年金の確定申告は必要?必要な人・不要な人と必要書類
公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であれば、確定申告の必要はありません。この記事では、国税庁と日本年金機構の案内にもとづいて、申告が必要な人・不要な人の早見表、不要でも住民税の申告が要る場合、還付を受けたいときの申告、必要書類がいつ届くかをまとめます。
年金をもらっている人は、確定申告が必要?
国税庁(タックスアンサー No.1600)は、公的年金等に係る確定申告不要制度を次のとおり案内しています。その年の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、確定申告の必要はありません。
| あなたの場合 | 申告不要制度 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 年金収入400万円以下、年金以外の所得20万円以下 | 使える | しなくてよい |
| 年金収入が400万円を超える | 使えない | 税額が出れば申告して精算 |
| 年金以外の所得が20万円を超える | 使えない | 税額が出れば申告して精算 |
| 源泉徴収されない年金(外国の年金など)を受給 | 使えない | 税額が出れば申告して精算 |
| 上の1行目で、還付を受けたい | 使える | 任意で申告できる |
※「収入金額」は税金や保険料が引かれる前の年金の額(額面)です。年400万円は月額に直すと約33万円です。年金以外の所得とは、給与・副業・不動産・配当などから経費等を引いたあとの所得金額を指します。出典:国税庁 No.1600。
2行目から4行目の「税額が出れば申告して精算」は、国税庁の案内(No.1600)にある「公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある方は、確定申告で税額を精算する」にもとづく書き方です。申告不要制度が使えないことと、実際に納める税額が出ることは別なので、控除を差し引いた結果は申告書の作成で確かめます。
年金収入が400万円以下でも対象外になる年金
平成27年分以後は、源泉徴収の対象とされない年金(外国の法令に基づく社会保険・共済制度の年金など)を受給している方は、この制度を使えません(国税庁 No.1600 注3)。
確定申告が不要でも、住民税の申告が要る場合
国税庁は、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があると案内しています(国税庁 No.1600 注2)。確定申告が不要なことと、住民税の申告が不要なことは同じではありません。
どの場合に住民税の申告が要るかは、この国税庁の案内には書かれていません。住民税は市区町村が課す税なので、年金以外の所得がある方は、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
申告不要でも、還付を受けたいなら申告できる
確定申告が不要な人でも、医療費控除や社会保険料控除など各種の所得控除を受けて、所得税の還付を受けるための確定申告はできます(国税庁 No.1600 注1)。還付申告は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。
| 控除 | 対象になる支出 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 1月1日から12月31日までに支払った医療費 | 支払額 − 保険金等の補てん額 − 10万円(総所得金額等が200万円未満の人は5%)。最高200万円 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料など | 実際に支払った額、または年金から差し引かれた額の全額 |
出典:国税庁 No.1120(医療費控除)、No.1130(社会保険料控除)。
ただし、所得税の還付は、源泉徴収や予定納税ですでに納めた所得税がある場合に発生します。年金から源泉徴収された所得税額がない方は、申告しても還付される所得税額はありません(国税庁 No.2030)。年金から引かれた所得税額は、後述の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄で確かめられます。
必要書類は、いつ届く?
確定申告で中心になる書類は、日本年金機構が送る「公的年金等の源泉徴収票」です。1年間に支払われた年金の金額と、年金から源泉徴収された所得税額が書かれています。
| 書類 | 届く時期 | 対象の人 |
|---|---|---|
| 公的年金等の源泉徴収票 | 令和7年分は令和8年1月8日〜15日に順次 | 老齢・退職を支給事由とする年金の受給者 |
| 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 | 毎年10月〜11月、2月初旬頃 | その年に国民年金保険料を納付した方 |
出典:日本年金機構「通知書の見方を調べる」。
源泉徴収票をなくしたときは、日本年金機構に再交付を申請できます。
扶養親族等申告書は、確定申告の代わりになる?
「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、確定申告の代わりではありません。日本年金機構によると、所得税または住民税の課税対象となる方から、税額計算の際の各種控除額の算出のもとになる申告書を提出してもらうために送っているものです。
- 送られる人:老齢または退職を支給事由とする年金を受給していて、年金額が65歳未満で98万円以上、65歳以上で148万円以上ある方
- 令和9年分の送付時期:令和8年9月7日(月曜)より順次
- 提出が必要な人:本人が障害者・寡婦等に該当する方、控除対象となる配偶者または親族がいる方、退職手当等を受ける見込みのある配偶者または親族がいる方
- 提出が要らない人:上の項目のどれにも当てはまらない方
提出した内容は、翌年1月に届く公的年金等の源泉徴収票にも記載されます(障害者・配偶者などの欄)。
年金の手取りや、スマホでの申告は?
年金から税金や保険料が引かれたあと、実際にいくら手元に残るのかは、年金の手取り計算機で、年金額を入れるだけで概算できます。医療費控除でいくら戻るかを見たい方は、医療費控除の計算機をお使いください。
還付を受けるために申告すると決めたら、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで申告書を作成・提出できます(国税庁 No.2030)。スマートフォンでの手順はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方にまとめています。
よくある質問
Q. 年金だけで暮らしていれば、確定申告は必要ありませんか?
A. 公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であれば、確定申告の必要はありません(国税庁 No.1600)。年金収入が400万円を超える場合や、年金以外の所得が20万円を超える場合は、この制度は使えません。
Q. 確定申告が不要なら、住民税の申告も不要ですか?
A. 不要とは限りません。国税庁は、確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があると案内しています(国税庁 No.1600 注2)。住民税は市区町村の税なので、必要かどうかはお住まいの市区町村にご確認ください。
Q. 確定申告が不要でも、申告してよいのですか?
A. 申告できます。医療費控除や社会保険料控除など各種の所得控除を受けて所得税の還付を受けるための確定申告は、申告不要制度の対象でも行えます(国税庁 No.1600 注1)。還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。
Q. 公的年金等の源泉徴収票はいつ届きますか?
A. 日本年金機構の案内では、令和7年分は令和8年1月8日(木曜)から15日(木曜)にかけて順次送付されました。送付対象者は、老齢または退職を支給事由とする年金を受給している方です。なくしたときは再交付を申請できます。