新NISAは確定申告が必要?|不要な人・必要になる場合(特定口座との併用・損失・扶養・外国株の配当)
新NISAの口座の中だけで売買や配当を受け取っているなら、売却益にも配当にも税金がかからないので、確定申告で申告するものはありません。国税庁・金融庁の案内では、NISA口座内の少額上場株式等の配当と売却益は非課税とされています。ただし、NISA口座内の売却で損が出ても、ほかの口座の利益と相殺する損益通算や、翌年以後に繰り越す繰越控除はできません。特定口座や一般口座も使っている人は、その口座の分は別に確かめる必要があります。本記事では、確定申告が必要になる場面と、扶養・個人事業主・外国株の配当の扱いを、原文で確かめた範囲でまとめます。
新NISAの確定申告が必要な人・不要な人の早見表
NISA口座で投資している人が確定申告を気にするのは、おもに次の場面です。国税庁・金融庁の案内に沿って整理します。
| ケース | 確定申告 | メモ |
|---|---|---|
| NISA口座内の売却益・配当 | 申告するものがない | 非課税の対象 |
| NISA口座内の売却で損が出た | 損益通算・繰越控除は不可 | 申告しても使えない |
| 特定口座(源泉徴収あり)も使っている | その口座の分は別に判断 | 売却益は申告不要を選べる |
| 一般口座・簡易申告口座も使っている | その口座の分は必要 | 株の申告のページへ |
| NISA口座内の外国株の配当 | 外国税額控除は対象外 | 国税庁No.1240 |
※「新NISA」は令和6年(2024年)1月に始まった制度です。令和5年以前のNISAで投資した商品も、新NISAの枠の外で非課税の対象になると国税庁のパンフレットに書かれています。
特定口座や一般口座を使っている人は、先に株の確定申告は必要?必要な人・不要な人で、その口座の分を確かめてください。NISA口座の分は、そちらの申告には入りません。
この記事は、令和8年4月1日現在の法令等に基づく国税庁の案内で説明します。
NISA口座は何が非課税?「いくらから」「控除」の答え
金融庁の案内では、株式や投資信託を通常の口座で売って得た利益や受け取った配当には約20%の税金がかかり、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になると説明されています。国税庁のパンフレットは、非課税の対象を「非課税口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益」としています。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資上限額 | 120万円 | 240万円 |
| 投資対象 | 一定の投資信託 | 一定の上場株式・投資信託等 |
| 非課税保有限度額 | 全体で1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
※2つの枠は併用できます。口座を開けるのは、口座開設の年の1月1日で18歳以上の居住者等です。非課税保有期間に制限はなく、非課税保有限度額は簿価(買った金額)で管理され、売却すると枠を再利用できます(国税庁パンフレット・金融庁)。
サジェストでよく見る「いくらから」と「控除」について、原文で確かめられたことは次のとおりです。
- 「いくらから」:国税庁・金融庁の説明に、NISA口座の利益が非課税になる金額の下限や上限は出てきません。上限があるのは、年間投資上限額と非課税保有限度額という、投資する元手の側です。
- 「控除」:国税庁はNISAを「非課税措置」と説明しています。所得から一定額を差し引く所得控除の欄に書く制度ではなく、口座内の配当・譲渡益が非課税になる措置です。
つみたて投資枠の対象年齢の下限は、令和9年(2027年)1月1日以後に撤廃されることになったと、国税庁のパンフレットに注記されています。詳しくは、国税庁の「令和8年度税制改正のあらまし」をご覧ください。
特定口座や一般口座と併用しているとき
NISA口座は、証券会社に開く口座の1つです。国税庁のパンフレットでは、上場株式等の取引には「一般口座」「特定口座」「非課税口座(NISA)」の3つがあると説明されています。確定申告の要否は、口座ごとに分けて考えます。
- NISA口座の売却益・配当:非課税なので、申告するものがありません。
- 特定口座(源泉徴収あり)の売却益:口座ごとに申告するか、申告不要にするかを選べます。
- 一般口座・簡易申告口座の売却益:確定申告が必要です。
特定口座の損失を翌年以後に繰り越したいときや、ほかの口座の損益と相殺したいときは、確定申告が必要になります。詳しい条件は株の確定申告は必要?必要な人・不要な人で説明しています。NISAを使っているからといって、特定口座の申告の扱いが変わるわけではありません。
なお、NISA口座から特定口座や一般口座に株式等を移した場合、その株式等の取得費は、移した日の終値に相当する金額になります(国税庁No.1464)。非課税の期間が終わった旧NISAの株などを、あとで売るときに関係します。
