防衛特別所得税とは?いつから(令和9年)・税率1%・復興特別所得税は1.1%に下がる・給料から引かれる額は増えるか
会社に勤めていて、令和9年(2027年)1月から始まる防衛特別所得税が給料にどう影響するか気になっている方向けの解説です。防衛特別所得税は、令和9年1月1日以後、所得税の額に対して1%が上乗せされる税です。一方で復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に下がるため、国税庁は合計税率(2.1%)に変更はなく、源泉徴収税額の計算方法も変わらないとしています。この記事では、e-Govの条文と国税庁・財務省の原文で、始まる時期と税率、復興特別所得税との関係、令和9年分の源泉徴収税額表の変更点を整理します。
防衛特別所得税とは・いつから・税率
防衛特別所得税は、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(防衛財源確保法)の第三章の二に定められた税です。e-Govの条文で確認できたのは次のとおりです。
| 項目 | 条文に書かれている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 何に課されるか | 所得税の納税義務者は、基準所得税額(おおむねその年分の所得税の額)につき納める。給料などの源泉徴収では、徴収する所得税の額につき、源泉徴収義務者が徴収して納付する | 第5条の4 |
| いつから | 個人は令和9年分以後の各年分の所得税から。源泉徴収は令和9年1月1日以後に行うべき徴収から | 第5条の5、第5条の26 |
| 税率 | 基準所得税額×100分の1(1%)。源泉徴収では徴収する所得税の額×1% | 第5条の9、第5条の26第2項 |
| いつまで | 「当分の間」。終わりの年は条文に書かれていない | 第5条の5 |
出典:e-Gov法令検索 防衛財源確保法(令和5年法律第69号)2027年1月1日施行版、2026年10月2日確認。
この章は、2026年4月1日施行の版にはまだ含まれておらず、2027年1月1日施行の版から現れます。改正したのは、令和8年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)です。2028年1月1日施行の版も、防衛特別所得税の本文は同じです。実施のための「防衛特別所得税に関する政令」(令和8年政令第106号)も、令和9年1月1日から施行されます。
税率の1%は、所得税の税率ではなく、所得税の額に対する割合です。たとえば所得税が10,000円なら、防衛特別所得税は100円です。
復興特別所得税は1.1%に下がる
防衛特別所得税と同じ法律で、復興特別所得税も改正されます。復興財確法(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)の2026年4月1日施行の版と2027年1月1日施行の版を比べると、次のとおりでした。
| 項目 | 令和8年分まで | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税の税率 | 2.1% | 1.1% |
| 復興特別所得税の課税期間 | 令和19年(2037年)まで | 令和29年(2047年)まで |
| 防衛特別所得税の税率 | なし | 1% |
| 所得税の額に上乗せされる合計 | 2.1% | 2.1%(1%+1.1%) |
出典:e-Gov法令検索 復興財確法第9条・第13条・第28条、防衛財源確保法第5条の9・第5条の26、国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」、2026年10月2日確認。
つまり、復興特別所得税が1%下がり、その分を防衛特別所得税1%が埋める形で、所得税の額に上乗せされる合計は変わりません。ただし、復興特別所得税の課税期間は10年延びます。
給料から引かれる額は増えるか
給料から源泉徴収される所得税等は、「所得税+防衛特別所得税+復興特別所得税」の合計です。国税庁の改正のあらましは、改正前と改正後で合計税率(2.1%)に変更はないので、改正前後で源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないと書いています。令和9年分の源泉徴収税額表には、防衛特別所得税相当額と復興特別所得税相当額があらかじめ含まれています。
一方で、令和9年分の源泉徴収税額表は、令和8年度税制改正による基礎控除と給与所得控除の最低保障額の引上げに伴って改正されました。国税庁の月額表(甲欄・扶養親族等0人)を、令和8年分と令和9年分で同じ行を並べると次のとおりです。
| 社会保険料等控除後の給与等の金額 | 令和8年分の税額表 | 令和9年分の税額表 |
|---|---|---|
| 199,000円以上201,000円未満 | 4,340円 | 4,170円 |
| 248,000円以上251,000円未満 | 6,110円 | 5,940円 |
| 299,000円以上302,000円未満 | 7,930円 | 7,760円 |
| 398,000円以上401,000円未満 | 15,650円 | 15,320円 |
出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」令和8年分・令和9年分、甲欄・扶養親族等の数が0人の税額、2026年10月2日確認。
