ウーバーイーツなどの配達員が申告するのは、報酬の合計ではなく「報酬から経費を引いた所得」です。 いくらから申告が必要か、自転車・バイク・スマホの経費、学生の勤労学生控除と親の扶養、インボイスとの関係を、国税庁と e-Gov の原文に沿ってまとめました。 青色申告ができるのは事業所得のある人だけで、副業が雑所得になる場合は対象外です。
| 立場 | 申告が必要になる目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 会社員(給与1か所・全額源泉徴収) | 給与以外の所得の合計が20万円超 | No.1900 |
| 学生・主婦・無職など | 所得の合計が所得控除の合計を超え、税額が出る | No.2020 |
所得控除のうち基礎控除は、国税庁 No.1199 の表で令和8年分は合計所得金額が489万円以下なら104万円です(令和7年分は合計所得132万円以下で95万円、令和6年分以前は48万円)。 令和8年分の改正は令和8年12月1日に施行されます。ほかに所得も所得控除もない人は、配達の所得が104万円以内なら所得税の税額は出ません。 社会保険料控除など、ほかの所得控除があればその分も差し引けます。税額が出ない場合でも、源泉徴収された税金があって還付を受けたいときは、申告書を出す必要があります。
所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別に必要になる場合があります。仕組みは副業が20万円以下でも住民税の申告は必要で、横浜市・大阪市の案内をもとに整理しています。
配達員の報酬を名指しした国税庁の案内は、確かめた範囲では見つかりませんでした。一般の原文は次のとおりです。
何件・何円からが事業という数字の線引きは、確かめた国税庁の原文にはありません。報酬が給与として支払われているのか、業務委託の報酬なのかは契約によって変わるため、配達サービスの契約書や支払明細で確かめてください。迷うときは、税務署か税理士に確認してください。
| 項目 | 事業所得 | 業務に係る雑所得 |
|---|---|---|
| 青色申告 | できる | できない |
| 赤字の損益通算 | 他の所得と通算できる | できない |
| 帳簿書類 | 保存がないと雑所得とされる | 前々年の収入300万円超で書類の保存が必要 |
赤字の扱いは、雑所得が No.1500、事業所得が No.2070 の記載に基づきます。
No.2210 は、必要経費を「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用」と「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用」としています。配達で使う費用の例です。
| 費用 | 区分 | 注意 |
|---|---|---|
| 配達用バッグ・雨具・スマホホルダー | 消耗品費 | 10万円未満は全額 |
| 自転車・バイクの購入 | 減価償却 | 私用との按分が必要 |
| ガソリン・修理・保険・駐輪場 | 車両費・保険料 | 配達に使った分だけ |
| スマホ本体・通信費 | 通信費・家事関連費 | 配達分を区分できる範囲だけ |
私用と配達の両方に使う自転車・バイク・スマホ(家事関連費)は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限り必要経費になります(No.2210)。 配達した日数や走行距離、配達アプリを使った時間を記録しておくと、配達に使った割合を後から説明しやすくなります。
取得価額が10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものは、取得に要した金額の全額をその年の必要経費にできます。10万円以上20万円未満のものには、一定の要件の下で3年で一括して必要経費にする方法もあります(No.2100)。 科目ごとの考え方は個人事業主の経費一覧と家事按分、10万円以上のバイクなどは減価償却費の計算機で確かめられます。
勤労学生控除は、その年の12月31日に、次の3つをすべて満たす人が対象です(No.1175)。所得税法第2条第1項第32号は、勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得または雑所得を有する人を対象にしており、配達の所得が事業所得でも雑所得でも、要件の「勤労による所得」に入ります。
| 要件 | 令和8年分 | 注意 |
|---|---|---|
| 勤労による所得 | あること | 配達の所得も含む |
| 合計所得金額 | 89万円以下 | 勤労以外の所得は10万円以下 |
| 学校 | 特定の学校の学生 | 大学・高校など |
配達の所得は、報酬から経費を引いた金額で判定します。例えば、令和8年分の報酬が100万円、経費が20万円なら所得は80万円で、ほかに所得がなければ89万円以下に収まります(金額は仮の例)。 控除額は所得税で27万円です。給与のバイトだけの学生の年末調整は学生バイトの年末調整の書き方で解説しています。給与がなく配達の所得だけの場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して申告します(No.1175)。
