レーシック・ICLは医療費控除の対象?眼鏡・コンタクトとの違い、いくら戻るか、領収書

国税庁によると、レーシック手術(視力回復レーザー手術)とオルソケラトロジー(角膜矯正療法)の費用は、医療費控除の対象です。理由は、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるもので、医師の診療または治療の対価と認められるからです。一方、近視や遠視のために購入する眼鏡・コンタクトレンズの費用は対象外です。ICL(眼内コンタクトレンズ)は、国税庁の資料に記載が見当たらず、この記事では対象か対象外かを断定しません。この記事は、会社に勤めている方が確定申告で視力矯正の費用を申告するときに、国税庁の原文で確かめられる範囲をまとめました。手術の効果や医療機関の選び方は扱いません。

レーシックとオルソケラトロジーは対象

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が、10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えたときに受けられる所得控除です(No.1120)。視力に関する費用は、国税庁の No.1122 の Q&A(Q3「眼科医に支払う治療費等」)が、次のように答えています。

費用医療費控除国税庁の説明
レーシック手術(視力回復レーザー手術)対象角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術。眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるもの
オルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)対象特殊なコンタクトレンズを装用して屈折率を正常化させ、視力の回復をさせるもの。リテーナーレンズの購入費用を含む
近視・遠視のための眼鏡の購入対象外日常生活の必要性に基づいて購入するもので、視力を回復させる治療の対価ではない
近視等を矯正するコンタクトレンズの購入、眼の屈折検査、眼鏡・コンタクトレンズの処方対象外視力を回復させる治療の対価に該当しない(質疑応答事例)

出典:国税庁 タックスアンサー No.1122 の Q&A(令和8年4月1日現在法令等)、同 質疑応答事例「オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。

対象になるのは、病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額です(No.1122)。国税庁の質疑応答事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答で、個別の事情によっては課税関係が異なることがあると注記しています。

ICL(眼内コンタクトレンズ)は国税庁の資料に記載なし

ICL(眼内コンタクトレンズ)について、国税庁の次の資料を確認しましたが、記載は見当たりませんでした。

  • タックスアンサー No.1120(医療費を支払ったとき)
  • タックスアンサー No.1122(医療費控除の対象となる医療費)と、その Q&A
  • 質疑応答事例「オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用」
  • 質疑応答事例「医師による治療のため直接必要な眼鏡の購入費用」

この記事で言えること

レーシックとオルソケラトロジーの回答では、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させる治療かどうかが理由として示されています。ICL が当てはまるかどうかは、国税庁の資料に書かれていないため、この記事では対象とも対象外とも書きません。ICL の費用を申告する場合は、税務署または税理士にご確認ください。

眼鏡・コンタクトレンズの扱い

眼鏡は、近視や遠視のために日常生活の必要性に基づいて購入するものは対象外ですが、治療のために必要なものを医師の指示で装用する場合は対象になります(No.1122 の Q&A)。

区分医療費控除原文の条件
近視・遠視の矯正用の眼鏡対象外日常生活の必要性に基づく購入
治療のために必要な眼鏡対象医師の指示で装用し、医師による治療の一環として直接必要なもの
近視等を矯正するコンタクトレンズ対象外視力を回復させる治療の対価に該当しない

出典:国税庁 No.1122 の Q&A(令和8年4月1日現在法令等)、質疑応答事例(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。

対象になる眼鏡の例

  • 国税庁の Q&A の例:斜視、白内障、緑内障などで、手術後の機能回復のために短期間装用する眼鏡。幼児の未発達視力を向上させるために装着を要する眼鏡
  • 質疑応答事例の条件:医師による治療を必要とする症状があり、かつ、現に医師による治療が行われていること。厚生労働省が日本眼科医会に示した疾病は、弱視、斜視、白内障、緑内障、難治性疾患(調節異常、不等像性眼精疲労、変性近視、網膜色素変性症、視神経炎、網脈絡膜炎、角膜炎、角膜外傷、虹彩炎)
  • フレーム:一般的な材料のものなら対象です。特別に高価な材料や特別の装飾を施した奢侈にわたるものは除かれます(質疑応答事例)

