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年金暮らしのふるさと納税は、年金だけでも控除を受けられる。ただし住民税が非課税の年は引く税金がなく、確定申告をする年はワンストップ特例が使えない
ふるさと納税の控除は、寄附額のうち2,000円を超える部分を、納めた所得税と住民税の所得割から引く仕組みです。公的年金は税法上、雑所得です。公的年金等控除を引いたあとの金額に課税されていれば、収入が年金だけでも控除の対象になります。一方で、住民税が非課税の年は引き先の所得割の額が0円になるため、住民税からは戻らないと読めます。ワンストップ特例は、公的年金の収入が400万円以下でほかの所得が20万円以下なら使えると読めますが、医療費控除などで確定申告をする年は無効になります。問いごとに、総務省・国税庁・地方税法の原文で確かめた内容をまとめました。
年金だけの人は、ふるさと納税の控除を受けられるか
受けられます。年金が収入のすべてでも、制度の対象です。控除の仕組みは、収入の種類ではなく、引ける税金があるかどうかで決まります。
国税庁によると、老齢年金などの公的年金等は雑所得で、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します(No.1600)。住民税の所得割も、課税の元になる総所得金額は所得税の計算の例で求めます(地方税法第313条)。つまり、年金から公的年金等控除を引いた金額が、所得税と住民税の課税の出発点になります。
65歳以上で、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合の速算表から、年金収入ごとの雑所得を引き写します。
| 公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 | 計算例 |
|---|---|---|
| 110万円以下 | 0円 | ― |
| 110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 | 200万円なら90万円 |
| 330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 | 350万円なら235万円 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」の速算表(令和2年分以後、65歳以上、公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合)。計算例は当サイトによる計算で、350万円→235万円は同ページの具体例と一致します。65歳未満の区分は同ページの表を見てください。
ここから先は、所得控除(基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除など)を引いた残りに税率がかかります。所得控除は人によって違うので、この記事は年金収入から税額を出しません。税額が出るかどうかは、住民税の通知書にある所得割の額で見るのが確実です。年金の天引きの内訳は年金の手取りシミュレーターで確かめられます。
国税庁の控除の仕組みも押さえておきます。所得税分は「(寄附額-2,000円)を所得控除」して所得税が減る形、住民税分は「基本分」と「特例分」の税額控除です(No.1155)。納めていない税金は引けないので、所得税が0円なら所得税の分は動きません。ふるさと納税ニッポンの年金受給者向けのページにも、「所得税や住民税を納めている年金受給者でなければ控除は受けられません」という説明があります(2026年10月3日確認)。
寄附額の目安は、どの式で出すのか
総務省の「税金の控除について」は、控除の式を次のように書いています。
| 控除の種類 | 総務省の式 | 対象になる寄附額の上限 |
|---|---|---|
| 所得税 | (寄附額-2,000円)×所得税の税率 | 総所得金額等の40% |
| 住民税(基本分) | (寄附額-2,000円)×10% | 総所得金額等の30% |
| 住民税(特例分) | (寄附額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率) | 住民税所得割額の2割が限度 |
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」(2026年10月3日確認)。所得税の税率は、復興特別所得税を加えた率を使うと書かれています。
特例分は所得割額の2割が限度で、超えると、3つの控除を合計しても(寄附額-2,000円)の全額は引けず、実質負担額は2,000円を超えます。基本分と所得税分には、対象になる寄附額の上限(総所得金額等の30%・40%)が別にあります。下の計算例は、この上限に余裕がある場合の数字です。
特例分がちょうど所得割額の2割になる寄附額は、総務省の式を変形して、次のように出せます。
寄附額 = 所得割額 × 20% ÷(90% - 所得税の税率)+ 2,000円
この式を、仮に置いた所得割額に当てはめた計算例です。所得税率は、5%に復興特別所得税(2.1%)を加えた5.105%と、所得税がかからない0%の2通りで計算しました。