親が受ける扶養控除は、子の合計所得が令和8年分は62万円以下であることが要件の一つです(令和7年分は58万円以下、No.1180)。 これを超えても、子が19歳以上23歳未満なら、合計所得123万円以下の間は親が特定親族特別控除を受けられます(No.1177)。控除額は子の所得に応じて変わります。 社会保険や親の勤務先の扶養手当の基準は国税庁の対象外で、加入先や勤務先によって異なります。
インボイス(適格請求書)は、消費税の仕入税額控除に関わる仕組みです。配達員がインボイスの登録をするべきかどうかを述べた国税庁の記載は、このページで確かめた範囲には見つかりませんでした。そのため、登録の要否は書きません。
登録しない場合に取引先の控除がどう変わるか、登録した場合の2割特例・3割特例の仕組みはインボイスに登録しないとどうなるに、原文に沿ってまとめています。 配達サービスの運営会社が配達員に求める手続きは、サービスごとの案内で確かめてください。
事業所得のある人は、白色申告でも収入金額と経費を帳簿に記載します。取引の年月日、相手方の名称、金額などを書き、日々の合計金額をまとめて書く簡易な方法でもよいとされています(No.2080)。 配達員では、配達サービスの報酬明細、経費のレシートや明細、配達した日と走行距離の記録を残しておくと、所得と経費の按分を後から説明できます。
65万円の青色申告特別控除は、取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告することなどが要件です。 さらにe-Taxで送信するか、優良な電子帳簿の要件を満たす必要があります(No.2072)。 控除の効果は青色申告65万円控除の効果、必要書類は青色申告の必要書類で見られます。
国税庁の案内が定めているのは、課税される所得があるか、申告が必要かです。
配達サービスの運営会社から税務当局へ情報が渡るかどうかについては、このページで確かめた国税庁の案内に記載がありませんでした。そのため、渡る・渡らないのどちらも書きません。
報酬の金額ではなく、売上から配達に使った経費を引いた所得で決まります。会社員(給与1か所・全額源泉徴収)は、給与以外の所得が年20万円を超えると申告が必要です(国税庁 No.1900)。会社員以外は、所得の合計が所得控除の合計を超えて税額が出る場合に申告が必要です(No.2020)。令和8年分の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円です(No.1199)。
配達員を名指しした国税庁の案内は、確かめた範囲では見つかりませんでした。一般の原文では、確定申告書等作成コーナーのよくある質問が、人的役務の提供による所得を事業所得に該当する場合を除き原則として雑所得(業務・その他)とし、所得税基本通達35-2の注は、社会通念上事業と称するに至る程度かどうかで判定するとしています。帳簿書類の保存がないと、原則として業務に係る雑所得です。
合計所得金額が令和8年分は89万円以下で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であり、特定の学校の学生であれば対象です(国税庁 No.1175)。所得税法第2条第1項第32号は、勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得または雑所得を有する人を勤労学生の対象としています。控除額は所得税で27万円です。
所得税の扶養控除は、令和8年分は子の合計所得が62万円以下であることが要件です(国税庁 No.1180)。超えた場合も、19歳以上23歳未満なら合計所得123万円以下の間は特定親族特別控除の対象になります(No.1177)。社会保険や親の勤務先の扶養の基準は国税庁の対象外で、加入先ごとに異なります。
配達に使った分は経費にできます。私用と配達の両方に使う場合(家事関連費)は、取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限られます(国税庁 No.2210)。取得価額が10万円未満のものは、取得した年に全額を必要経費にできます(No.2100)。
会社に知られるかどうかは、主に住民税の納め方に関わります。確定申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ手順は、副業の住民税のページにまとめています。配達サービスの運営会社から税務当局への情報提供については、確かめた国税庁の案内に記載がなく、このページでは書いていません。
※事業所得か雑所得か、経費に当たるかどうかは、取引の実態によって異なります。個別の判断は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。