処方箋の写し

対象になる眼鏡は、疾病名と治療を必要とする症状が記載された眼鏡の処方箋が発行されるので、その写しを確定申告書に添付するか、提示します。医療費控除の明細書の欄外余白などに「発行年月日、処方箋の名称及び医師の氏名等」を記載すれば、添付等を省略できます。省略した場合、処方箋の写しは医療費の領収書とともに、確定申告期限等から5年間自宅等で保存します(No.1122 の Q&A)。

国税庁の資料に、レーシック手術後に使う眼鏡についての記載は見当たりませんでした。眼鏡は、この表の原文の範囲で判断することになります。

いくら戻るか

レーシックの手術費用を40万円(仮置き)として、他の医療費はなしとしたときの、年収別の戻る額の目安です。手術費用は計算のための仮置きで、実際の費用とは異なります。

年収医療費控除の額戻る額の目安
300万円300,000円約45,315円
400万円300,000円約45,315円
500万円300,000円約45,315円
600万円300,000円約60,630円
700万円300,000円約80,029円
800万円300,000円約91,260円

tools の医療費控除計算機と同じ計算です。社会保険料は東京都・40歳未満の標準的な金額で概算し、その他の所得控除は考慮していません。足切りは、この年収では10万円です。実際の額は、源泉徴収額や他の控除により変わります。戻る額には、翌年の住民税の軽減分を含みます。

同じ年収500万円で、手術費用(仮置き)が変わるときの目安です。

手術費用(仮置き)医療費控除の額戻る額の目安
20万円100,000円約15,105円
30万円200,000円約30,210円
40万円300,000円約45,315円
60万円500,000円約75,525円
80万円700,000円約105,735円

保険金などで補てんされる金額がある場合は、実際に支払った医療費の合計額から差し引いて計算します(No.1120)。家族の医療費がある場合は、合計して10万円を超えるかを見ます。

確認のしかた

手術費用と他の医療費を合わせて、10万円を超えるかが申告の分かれ目です。年収と医療費を入れて戻る額を確かめるときは、医療費控除はいくらから戻る?計算ツールを使えます。

領収書・明細書・支払った年

領収書と明細書

  • 明細書:医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付します(No.1120)
  • 領収書の保存:明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書の提示または提出を求められる場合があります(No.1120)
  • レーシック特有の書類:国税庁の資料に、レーシック手術の領収書に必要な記載事項や、添付が必要な書類の定めは載っていません

何年分の医療費になるか

  • 支払った年:その年に実際に支払った金額が対象です。年末までに払い終わっていない分は、現実に支払った年の医療費控除の対象になります(質疑応答事例)
  • 借入金で払った場合:支払の日を含む年分の対象です(質疑応答事例)

通院の交通費

診察や治療を受けるための通院費は対象ですが、電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は含まれません。自家用車で通院するときのガソリン代や駐車場の料金も含まれません(No.1122)。

明細書の書き方は医療費控除の明細書の書き方にまとめています。

確定申告のしかた

医療費控除は、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署に提出して受けます(No.1120)。給与所得の源泉徴収票は、確定申告書を作成する際に必要です。スマホで申告する手順はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方にまとめています。

よくある質問

Q. レーシック手術の費用は、医療費控除の対象ですか?

A. 対象です。国税庁のタックスアンサー No.1122 の Q&A は、視力回復レーザー手術(レーシック手術)を、角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術と説明したうえで、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は医師の診療または治療の対価と認められるので、医療費控除の対象になると回答しています。

Q. ICL(眼内コンタクトレンズ)の手術費用は、医療費控除の対象ですか?

A. 国税庁の資料に記載がなく、この記事では対象か対象外かを断定できません。タックスアンサー No.1120・No.1122、同Q&A、質疑応答事例(オルソケラトロジー、眼鏡)の原文を確認しましたが、ICL(眼内コンタクトレンズ)の記載は見当たりませんでした。個別の事情は税務署または税理士にご確認ください。

