ひとり親控除・寡婦控除を年末調整で受けるには?書き方と、忘れたときの確定申告
ひとり親控除・寡婦控除を年末調整で受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「寡婦」「ひとり親」の欄にチェックを付けて、会社に出します。控除額は、ひとり親控除が35万円、寡婦控除が27万円です(所得税、No.1171・No.1170)。年収400万円の人がひとり親控除を受けると、所得税と住民税で合わせて47,868円軽くなる計算です。出し忘れても確定申告で取り戻せます。この記事は、会社に勤めていて年末調整を受ける方向けです。
控除額と、年末調整での受け方
ひとり親控除と寡婦控除は、納税者自身が要件に当てはまるときに受けられる所得控除です。控除額は次のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| ひとり親控除 | 35万円 | 30万円 |
| 寡婦控除 | 27万円 | 26万円 |
出典:国税庁 No.1171 ひとり親控除、No.1170 寡婦控除(所得税)、e-Gov 法令検索 地方税法第34条(住民税)(2026年10月2日確認)。
年末調整で受けるときの流れは3つです。
- 会社から配られる「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の、寡婦またはひとり親の欄にチェックを付ける
- 会社に出す(国税庁の手引きでは、寡婦・ひとり親などの確認は各人からの申告に基づいて行うとされています)
- 年末調整で控除が反映され、源泉徴収された所得税が精算される
どちらの控除も、国税庁の手引きでは扶養控除等(異動)申告書で受ける控除に分類されています。この申告書を出していないと、会社は控除を反映できません。
対象になる人の要件
ひとり親と寡婦は、どちらも合計所得金額が500万円以下で、事実婚の相手がいないことが共通の要件です。違いは、子の有無などです。国税庁の「年末調整のしかた」(令和8年分)と、No.1170・No.1171の範囲でまとめました。
| 項目 | ひとり親 | 寡婦 |
|---|---|---|
| 婚姻 | 現に婚姻をしていない(配偶者の生死が明らかでない人を含む) | 夫と離婚した後、または死別した後に婚姻をしていない(夫の生死が明らかでない人を含む) |
| 子・扶養親族 | 生計を一にする子がいる | 離婚の場合は扶養親族がいる。死別の場合は要件なし |
| 合計所得金額 | 500万円以下 | 500万円以下 |
| 事実婚の相手 | いない | いない |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」13〜14ページ、No.1170・No.1171(2026年10月2日確認)。寡婦は「ひとり親に該当する人を除く」とされています。
子の所得は62万円以下です。ひとり親の「生計を一にする子」は、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっておらず、その年分の総所得金額等が62万円以下の子に限られます。令和7年分までは58万円以下でした。手引きの表は、収入が給与だけの場合の収入金額を136万円以下としています。
給与だけなら、年収約678万円までです。手引きは、給与所得だけの場合、本年中の給与の収入金額が6,777,778円以下であれば、合計所得金額が500万円以下になるとしています。
事実婚の相手がいると対象外です
手引きは、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人として、住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」などと記載された人を挙げています。婚姻届を出していなくても、この記載がある相手がいれば、ひとり親にも寡婦にも当てはまりません。
申告書の書き方と、年の途中で変わったとき
扶養控除等(異動)申告書には、「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄があり、「障害者」「寡婦」「ひとり親」「勤労学生」のチェック欄が並んでいます。
- 「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄を探す
- 当てはまる項目(「寡婦」または「ひとり親」)にチェックを付ける
国税庁の手引きにある記載例は、障害者の欄にチェックを付けた例です。寡婦・ひとり親にチェックを付けた記載例は載っていないので、欄の位置だけを案内しています。子を書く欄の使い分けは、取得した原文では確認できなかったので扱いません。
添付書類は、取得した「年末調整のしかた」に、寡婦・ひとり親の控除で書類を添付する定めは書かれていませんでした。添付が必要と明記されているのは、国外に住む親族(国外居住親族)などの書類です。会社から確認を求められたら、会社の指示に従ってください。
年の途中で離婚・死別したとき
No.1170・No.1171は、寡婦・ひとり親に当てはまるかを原則としてその年の12月31日の現況で判定するとしています。一方、年末調整の手引きは、障害者・寡婦・ひとり親などに当てはまるかどうかは年末調整を行う日の現況で判定し、合計所得金額は年末調整を行う日の現況で見積もった1月1日から12月31日までの合計所得金額で判定するとしています。
手引きは、本年の中途で本人が障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生に当てはまることになった場合を、異動申告が忘れずに行われているか確認する対象に挙げています。また、年の中途で本人が寡婦・ひとり親に当てはまることになった場合は、年末調整で税金が戻る(過納額が生じる)場合の例にも挙げられています(手引き41ページ)。
| 場面 | 判定の基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| タックスアンサー | 原則その年の12月31日の現況 | No.1170・No.1171 |
| 年末調整 | 年末調整を行う日の現況(所得は見積額) | 手引き9ページ |
| 年の中途で該当 | 異動申告を会社が確認する | 手引き9ページ |
出典:国税庁 No.1170・No.1171、「令和8年分 年末調整のしかた」9ページ(2026年10月2日確認)。
出し忘れたら:再調整と確定申告
年末調整で申告しそびれたとき、あとから取り戻す道は2つです。
