国民健康保険料の年末調整の書き方|社会保険料控除の欄・証明書は要る・金額の確かめ方・いつからいつまで・家族の分・転職した年

会社に勤めていて、転職や退職の空白期間などに、国民健康保険料を自分で納めた年がある方向けの解説です。給与から天引きされている健康保険料は、年末調整の申告書に書く必要はありません。自分で納めた国民健康保険料は、保険料控除申告書の「社会保険料控除」の欄に、その年の1月1日から12月31日までに納めた合計額を書きます。国民年金と違い、証明書類の添付は求められていません。この記事では、国税庁・e-Gov・市区町村の原文で、書く欄、金額の確かめ方、いつからいつまでの分か、家族の分、転職した年の扱い、いくら戻るかを整理します。

書く人と書かない人

国民健康保険の保険料(市区町村によっては国民健康保険税)は、国税庁の分類では社会保険料控除の対象です。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額の全額です(No.1130)。年末調整で書くかどうかは、保険料の払い方で分かれます。

保険料の払い方申告書に書く?証明書類
会社の健康保険・厚生年金(給与から天引き)書かない。勤務先が集計する要らない
国民健康保険料を自分で納付書く要らない
国民年金保険料を自分で納付書く必要(添付または提示)

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」社会保険料控除(107.pdf)、国税庁 No.1130、2026年10月2日確認。国民年金は国民年金保険料の年末調整の書き方にまとめています。

国税庁の「年末調整のしかた」は、社会保険料を2つに分けています。健康保険や厚生年金保険、雇用保険などのように毎月の給与から差し引かれているものと、国民健康保険や国民年金などのように本人が直接支払っているものです。後者は、本人から提出された保険料控除申告書の金額に基づいて控除されます。

保険料控除申告書の書き方全般(生命保険料・地震保険料の欄など)は、保険料控除申告書の書き方にまとめています。国民健康保険料の金額そのもの(いくらになるか)は、市区町村別の国民健康保険料で見られます。

申告書のどの欄に書くか

「給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」の欄に書きます。国税庁の記載例(令和8年分)で、この欄は2行と合計でできていて、見出しは次の4つです。

欄の見出し国民健康保険料の場合備考
社会保険の種類「国民健康保険」国民年金も納めた年は別の行に
保険料支払先の名称国税庁の記載例に書き方の例はない納付先は市区町村。迷うときは勤務先へ
保険料を負担することになっている人の氏名自分の分は自分、家族の分はその家族家族の分は下の章
あなたが本年中に支払った保険料の金額その年に自分で納めた合計額金額の確かめ方は下の章

出典:国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」保険料控除申告書の記載例(pdf/307.pdf)、2026年10月2日に記載例の画像で確認。記載例の欄は空欄で、金額や名称の例はありません。

国税庁の記載例には、「国民年金保険料など、あなたが直接支払った社会保険料を記載します。給与から差し引かれた社会保険料は記載しません」とあります。国民健康保険料は「など」に含まれる、自分で納める社会保険料です。

「保険料支払先の名称」の欄は、記載例に書き方の例がありません。国民健康保険料は住んでいる市区町村に納めるので、納付先の市区町村名を書くことになりますが、申告書の様式や書き方は勤務先によって指定があることもあります。迷う場合は、申告書を受け取る勤務先の年末調整の担当部署にご確認ください。

証明書は届かない・要らない

国民健康保険料は、年末調整で証明書類を添付する必要がありません。理由は、法令で証明書類を求める対象が、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金に限られているためです。

根拠書かれていること対象
所得税法196条2項支払った旨を証する書類を提出・提示する74条2項5号(国民年金・国民年金基金)に限る
所得税法施行令319条1号申告書にその社会保険料の金額を書くとき、証明書類を添付・提示する74条2項5号に掲げるもの
国税庁「年末調整のしかた」国民年金と国民年金基金以外の保険料等には証明書類は必要ない国民健康保険は74条2項2号

出典:e-Gov法令検索 所得税法(第74条第2項2号・5号、第196条第2項)・同施行令(第319条第1号)、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」107.pdf、2026年10月2日確認。