NISAで損をしても、損益通算・繰越控除はできない
非課税の裏側として、損失の扱いに注意が必要です。国税庁のタックスアンサーNo.1474には、非課税口座(NISA)内の上場株式等を譲渡して生じた譲渡損失は、損益通算も繰越控除もできないと書かれています。パンフレットには「非課税口座で取得した上場株式等を譲渡したことにより生じた損失は、ないものとみなされます」という注記があります。
| 損失が出た口座 | 損益通算 | 繰越控除 |
|---|---|---|
| 特定口座・一般口座(上場株式等) | 確定申告でできる | 確定申告でできる |
| NISA口座 | できない | できない |
※特定口座・一般口座の損失の扱いには、期間や必要書類などの条件があります。詳しくは株の確定申告のページをご覧ください。
たとえば、NISA口座で損が出た年に、特定口座で売却益が出ていたとしても、NISA口座の損失をその売却益から引くことはできません。NISA口座の損失は、確定申告をしても使えないため、申告のために手続をする意味もありません。
扶養や会社員の「20万円ルール」に影響する?
扶養の判定については、国税庁のタックスアンサーNo.1180のQ&Aに、次の説明があります。扶養親族や同一生計配偶者に該当するかを判定する場合の合計所得金額には、「所得税法やその他の法令の規定によって非課税とされる所得の金額は含まれない」とされています(例として挙がっているのは遺族年金です)。
NISA口座内の配当・譲渡益は、租税特別措置法に基づく非課税措置の対象です(国税庁No.1240、パンフレット)。この説明に当てはめると、税法上の扶養の判定に使う合計所得金額には、NISA口座内の利益は入らないと読めます。なお、国税庁の用語解説にある合計所得金額の内訳(事業所得・給与所得・総合課税の配当所得など、申告分離課税の所得)にも、NISAの非課税分は挙がっていません。
ただし、これは税法上の扶養の話です。健康保険の被扶養者の判定は別の制度なので、加入している健康保険の案内でご確認ください。
20万円ルールは、国税庁のタックスアンサーNo.1900にある、給与を1か所から受けている会社員の確定申告の目安です。給与・退職所得以外の「各種の所得金額」の合計が20万円を超えると申告が必要になります。NISA口座内の配当や譲渡益は非課税とされていて、課税される所得ではありません。そのため、NISA口座の利益が大きくなっても、これだけで20万円ルールの申告が必要になるわけではありません。特定口座や一般口座の分は、その口座の扱いで別に判断します。副業の所得がある人は副業の確定申告も確かめてください。
個人事業主の場合も同じ?
国税庁・金融庁の案内で、NISA口座を開けるのは「口座開設の年の1月1日において18歳以上の居住者等」と書かれていて、職業による区別は挙げられていません。NISA口座内の配当・譲渡益が非課税になる扱いも、職業によって変わるという記載は、確かめた範囲にはありませんでした。
個人事業主の場合も、NISA口座内の利益そのものについて申告するものがない点は、会社員と同じと考えられます。一方で、事業所得がある人の確定申告が必要かどうかは、事業の所得で別に決まります。NISAを使っていることで、事業の申告が不要になるわけでも、必要になるわけでもありません。
前の章の20万円ルール(No.1900)は「給与所得者」向けの案内です。個人事業主の申告の要否は、このルールではなく、事業の所得などで判断します。
外国株の配当は外国税額控除が使えない
外国の株式や投資信託の配当には、外国で税金がかかる場合があります。通常の口座なら、外国で納めた所得税に相当する税額を、一定の限度額まで日本の所得税額から差し引く外国税額控除を使える場合があります(国税庁No.1240)。
ただし、国税庁のNo.1240には、外国税額控除の対象にならない外国所得税額のひとつとして、「租税特別措置法第9条の8に規定する非課税口座内上場株式等の配当等」に対して課される外国所得税額が挙げられています。つまり、NISA口座で受け取った外国株の配当に外国で課された税額は、外国税額控除の対象外です。
| 口座 | 日本の税金 | 外国税額控除 |
|---|---|---|
| NISA口座の外国株の配当 | 非課税 | 対象外 |
| NISA以外の口座の外国株の配当 | 課税の対象 | 要件を満たせば使える |
※外国税額控除の限度額の計算や、外国で課される税額の水準は、国や銘柄で異なります。ここでは、国税庁の案内で確かめられた「NISA口座内の配当等は対象外」という点だけを書いています。
積立の運用結果を計算する
NISAで積み立てた結果が、非課税でどのくらい違うかは、次のページで計算できます。
- 積立NISAシミュレーター(毎月の積立額・期間・利回りから最終資産額と非課税のメリットを計算)
- 株の売却益の税金はいくら(NISA以外の口座で売ったときの税額)
- 配当金の税金はいくら(NISA以外の口座の配当の税金と手取り)
iDeCoと使い分けたい人は、iDeCo・NISA使い分けガイドもご覧ください。
よくある質問
新NISAだけなら、確定申告は必要ですか?
