ハンドメイド作品の販売で申告するのは、売上ではなく「売上から材料費と経費を引いた所得」です。 会社員の20万円、会社員以外の基準、令和8年分の基礎控除、材料費の扱い、扶養への影響を、国税庁と e-Gov の原文に沿ってまとめました。 青色申告ができるのは事業所得のある人だけで、趣味の延長で雑所得になる場合は対象外です。
| 立場 | 申告が必要になる目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 会社員(給与1か所・全額源泉徴収) | 給与以外の所得の合計が20万円超 | No.1900 |
| 専業主婦・パート・学生など | 所得の合計が所得控除の合計を超え、税額が出る | No.2020 |
所得控除のうち基礎控除は、国税庁 No.1199 の表で次のとおりです(合計所得金額が小さい人の場合)。令和8年分の改正は令和8年12月1日に施行されます。
| 年分 | 基礎控除 | 条件 |
|---|---|---|
| 令和6年分以前 | 48万円 | 合計所得2,400万円以下 |
| 令和7年分 | 95万円 | 合計所得132万円以下 |
| 令和8年分 | 104万円 | 合計所得489万円以下 |
会社員以外の人が令和8年分で、ほかに所得も所得控除もなく、ハンドメイドの所得だけなら、所得が基礎控除の104万円以内なら所得税の税額は出ません。 社会保険料控除など、ほかの所得控除があれば、その分も差し引けます。税額が出ない場合でも、源泉徴収された税金があって還付を受けたいときは、申告書を出す必要があります。
所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別に必要になる場合があります。仕組みは副業が20万円以下でも住民税の申告は必要で、横浜市・大阪市の案内をもとに整理しています。
国税庁 No.1350 と No.2210 は、必要経費の中に売上原価(総収入金額に対応する費用)を挙げています。 作品を作るための生地・ビーズ・レジン・金具などの材料費は、売れた作品に使った分が売上原価です。 所得税法第47条は、必要経費を計算する基礎として、12月31日に持っている棚卸資産の価額を評価して使うとしています。 施行令第100条は棚卸資産の区分に、商品、製品、半製品、仕掛品、主要原材料、補助原材料を挙げています。 年末に残った材料や、まだ売れていない完成品の分は、その年ではなく、売れた年の経費に回ります。
| 項目 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 年間の材料の購入 | 12万円 | 年内に買った材料の合計 |
| 年末の残り | 3万円 | 使い残しの材料と未販売の作品 |
| 売上原価 | 9万円 | 12万円 − 3万円(前年から持ち越しの在庫は0円とする) |
※考え方を示す計算例で、金額は仮のものです。在庫の評価方法は、届出をしなければ最終仕入原価法です(施行令第102条)。届出の期限は、事業を開始した日の属する年分の確定申告期限までです(No.2090)。
この棚卸資産の規定は、事業所得の計算に関する条文です。雑所得で申告する場合の在庫の扱いは、このページでは確かめられなかったので書きません。
ハンドメイド作品の販売を名指しした国税庁の案内は、確かめた範囲では見つかりませんでした。一般の原文は次のとおりです。
何点・何円からが事業という数字の線引きは、確かめた国税庁の原文にはありません。迷うときは、税務署か税理士に確認してください。
| 項目 | 事業所得 | 業務に係る雑所得 |
|---|---|---|
| 青色申告 | できる | できない |
| 赤字の損益通算 | 他の所得と通算できる | できない |
| 帳簿書類 | 保存がないと雑所得とされる | 前々年の収入300万円超で書類の保存が必要 |
赤字の扱いは、雑所得が No.1500、事業所得が No.2070 の記載に基づきます。
No.2210 は、必要経費を「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用」と「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用」としています。ハンドメイドで使う費用の例です。
| 費用 | 区分 | 注意 |
|---|---|---|
| 材料・包装資材 | 売上原価・消耗品費 | 売れた分に対応する部分 |
| 販売手数料・送料・出店料 | 販売費 | 売上と対応づけて記録 |
| ミシン・工具・撮影機材 | 消耗品費・減価償却 | 10万円未満は全額 |
| 自宅の作業スペース・光熱費 | 家事関連費 | 事業分を区分できる範囲だけ |
私用と事業の両方に使う費用(家事関連費)は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額に限り必要経費になります(No.2210)。 取得価額が10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものは、取得に要した金額の全額をその年の必要経費にできます(No.2100)。 科目ごとの考え方は個人事業主の経費一覧と家事按分、10万円以上の機材は減価償却費の計算機で確かめられます。
ハンドメイドの所得は、扶養控除や配偶者控除の判定に使う合計所得金額に入ります。令和8年分の国税庁の原文は次のとおりです。
| 控除 | 所得の条件(令和8年分) | 根拠 |
|---|---|---|
| 配偶者控除 | 配偶者の合計所得62万円以下 | No.1191 |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得62万円超133万円以下 | No.1191 |
| 扶養控除(子など) | 合計所得62万円以下 | No.1180 |
令和7年分は58万円、令和2年分から令和6年分は48万円です。令和8年分の金額は令和8年12月1日に施行されます。健康保険や厚生年金の扶養の基準は、国税庁の対象外で、加入先によって異なります。
事業所得のある人は、白色申告でも収入金額と経費を帳簿に記載します。取引の年月日、相手方の名称、金額などを書き、日々の合計金額をまとめて書く簡易な方法でもよいとされています(No.2080)。 ハンドメイドでは、販売サイトの売上履歴、材料の購入履歴、年末に残った材料と未販売の作品の一覧を残しておくと、売上原価を後から説明できます。
65万円の青色申告特別控除は、取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告することなどが要件です。 さらにe-Taxで送信するか、優良な電子帳簿の要件を満たす必要があります(No.2072)。 控除の効果は青色申告65万円控除の効果、必要書類は青色申告の必要書類で見られます。
国税庁の案内が定めているのは、課税される所得があるか、申告が必要かです。
ハンドメイド販売サイトの運営会社から税務当局へ情報が渡るかどうかについては、このページで確かめた国税庁の案内に記載がありませんでした。そのため、渡る・渡らないのどちらも書きません。
売上の金額では決まりません。会社員(給与1か所・全額源泉徴収)は、売上から材料費や手数料などの必要経費を引いた所得が、給与以外の所得として年20万円を超えると申告が必要です(国税庁 No.1900)。会社員以外は、所得の合計が所得控除の合計を超えて税額が出る場合に申告が必要です(No.2020)。
できます。国税庁 No.1350・No.2210 は、必要経費に売上原価を挙げています。売れた作品に使った材料の分が売上原価で、年末に残っている材料や未販売の作品は、その年の経費に入りません(所得税法第47条・施行令第99条・第100条)。
会社に知られるかどうかは、主に住民税の納め方に関わります。確定申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶ手順は、副業の住民税のページにまとめています。運営サイトから税務当局への情報提供については、確かめた国税庁の案内に記載がなく、このページでは書いていません。
国税庁 No.1906 が非課税とするのは、生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得です。売るために作った作品は、その説明には当てはまらないと読めます。ハンドメイド作品の販売を名指しした国税庁の案内は、確かめた範囲では見つかりませんでした。
所得税の配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が令和8年分は62万円以下であることが要件です(国税庁 No.1191)。子などの扶養控除も令和8年分は合計所得62万円以下です(No.1180)。社会保険の扶養の基準は国税庁の対象外で、加入先ごとに異なります。
できません。青色申告ができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です(国税庁 No.2070)。
※事業所得か雑所得か、経費に当たるかどうかは、取引の実態によって異なります。個別の判断は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。