大阪市・江東区・調布市・八千代市・神戸市の案内も、年末調整や確定申告で、領収書や支払金額を証する書類の添付は必要ないとしています。ただし江東区は、修正申告など証明書の添付を求められる場合もあるので、税務署や提出先に確認するよう案内しています。

国民年金には日本年金機構の控除証明書がありますが、国民健康保険料に同じ仕組みがあるとは、国税庁の資料にも書かれていません。市区町村が出しているのは、納めた金額を確かめるための書類です。次の章で、その使い方を整理します。

金額の確かめ方

申告書に書くのは、その年に実際に納めた金額の合計です。江東区の案内では、納め方ごとに次の書類で確かめられます。

納め方確かめる書類見るところ
納付書(金融機関・コンビニ・窓口)領収印のある領収証書領収日と金額
口座振替通帳の明細、または市区町村から届く口座振替済のお知らせ引き落とし日と金額
スマホ決済・クレジットカード・ネットバンキングアプリの取引履歴、カードの利用明細、口座の明細支払い日と金額

出典:江東区「国民健康保険料の納付額の確認について(確定申告・年末調整等用)」、大阪市「年末調整や確定申告にかかる社会保険料控除のお知らせ」、2026年10月2日確認。年金から天引きされている場合は、公的年金等の源泉徴収票に記載の金額で確かめます。

書類をなくした、納め方が混ざっていて分からない、というときは、市区町村に納付額を知らせる書類を出してもらいます。名称は市区町村ごとに違います。

  • 大阪市:「納付済額のお知らせ」。区役所の保険年金業務担当に、電話か窓口で依頼します。電話では金額を答えません。
  • 江東区:「国民健康保険料納付確認書」。電子申請なら2〜3営業日以内に郵送されます。世帯の合計納付額が記載されます。
  • 調布市:「納付額書」。無料で、世帯主あてに郵送されます。
  • 神戸市:電話では答えず、書面で回答します。お知らせハガキは毎年1月末ごろに発送されています。
  • 明石市:「納付額証明書」。毎年1月下旬に前年分を一斉送付していますが、年末調整用の一斉送付はなく、必要な場合は随時依頼します。

直近に納めた分は、書類に反映されないことがあります。江東区は収納データの反映に最長14日、調布市は発行時点で反映されていない分は納付額に記載されないとしています。年末が近いほど、申し込みは早めにしてください。

いつからいつまでの分

年末調整の対象は、その年の1月1日から12月31日までに納めた金額です。国民健康保険料の「年度」(4月から翌年3月)ではありません。調布市・八千代市が注意を呼びかけています。国税庁の「年末調整のしかた」の注意事項も、本人が本年中に支払ったものだけが控除の対象で、納付期日が来ていても現実に支払っていないものは含まれないとしています。

場面その年の金額に入れる?出典
納期限は翌年3月だが、その年の11月に納めた入れる八千代市
前の年度の分を、その年の1月に遅れて納めた入れる八千代市
減額で保険料の還付があった納めた額から還付額を引く大阪市・八千代市
12月に納める予定の分(まだ納めていない)市区町村は予定額を含めてよいとする。国税庁の原則は支払ったものだけ大阪市・調布市・八千代市

出典:八千代市「年末調整や確定申告などで国民健康保険料の納付済額の確認が必要な人へ」、大阪市、調布市、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」107.pdf(社会保険料控除の注意事項)、2026年10月2日確認。

年末調整の時点で、年内に納める予定の分を含めて出す場合は、予定どおりに納めなかったときに確定申告などで修正が必要になります(調布市・八千代市)。年末調整を既に納付済みの額で出した場合は、予定していた分を加えて確定申告で調整することになります(八千代市)。勤務先の年末調整の期限や扱いは会社によって違うので、先に担当部署へ確認してください。