Q. オルソケラトロジーのレンズ代も対象ですか?

A. 対象です。国税庁の質疑応答事例は、オルソケラトロジーによる近視治療に係る費用を、リテーナーレンズの購入費用を含めて、角膜を矯正して視力を回復させる治療の対価として、医療費控除の対象になると回答しています。

Q. 近視のための眼鏡やコンタクトレンズは、医療費控除の対象ですか?

A. 対象になりません。No.1122 の Q&A は、近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づいて購入する眼鏡は、視力を回復させる治療の対価ではないので対象外としています。質疑応答事例も、近視等の屈折異常を矯正するための眼鏡およびコンタクトレンズの購入費用と、眼の屈折検査、眼鏡およびコンタクトレンズの処方の費用は、対象にならないと回答しています。

Q. 眼鏡が医療費控除の対象になるのは、どんなときですか?

A. 国税庁の Q&A は、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のために短期間装用する眼鏡や、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要する眼鏡など、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものを対象としています。質疑応答事例は、医師による治療を必要とする症状があり、現に医師による治療が行われていることが必要としています。

Q. 眼鏡の処方箋は、確定申告書に添付が必要ですか?

A. 対象になる眼鏡の場合、国税庁の Q&A によると、疾病名と治療を必要とする症状が記載された眼鏡の処方箋の写しを確定申告書に添付するか、提示します。ただし、医療費控除の明細書の欄外余白などに「発行年月日、処方箋の名称及び医師の氏名等」を記載すれば、添付等を省略できます。この場合、処方箋の写しは医療費の領収書とともに、確定申告期限等から5年間自宅等で保存します。

Q. 手術費用を借入金やローンで払った場合は、何年分の医療費控除になりますか?

A. 国税庁の質疑応答事例は、借入金で医療費を支払った場合は、医療費が未払になっているわけではなく、支払が現実に行われているので、その支払の日を含む年分の医療費控除の対象になると回答しています。

Q. 年末までに払い終わっていない手術費用は、その年の医療費控除に入りますか?

A. 入りません。国税庁の質疑応答事例は、医療費控除の対象になるのはその年中に実際に支払った金額に限られ、治療が終わっている年でも未払の医療費は、その年の対象にならないと回答しています。たとえば50万円のうち30万円を昨年、残り20万円を今年支払った場合、昨年分の対象は30万円、今年分の対象は20万円です。

Q. 保険金や給付金を受け取ったときは、どう計算しますか?

A. 国税庁の No.1120 は、生命保険契約などで支給される入院費給付金や、健康保険などで支給される高額療養費などの保険金で補てんされる金額を、実際に支払った医療費の合計額から差し引いて計算すると説明しています。差し引くのは、その給付の目的となった医療費の金額が限度で、引ききれない金額が生じても、他の医療費からは差し引きません。

Q. 手術のために通院したタクシー代は、医療費控除に入れられますか?

A. 原則として入れられません。No.1122 は、診察や治療を受けるための通院費は対象としたうえで、電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は対象に含まれないと説明しています。自家用車で通院するときのガソリン代や駐車場の料金も対象に含まれません。

Q. 家族のレーシック費用を払ったときは、自分の医療費控除に入れられますか?

A. 国税庁の No.1120 によると、自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象です。それらの親族のために自分が支払った医療費は、自分の医療費と合わせて計算します。

Q. レーシックの手術後に作る眼鏡は、医療費控除の対象ですか?

A. 国税庁の資料に、レーシック手術後の眼鏡についての記載は見当たりませんでした。眼鏡の原文は、医師による治療のために直接必要なものを対象にしており、近視や遠視のために日常生活の必要性に基づいて購入するものは対象外としています。個別の事情は税務署にご確認ください。

参考・出典

※医療費控除の取扱いは個別の事情により異なります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。この記事は、視力矯正の方法や医療機関の選び方など医療についての情報ではありません。

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