この4つの行では、令和9年分の税額のほうが低くなっています。ここに載せたのは国税庁の税額表の数字そのもので、手取りの増減額の試算ではありません。実際の手取りは、社会保険料や住民税、扶養親族等の数によっても変わります。令和8年11月までの源泉徴収は従来どおりで、令和8年分の基礎控除などの引上げは、令和8年12月の年末調整で反映されます(国税庁の改正のあらまし)。
基礎控除の引上げの内容は定額減税は2026年もある?令和6年だけの措置と、令和8年分の基礎控除引上げで、手取りの試算は手取り計算ツール(令和8年の制度で試算)でご確認ください。
令和9年分の源泉徴収税額表の変更
令和9年分の源泉徴収税額表は、令和8年8月31日に国税庁のホームページで公表されました。会社が給料から所得税等を差し引くときに使う表です。
| 項目 | 国税庁に書かれている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 使う給与 | 令和9年1月1日以後に支払う給与。令和8年分以前の給与等の税額を出すときは使わない | 年末調整のしかた(令和8年分)、令和9年分源泉徴収税額表 |
| 税額に含まれる税 | 所得税に加え、防衛特別所得税相当額と復興特別所得税相当額が含まれる | 令和9年分源泉徴収税額表 表紙 |
| 改正の理由 | 基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)に伴う改正 | 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし |
| 扶養親族等の要件 | 合計所得金額の要件が変更された(扶養親族は58万円以下から62万円以下) | 改正のあらまし、令和9年分源泉徴収税額表 表紙 |
出典:国税庁「令和9年分源泉徴収税額表」「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」「令和8年分 年末調整のしかた」、2026年10月2日確認。
表の読み方は、月額表は源泉徴収税額表(月額表)の見方、日額表は源泉徴収税額表(日額表)の見方で解説しています(掲載しているのは令和8年分の表です)。
令和9年分の源泉徴収税額表よくある質問
Q. 防衛特別所得税はいつから始まりますか?
A. 防衛財源確保法の第5条の5は、居住者に対して課される令和9年分以後の各年分の所得税に係る基準所得税額に防衛特別所得税を課すと定めています。給料などの源泉徴収は、令和9年1月1日以後に行うべき徴収から、所得税と併せて防衛特別所得税を徴収します(第5条の26)。国税庁は、令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税について適用されると案内しています。
Q. 防衛特別所得税の税率は何%ですか?
A. 個人の防衛特別所得税の額は、その年分の基準所得税額に100分の1の税率を乗じた金額です(第5条の9)。源泉徴収では、徴収する所得税の額の1%です(第5条の26第2項)。所得税の税率そのものではなく、所得税の額に対する1%である点に注意が必要です。
Q. 防衛特別所得税はいつまで続きますか?
A. 条文は「当分の間」としており(第5条の5)、終わりの年は書かれていません。財務省の令和8年度税制改正の大綱にも、課税期間は令和9年以後の当分の間とあります。
Q. 復興特別所得税はなくなりますか?
A. なくなりません。税率が2.1%から1.1%に下がり、課税期間が令和19年(2037年)までから令和29年(2047年)までに10年延長されます(復興財確法の第9条・第13条、国税庁の改正のあらまし)。
Q. 給料から引かれる税金は増えますか?
A. 国税庁は、改正前の復興特別所得税2.1%と、改正後の防衛特別所得税1%+復興特別所得税1.1%とで合計税率(2.1%)に変更はなく、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないとしています。ただし、令和9年分の源泉徴収税額表は、基礎控除の引上げなどに伴って改正されています。実際の手取りは、社会保険料や住民税、扶養の状況でも変わります。
Q. 令和8年12月の年末調整にも防衛特別所得税はかかりますか?
A. かかりません。防衛特別所得税は令和9年分以後の所得税から課されるためです(第5条の5)。令和8年12月に行う年末調整は令和8年分で、従来どおり所得税と復興特別所得税(2.1%)で精算します。令和9年分の年末調整からは、国税庁によると、所得税と防衛特別所得税と復興特別所得税の合計額(年調所得税額×102.1%)で行います。
Q. 防衛特別法人税とは別の税ですか?
A. 別の税です。防衛財源確保法は、第三章の二で防衛特別所得税を、第四章で防衛特別法人税を定めています。財務省の大綱では、防衛特別法人税の創設は令和8年4月施行、防衛特別所得税の創設は令和9年1月施行とされています。防衛特別法人税は法人に課される税で、この記事で扱う給料の源泉徴収とは別です。
参考・出典
- 防衛財源確保法(e-Gov)第三章の二・復興財確法(e-Gov)・防衛特別所得税に関する政令(e-Gov)(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF)・令和9年分源泉徴収税額表(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - 令和8年分 年末調整のしかた・No.2511 税額表の種類と使い方(2026年10月2日確認)
- 財務省 - 令和8年度税制改正の大綱(PDF、2026年10月2日確認)
※e-Gov・国税庁・財務省に書かれている範囲の整理です。実際の源泉徴収額や手取りは、勤務先の給与計算、社会保険料、扶養の状況によって異なります。個別の事情は、勤務先の給与担当、税務署、税理士にご確認ください。