家族の分・世帯主と違う人が払った場合

国民健康保険料の納付義務者は世帯主ですが、控除を受けられるのは実際に保険料を納めた人です。国税庁の「年末調整のしかた」も、本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を、本人自身が支払った場合は、本人の社会保険料として控除できるとしています。八千代市の例は次のとおりです(世帯の納付済額が10万円、世帯主A、妻Bのとき)。

実際に納めた人控除を受ける人金額
世帯主Aが全額A10万円
妻Bが全額(Aは会社の社会保険)B10万円
Aが7万円、Bが3万円AとB、それぞれA 7万円、B 3万円

出典:八千代市「年末調整や確定申告などで国民健康保険料の納付済額の確認が必要な人へ」、調布市、2026年10月2日確認。控除額の合計が世帯の納付済額を超えないように注意が必要です。被保険者ごとの納付済額は答えられないとされています。

年金から天引きされている分は別です。調布市・江東区は、年金からの天引き(特別徴収)の場合に申告できるのは、納付義務者である世帯主だけとしています。

転職した年の場合

年の途中で転職した年は、書く分と書かない分が混ざります。

  • 前の会社の給与から天引きされた健康保険料:書きません。国税庁の「年末調整のしかた」は、本年中に転職してきた人について、前の勤務先で給与から差し引かれた社会保険料等も含めて集計するとしていて、前の勤務先から交付された源泉徴収票などで確認します。集計するのは新しい勤務先です。
  • 退職してから次の入社までに、自分で納めた国民健康保険料:書きます。納付書の領収証書や、口座振替の通帳の明細で、その年に納めた合計額を確かめます。
  • 入社後に、国民健康保険料の還付を受けた:納めた額から還付額を引いた額を書きます(大阪市・八千代市)。

転職した年の年末調整全般(前職の源泉徴収票の出し方など)は転職した年の年末調整はどうする?に、国民健康保険や国民年金の手続き、空白の間の保険料は転職で社会保険に空白ができたらにまとめています。

いくら戻るか

社会保険料控除は、納めた保険料の全額が所得から引かれます。戻る額は、所得税の還付(年末調整で精算)と、翌年6月からの住民税の軽減(年額)で見ます。ほかに社会保険料控除として足す分が、国民健康保険料だけの場合の目安です。

年間に納めた国民健康保険料所得税の還付住民税の軽減(年額)
年100,000円5,105円10,000円
年200,000円10,210円20,000円
年300,000円15,315円30,000円

年収500万円(額面)の場合。東京都・40歳未満・配偶者控除や扶養控除なしの概算で、tools/nenmatsu-kanpu と同じ前提です。

年間に納めた国民健康保険料が20万円のとき、年収によって戻る額は次のように変わります。

年収(額面)所得税の還付住民税の軽減(年額)
300万円10,210円20,000円
400万円10,210円20,000円
500万円10,210円20,000円
600万円20,420円20,000円
800万円40,840円20,000円

前提は上の表と同じです。実際の額は、転職した年の給与の額、他の所得控除、住んでいる自治体によって変わります。

戻る額を自分の年収と他の控除を含めて確かめるには、年末調整でいくら戻るか 計算ツールが使えます。

書き忘れたら確定申告

自分で納めた国民健康保険料を申告書に書かずに年末調整が終わった場合は、確定申告で社会保険料控除を受けられます。申告先は所轄税務署です。

  • 期限は、国税庁のNo.2030で、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できると説明されています(源泉徴収された所得税が計算した税額より多いとき)。
  • 確定申告のときの金額は、前年の1月1日から12月31日までに納めた額です(大阪市・八千代市)。国民健康保険料に、証明書類の添付は求められていません(所得税法施行令262条1項2号は74条2項5号に限る)。
  • 年末調整で控除した分は、確定申告で二重に控除することはできません(八千代市)。
  • 年末調整が終わった後に気づいたときの訂正の扱いは、年末調整の間違いに気づいたらにまとめています。