| 所得割額(仮定) | 所得税率5.105% | 所得税率0% |
|---|---|---|
| 3万円 | 約9,000円 | 約8,600円 |
| 5万円 | 約13,700円 | 約13,100円 |
| 10万円 | 約25,500円 | 約24,200円 |
当サイトの計算です(100円未満は切り捨て)。所得割額は説明のために仮に置いた数字で、年金収入からは導いていません。ほかの控除や、住民税の特例分で使う所得税率(人的控除差調整額を引いた課税総所得金額で求める率)が違えば、結果は変わります。実際の上限額ではありません。
手元の所得割額は、市区町村から届く住民税の通知書で確かめられます。寄附する年の所得割は翌年に決まるため、手元にあるのは前年の額です。年金額や控除が前年と変わらなければ近い額になると見込めますが、総務省は具体的な上限額の計算を市区町村の住民税担当への問い合わせとして案内しています(よくある質問 Q5)。ふるさと納税による税の軽減は1月から12月の年単位で扱われます(Q4)。
住民税が非課税の年は、控除を受けられるか
住民税からは受けられないと読めます。地方税法第314条の7第1項は、寄附金税額控除を「所得割の額から控除する」と定めています。控除額が所得割の額を超えるときは、所得割の額に相当する金額までです。住民税が非課税なら、引き先の所得割の額が0円なので、住民税から引ける額も0円になります。
| 年金暮らしの状況 | 住民税の所得割 | 寄附金税額控除 |
|---|---|---|
| 住民税が課税されている | あり | 所得割の額の範囲で引ける |
| 住民税が非課税 | 0円 | 引き先がなく、0円と読める |
出典:地方税法第314条の7第1項、第295条(e-Gov、2026年10月3日確認)。表の右列は条文からの読みで、総務省の明文は確認できていません。
非課税の範囲は第295条に書かれています。生活保護の生活扶助を受けている人、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人には市町村民税を課せません(1項)。均等割のみの人のうち、前年の合計所得金額が条例で定める金額以下の人は、均等割も課せません(3項)。この金額は市町村の条例で決まるので、自分が非課税かどうかは住民税非課税世帯 判定ツールの目安のあと、市区町村の通知書で確かめてください。
ふるさと納税ニッポンの年金受給者向けのページにも、年金収入が140万円の72歳の例として、「非課税世帯のため税額控除を受けることができず、ふるさと納税の恩恵は受けられないことがわかりました」という事例が載っています(2026年10月3日確認)。
非課税の年に寄附することは自由にできます。ただし、税金が戻らないので、寄附した額がそのまま自己負担になります。実質2,000円で済む仕組みは使えません。非課税の年は、寄附する前に所得割の額を確かめてください。
確定申告が不要な年金の人は、ワンストップ特例を使えるか
使えると読めます。総務省は、ワンストップ特例の対象を「確定申告の不要な給与所得者等」で、寄附先が5団体以内の人としています。地方税法附則第7条1項は、対象となる人に所得税法第121条の適用を受けると見込まれる人を含めています。同条3項は、公的年金等の収入が400万円以下で、公的年金等以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の申告書の提出を要しないと定めています。
国税庁も、この確定申告不要制度を、公的年金等の収入金額が400万円以下で、それ以外の所得金額が20万円以下の場合と説明しています(No.1600)。ふるさと納税ニッポンの年金受給者向けのページにも、「年金受給者はワンストップ特例制度を利用できる?」の項があり、利用できない条件が挙がっています(2026年10月3日確認)。
| 年金暮らしの状況 | 確定申告 | ワンストップ特例 |
|---|---|---|
| 年金400万円以下・ほかの所得20万円以下・寄附5団体以内 | 不要 | 使えると読める |
| 年金が400万円を超える | 不要制度の対象外 | 使えないと読める |
| 年金以外の所得が20万円を超える | 必要 | 無効。寄附も申告に含める |
| 寄附先が6団体以上 | 寄附を申告する | 使えない |
出典:地方税法附則第7条1項・2項、所得税法第121条3項(e-Gov)、国税庁 No.1600・No.1155、総務省「よくある質問」Q3・Q7(2026年10月3日確認)。上段は条文の組み合わせからの読みで、総務省の明文は「確定申告の不要な給与所得者等」です。
年金以外の所得が20万円以下でも、住民税の申告が必要な場合があります(国税庁 No.1600 注2)。附則第7条1項も、寄附金税額控除の目的以外に住民税の申告書の提出を要しない人に限っています。パート収入などがあるときは、市区町村の住民税担当に聞いてください。ワンストップ特例の提出期限はワンストップ特例の期限と過ぎたときにまとめています。
医療費控除などで確定申告をする年は、どうなるか
年金暮らしでは、医療費がかさんだ年に確定申告をすることがあります。国税庁は、確定申告不要制度の人でも、医療費控除や社会保険料控除など所得控除による所得税の還付を受けるための確定申告はできると説明しています(No.1600 注1)。
