-1)、ふるさと納税は寄附金控除(国税庁 No.1155)で、制度が別です。2つのページを読んだ範囲では、どちらにも片方を使うともう片方が使えなくなる、という記載はありません。
Q. 住宅ローン控除で所得税が0円になる年でも、ふるさと納税はできますか?
A. できます。ふるさと納税の住民税からの控除は、所得税の額とは別に決まります。所得税の分は、確定申告でふるさと納税を所得控除に入れると所得税額が小さくなるので、還付としては現れにくくなります。その分、住宅ローン控除で所得税から引ききれない額が増え、住民税から引かれる額が増える形になります(住民税側には上限があります)。これは地方税法附則5条の4の条文の読みで、国税庁・総務省がその言い回しで説明している箇所は見つかっていません。実際の額は市区町村にご確認ください。
Q. 住宅ローン控除を受けると、ふるさと納税の上限額は下がりますか?
A. 条文上は、上限額の目安に使う住民税の所得割の額は、住宅ローン控除を引く前の額です(地方税法314条の7第11項。特例分は第314条の3と第314条の6を適用した場合の所得割の額の2割が限度)。住宅ローン控除はその額から別に引く形なので、住宅ローン控除の有無だけで、この限度の基準が下がるとは読めません。ただし総務省は、上限額は収入や他の控除等の状況によるとして、具体的な計算は市区町村への問い合わせを案内しています。
Q. 入居した年にワンストップ特例の申請書を出してしまいました。どうなりますか?
A. 住宅ローン控除を受ける最初の年分は確定申告が必要なので(国税庁 No.1211-1)、確定申告を行う方に当たり、ワンストップ特例の申請は無効になります(国税庁 No.1155)。申請をした分も含めて、ふるさと納税を寄附金控除として確定申告書に入れてください。誤って入れずに申告したときの更正の請求は、ワンストップ特例の記事にまとめています。
Q. 2年目以降は、ワンストップ特例を使えますか?
A. 使える場合があります。給与所得者は2年目以後の住宅ローン控除を年末調整で受けられ(国税庁 No.1211-1)、ほかに確定申告をする事情がなく、寄附先が5団体以内であれば、ワンストップ特例の対象です(総務省)。医療費控除など、ほかの理由で確定申告をする年は、ワンストップ特例の申請は無効になります。
Q. ふるさと納税の分は、確定申告書のどこに書きますか?
A. 国税庁 No.1155 は、第二表の「寄附金控除に関する事項」と「住民税に関する事項」の両方に書くよう案内しています。書き場所の詳しい表は、医療費控除との併用の記事にあります。住宅ローン控除の分は、別に「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」で計算します。
Q. ふるさと納税の上限額ツールには、住宅ローン控除を入れられますか?
A. 入れられません。ツールは住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除がない場合の目安です。住宅ローン控除を受ける年の上限額は、お住まいの市区町村にご確認ください。
参考・出典
- 国税庁 - No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日確認)
- 国税庁 - No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日確認)
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト - 税金の控除について・よくある質問(2026年10月3日確認)
- e-Gov法令検索 - 地方税法(第314条の7 寄附金税額控除、附則第5条の4 住宅借入金等特別税額控除)(2026年10月3日確認)
※住宅ローン控除の控除額・上限額は、居住年や住宅の区分、年収により異なります。実際の上限額や控除額は、お住まいの市区町村の計算により変わります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。