確定申告のやり方は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで画面の案内に沿って入力できます。

よくある質問

Q. 会社の健康保険に入っています。年末調整で国民健康保険の欄に書く必要はありますか?

A. 国税庁の「年末調整のしかた」は、社会保険料を、毎月の給与から差し引かれているものと、国民健康保険や国民年金のように本人が直接支払っているものに分けています。給与から差し引かれた健康保険料は勤務先が集計するので、申告書には書きません。その年に国民健康保険料を自分で納めた分があるときだけ、書きます。

Q. 国民健康保険料の「控除証明書」は届きますか?

A. 国民年金のように、控除証明書が全員に送られる仕組みは、国税庁の資料にはありません。国税庁の「年末調整のしかた」は、証明書類が必要なのは国民年金の保険料と国民年金基金の掛金だけで、それ以外の保険料には必要ないとしています。市区町村によっては、前年分の納付額を知らせる書類(神戸市の「年間納付済額のお知らせ」、明石市の「納付済額確認書」など)を1月に送っていますが、これは金額を確かめるための書類です。

Q. 領収書をなくして、いくら納めたか分かりません。

A. 納め方によって、通帳の引き落とし記録、アプリの取引履歴、クレジットカードの利用明細などで確かめられます。それでも分からないときは、市区町村が納付額を知らせる書類を出しています。大阪市は「納付済額のお知らせ」、江東区は「国民健康保険料納付確認書」、調布市は「納付額書」(無料)、明石市は「納付額証明書」で、名称と申し込み方法は市区町村ごとに違います。本人確認が必要で、電話では金額を答えないとしている市区町村もあります。

Q. 12月に引き落とされる分は、年末調整の金額に入れてよいですか?

A. 国税庁の「年末調整のしかた」は、本人が本年中に支払ったものだけが控除の対象で、納付期日が来ていても現実に支払っていないものは含まれないとしています。一方で、大阪市・調布市・八千代市は、年末調整のときは、年内に納付する予定の金額を含めてよいと案内しています。予定額で出して、実際は納付しなかった場合は、確定申告などで修正が必要になります。勤務先の扱いが決まっていることもあるので、先に勤務先の担当部署に確認してください。

Q. 通知書は世帯主の夫の名前で届きますが、保険料は私が払っています。私の控除にできますか?

A. 八千代市は、使えるとしています。国民健康保険料の納付義務者は世帯主ですが、実際に納付した人が所得控除の対象になります。夫婦で出し合っているときは、それぞれが納めた額で控除でき、合計が世帯の納付済額を超えないようにする必要があります。調布市も、実際に支払った人が申告するとしています。

Q. 年金から天引きされている家族の分は、私の控除にできますか?

A. 調布市と江東区は、年金からの天引き(特別徴収)の場合、申告できるのは納付義務者の方(年金を受給している世帯主)だけとしています。家族が負担しているように見えても、天引きされた分を、世帯主以外が申告することはできません。

Q. 40歳以上で介護保険料の分があります。別の行に書きますか?

A. 国税庁の「年末調整のしかた」は、40歳から64歳までの人は、健康保険や国民健康保険の保険料に介護保険料相当額が含まれているとしています。国民健康保険料としてその年に納めた額を、確かめた金額のまま書きます。

Q. 勤務先から、国民健康保険料の支払証明書を出すよう言われました。

A. 国税庁の資料では、国民健康保険料に証明書類は必要とされていませんが、勤務先が金額を確かめるために求めることはあります。調布市は、領収書をなくした方や勤務先から支払い証明の提出を求められた方は、納税課に問い合わせるよう案内しています。市区町村ごとに発行する書類と申し込み方法が違うので、お住まいの市区町村のページで確認してください。

Q. 年末調整で書き忘れました。

A. 確定申告で社会保険料控除を受けられます。国税庁のNo.2030によると、還付申告は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。国民健康保険料の控除に、証明書類の添付は求められていません。年末調整で控除した分は、確定申告で二重に控除することはできません(八千代市)。

参考・出典

※国税庁・e-Gov・市区町村に書かれている範囲の整理です。納付額を知らせる書類の名称・申し込み方法・年末調整の扱いは、市区町村と勤務先によって異なります。個別の事情は、勤務先の担当部署、税務署、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口でご確認ください。

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