この年は、ふるさと納税の扱いが変わります。国税庁は、確定申告を行う方は、ワンストップ特例の申請が無効になると説明しています。医療費控除や雑損控除を受けるために確定申告をする人も同じで、ワンストップ特例の申請をした分も含めて、寄附金控除額を計算する必要があります(No.1155)。
- 確定申告書に書くもの:寄附先の名称と寄附額。申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」と、「住民税に関する事項」の寄附の欄の両方です(No.1155)。
- 書き忘れたとき:誤って寄附金控除の適用を受けずに確定申告をした場合は、更正の請求で適用を受けられます。ただし、最終的な税額に変わりがないときは更正の請求ができず、市区町村への相談になります(No.1155 注2)。
- 寄附の受領書:確定申告には、寄附先が発行する受領書が必要です(総務省)。年の途中で医療費が増えそうなら、受領書を捨てずに残してください。
年金の確定申告が必要な人・不要な人の分かれ目は年金の確定申告は必要?必要な人・不要な人にまとめています。
次の一手
寄附する前に、次の順で進めます。
- 所得割の額を見る:住民税の通知書で、課税されているか、所得割の額がいくらかを確かめる。非課税なら、寄附で税金は戻らない。
- 確定申告をするか決める:医療費控除など、ふるさと納税以外で確定申告をする年は、寄附も申告書に書く。しない年は、ワンストップ特例を使える。
- 寄附額を決める:所得割額の2割に収まる額を目安にする。具体的な上限額は、市区町村の住民税担当に聞く。
退職した年の寄附は退職した年のふるさと納税に、現役の会社員の進め方は会社員のふるさと納税のやり方にまとめています。
よくある質問
Q. 年金だけでも、ふるさと納税の控除を受けられますか?
A. 受けられます。ただし、控除は納めた所得税と、住民税の所得割から引く仕組みです。総務省の計算式は、所得税分は「(寄附額-2,000円)×所得税率」、住民税分は「基本分+特例分」で、引き先の所得割がない年は住民税からは引けません。公的年金は雑所得で、公的年金等控除を引いた後の金額に課税されます(国税庁 No.1600)。
Q. 住民税が非課税の年に寄附したら、どうなりますか?
A. 住民税からは引けないと読めます。地方税法第314条の7第1項は、寄附金税額控除を所得割の額から引くと定め、控除額が所得割の額を超えるときは所得割の額までとしています。非課税なら所得割の額は0円です。所得税を納めていなければ、所得税の分も引く先がありません。税金が戻らないので、寄附した額がそのまま自己負担になります。
Q. 年金が400万円以下なら、ワンストップ特例を使えますか?
A. 使えると読めます。地方税法附則第7条1項は、所得税法第121条の適用を受けると見込まれる人を対象に含めていて、同条3項は公的年金等の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下の人の申告を不要としています。ただし、住民税の申告が必要な人や、ほかの理由で確定申告をする人は使えません。寄附先は5団体以内です。
Q. 医療費控除で確定申告する年に、ワンストップ特例を出していたらどうなりますか?
A. 申請は無効になります。国税庁は、確定申告を行う方はワンストップ特例の申請が無効になるため、申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があると説明しています(No.1155)。確定申告書に寄附先と寄附額を書きます。
Q. 年金のほかにパートの収入があります。ワンストップ特例は使えますか?
A. 年金以外の所得金額の合計が20万円を超えると、確定申告の不要制度の対象外になり、ワンストップ特例は使えません(所得税法第121条3項)。給与は、給与所得控除を引いた後の金額で数えます。20万円以下でも、住民税の申告が必要な場合があります(国税庁 No.1600 注2)。迷うときは市区町村の住民税担当に聞いてください。
Q. ふるさと納税の上限額ツールは、年金暮らしでも使えますか?
A. 当サイトのツールは、年収・扶養人数・都道府県を入れる作りで、公的年金等控除の入力欄はありません。年金だけの人の上限額は、所得割の額から総務省の式で割り出すか、市区町村の住民税担当に聞いてください(総務省 よくある質問 Q5)。
参考・出典
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」(2026年10月3日確認)
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」(Q3・Q4・Q5・Q7)
- 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」(令和8年4月1日現在法令等)
- e-Gov法令検索「地方税法」(第295条、第313条、第314条の7、附則第7条)
- e-Gov法令検索「所得税法」(第35条、第121条)
- ふるさと納税ニッポン「年金受給者のためのふるさと納税」(販売サイトの案内。2026年10月3日に内容を確認)