NISA口座内の配当と売却益は非課税なので、申告するものがありません。ほかに申告が必要な事情(特定口座の分、事業所得など)がある場合は、それぞれの案内で確かめてください。
新NISAは、利益がいくらから確定申告が必要ですか?
国税庁・金融庁の説明に、NISA口座の利益の金額による線引きは出てきません。上限があるのは、年間投資上限額(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)と、非課税保有限度額(1,800万円)です。
NISAで損をしたら、確定申告で損失を申告できますか?
NISA口座内の譲渡損失は、損益通算も繰越控除もできません(国税庁No.1474)。ほかの口座の利益から引くことも、翌年以後に繰り越すこともできないため、申告のための手続は必要ありません。
NISAと特定口座を両方持っています。確定申告はどうなりますか?
NISA口座の分は申告するものがありません。特定口座(源泉徴収あり)の売却益は、申告不要を選べます。特定口座の損失を繰り越したいときなどは申告が必要です。詳しくは株の確定申告のページをご覧ください。
NISAの利益は、配偶者の扶養の判定に含まれますか?
国税庁のNo.1180のQ&Aは、扶養親族等の判定に使う合計所得金額に、非課税とされる所得は含まれないと説明しています。NISA口座内の利益はこの非課税措置にあたるため、税法上の扶養の判定には入らないと読めます。健康保険の被扶養者の判定は別の制度なので、加入先の案内でご確認ください。
個人事業主でも、NISAの確定申告は同じ扱いですか?
NISA口座内の利益について申告するものがない点は、職業による区別が案内にないため、会社員と同じと考えられます。事業所得の確定申告が必要かどうかは、NISAとは別に判断します。
外国株の配当に外国で税金がかかっています。NISAでも外国税額控除は使えますか?
使えません。国税庁No.1240は、非課税口座内上場株式等の配当等に課される外国所得税額を、外国税額控除の対象にならない税額として挙げています。
楽天証券などのネット証券でNISAを使っている場合も、同じ扱いですか?
NISAの非課税の扱いは制度のルールで、国税庁・金融庁の案内は証券会社名を区別していません。口座の画面や書類の取り出し方は証券会社ごとに異なるため、各社の案内でご確認ください。
参考・出典
- 国税庁 暮らしの税情報「株式・配当・利子と税」(PDF。2026年10月確認)
- 国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)(2026年10月確認)
- 国税庁 No.1464 譲渡した株式等の取得費(2026年10月確認)
- 国税庁 No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除(2026年10月確認)
- 国税庁 No.1240 居住者に係る外国税額控除(2026年10月確認)
- 国税庁 No.1180 扶養控除 Q&A(非課税所得と扶養控除)(2026年10月確認)
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2026年10月確認)
- 金融庁 NISA特設サイト「NISAとは」(2026年10月確認)
※本ページの記載は、国税庁・金融庁の案内を簡略化したものです。実際の申告の要否は、取引の内容や他の所得で変わります。最新の案内、または税務署・税理士にご確認ください。投資の判断は、ご自身の責任でお願いします。