| 時期 | 直し方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 年末調整のあと〜翌年1月末日 | 異動を申告して、会社にやり直してもらう | 手引き43ページ |
| それより後 | 確定申告で還付を受ける(5年間) | No.2030 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」43ページ、No.2030(2026年10月2日確認)。
手引きは、年末調整が終わったあとに、子が結婚して控除対象扶養親族の数が減ったり、受給者本人が障害者に当てはまることになったりした場合などには、その異動の申告を受けて年末調整のやり直しができるとしています。やり直しができるのは、源泉徴収票を交付する翌年1月末日までです。手引きがこの箇所で例に挙げているのは障害者などで、寡婦・ひとり親の場合の取り扱いは、会社の担当部署にご確認ください。
それを過ぎたら、確定申告で還付を受けます。還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。令和8年分なら、令和9年1月1日から5年間です。
源泉徴収された所得税が0なら、戻る税金もありません
還付は、すでに源泉徴収された所得税がある場合に発生します。給与の源泉徴収票の源泉徴収税額が0の方は、申告しても還付される所得税額はありません(No.2030)。
年末調整が済んだあとの直し方の全体は年末調整の間違いに気づいたらに、期限を過ぎた申告の目安は確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。
いくら軽くなるか:年収別の例
控除を受けるあなた本人の年収別に、控除で所得税と住民税が合わせて軽くなる額の目安です。
| 年収 | 寡婦控除 | ひとり親控除 |
|---|---|---|
| 250万円 | 39,783円 | 44,089円 |
| 300万円 | 39,784円 | 47,868円 |
| 400万円 | 39,784円 | 47,868円 |
| 500万円 | 39,783円 | 47,867円 |
| 600万円 | 53,567円 | 65,735円 |
※東京都・40歳未満・本人の年収で、他の所得控除は考慮しない前提の、所得税と住民税の合計です。年収400万円の内訳は、ひとり親控除が所得税17,868円・住民税30,000円、寡婦控除が所得税13,784円・住民税26,000円です。住民税は翌年度の税額が軽くなる分で、年末調整で戻るのは所得税です。
年収を入れて試算するときは、寡婦控除・ひとり親控除でいくら戻る 計算ツールが使えます。年収が低い場合の住民税の非課税の扱いも、このツールで確認できます。
よくある質問
Q. ひとり親控除・寡婦控除は、年末調整で受けられますか?
A. 受けられます。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、寡婦控除・ひとり親控除などを「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で受ける控除としています。この申告書の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄に、当てはまる項目のチェックを付けて、給与の支払者(会社)に出します。
Q. ひとり親控除と寡婦控除は、両方受けられますか?
A. 両方は受けられません。手引きは、寡婦を「ひとり親に該当する人を除きます」と定めています。ひとり親に当てはまる人は、ひとり親控除(所得税35万円)だけを受けます。
Q. 給与だけの場合、年収いくらまで対象ですか?
A. 手引きは、給与所得だけの場合、本年中の給与の収入金額が6,777,778円以下であれば、合計所得金額が500万円以下になるとしています。合計所得金額の500万円以下は、寡婦・ひとり親どちらの要件でもあります。
Q. 子がアルバイトをしています。ひとり親控除は受けられますか?
A. ひとり親の要件の「生計を一にする子」は、その年分の総所得金額等が62万円以下(令和8年分から。令和7年分までは58万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます(No.1171、年末調整のしかた)。手引きの表は、収入が給与だけの場合は136万円以下としています。
Q. 事実婚の相手がいる場合は、対象になりますか?
A. 対象になりません。寡婦・ひとり親とも、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないことが要件です。手引きは、その人にあたる例として、住民票の続柄が「未届の夫」「未届の妻」などと記載されている人を挙げています。
Q. 年の途中で離婚・死別しました。今年から受けられますか?
A. No.1170・No.1171は、原則としてその年の12月31日の現況で判定するとしています。一方、年末調整の手引きは、障害者・寡婦・ひとり親などに当てはまるかどうかを年末調整を行う日の現況で判定し、合計所得金額は見積額で判定するとしています。年の中途で本人が寡婦・ひとり親に当てはまることになった人は、異動申告が忘れずに行われているか会社が確認する対象とされています。
Q. 会社に添付書類は必要ですか?
A. 取得した手引きには、寡婦・ひとり親の控除で書類を添付する定めは書かれていませんでした。添付が必要と明記されているのは、国外に住む親族(国外居住親族)などの書類です。会社から確認を求められたときは、会社の指示に従ってください。
Q. 年末調整で出し忘れました。どうなりますか?
A. 年末調整のあとに本人の状況が変わったときなどは、異動の申告を受けて、源泉徴収票を交付する翌年1月末日まで会社が年末調整をやり直せます(手引き43ページ)。過ぎたら確定申告で還付を受けます。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。
参考・出典
- 国税庁 - No.1171 ひとり親控除(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1170 寡婦控除(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.2030 還付申告(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - 令和8年分 年末調整のしかた(2026年10月2日確認)
- e-Gov 法令検索 - 地方税法(第34条)(2026年10月2日確認)
※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。