年金分割の手続き|どこで・必要書類・二人で行くか・期限は離婚の翌日から5年・合意分割と3号分割の違い

離婚するとき、または離婚したあとに年金分割をしたい方向けの解説です。手続きの窓口は、お近くの年金事務所です。按分割合を決めるための「情報通知書」は離婚の前でも後でも請求でき、分割の請求は、原則として離婚等をした日の翌日から5年以内に行います(令和8年4月1日前に離婚等をした場合は2年以内)。日本年金機構と e-Gov 法令検索の原文で、流れ・必要書類・期限を整理しました。分割後の年金がいくらになるかの目安は年金分割 計算ツールで試算できます。

手続きの流れ|どこで、何から始めるか

手続きの窓口はお近くの年金事務所です。日本年金機構によると、必要な様式は年金事務所と街角の年金相談センターにも備え付けてあります。流れは次の3段階です。

順番やること出す先・決める先
1情報通知書を請求する(離婚の前でも後でもよい)年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出
2按分割合を決める(話し合い、まとまらなければ裁判所)当事者、または家庭裁判所
3離婚をした後に、年金分割を請求する年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出

出典:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」「離婚時に年金分割をするとき」(いずれも更新日は2026年4月1日)、2026年10月2日確認。

1の情報通知書は、按分割合を決めるために必要な情報(分割の対象となる期間、その間の双方の標準報酬月額・標準賞与額、按分割合を定めることができる範囲など)を、当事者双方または一方からの請求で提供するものです。法律上も、当事者またはその一方は、請求に必要な情報の提供を実施機関に請求できます(厚生年金保険法78条の4第1項)。この請求は、合意分割の請求期限内に行う必要があります。

2の按分割合は、法律上、分割を受けることで増える側の持ち分として、二分の一以下の範囲で定めます(同法78条の3第1項)。合意分割は、当事者双方の合意または裁判手続で割合を定めたうえで請求する制度です。3号分割は割合が二分の一と決まっているため、決める手順はありません(後述)。

必要書類

日本年金機構が示す書類は次のとおりです。どちらの請求も、基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにできる書類と、婚姻期間を明らかにできる書類が要ります。

書類情報通知書の請求年金分割の請求
基礎年金番号通知書・年金手帳等、またはマイナンバーカード等必要必要
戸籍謄本(全部事項証明書)または戸籍抄本(個人事項証明書)。請求日から6カ月以内に交付され、婚姻日と離婚日が確認できるもの必要必要
請求日前1カ月以内に交付された、お二人の生存を証明できる戸籍謄本・戸籍抄本または住民票(請求書にマイナンバーを記入すれば省略できる)示されていない必要
按分割合を明らかにできる書類(下の表)示されていない必要

「年金分割の請求」の4つ目、按分割合を明らかにできる書類は、決め方によって変わります。

按分割合の決め方添える書類(いずれか1つ)補足
話し合いで決めた公正証書の謄本または抄本/公証人の認証を受けた私署証書/年金分割の合意書電子データで作られた公正証書は、公証役場で出力し交付されたものに限る
審判・判決で決まった審判(判決)書の謄本または抄本、および確定証明書住所・氏名の秘匿決定を受けた場合は、秘匿事項届出書面謄本と秘匿決定謄本も必要
調停・和解で決まった調停(和解)調書の謄本または抄本同上

出典:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」、2026年10月2日確認。法律も、請求は、合意している旨が記載された公正証書の謄本の添付その他の厚生労働省令で定める方法によると定めています(厚生年金保険法78条の2第3項)。

書類の有効期間(6カ月以内、1カ月以内)は、請求する日から数えます。戸籍謄本などを早く取りすぎると、使えなくなることがあります。様式は、日本年金機構の「離婚時に年金分割をするとき」のページに、記入例とあわせて掲載されています。

二人で年金事務所へ行く必要はあるか

日本年金機構が「お二人がそろって行く必要がある」と書いているのは、按分割合を「年金分割の合意書」で示す場合です。この場合は、お二人(それぞれ代理人も可)が、そろって年金事務所に直接合意書を持参します。請求する方(代理人を含む)の本人確認ができる書類として、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、マイナンバーカード、または印鑑とその印鑑登録証明書のいずれかも必要です。代理人に頼むときは、代理人自身の書類に加えて、委任状(年金分割の合意書請求用)と、委任する方の印鑑登録証明書が要ります。

按分割合を示す書類二人そろっての持参根拠
年金分割の合意書必要(それぞれ代理人可)日本年金機構
公正証書・認証を受けた私署証書示されていない同上
審判書・調停調書など示されていない同上

出典:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」、2026年10月2日確認。

公正証書や裁判所の書類で請求するときに、一人で手続きできるかは、日本年金機構のページには書かれていません。年金事務所で確認してください。3号分割だけを請求するときは、お二人の合意は必要なく、第3号被保険者であった方からの手続きで分割が認められます。なお、合意分割の請求をすると、婚姻期間中に3号分割の対象になる期間があれば、同時に3号分割の請求があったものとみなされます。

按分割合の話し合いがまとまらないとき、または話し合いができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所が按分割合を定めることができます(厚生年金保険法78条の2第2項)。

請求の期限

厚生年金保険法78条の2第1項のただし書は、離婚等をしたときから五年を経過したときは請求できないと定めています。厚生年金保険法施行規則78条の3第1項は、その起算を「離婚が成立した日」(婚姻の取消しのときは取り消された日)の翌日からとしています。以前は「二年」でしたが、e-Gov の版を比べると、2025年12月1日時点の版は「二年」、2026年4月1日時点の版から「五年」になっています。

離婚等をした日請求期限根拠
令和8年4月1日以後離婚等をした日の翌日から起算して5年以内厚生年金保険法78条の2第1項、施行規則78条の3
令和8年4月1日前離婚等をした日の翌日から起算して2年以内日本年金機構

出典:厚生年金保険法・同施行規則(e-Gov法令検索、2026年10月1日時点の版)、日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」「同(3号分割制度)」、2026年10月2日確認。

情報通知書の請求も、この期限内に行う必要があります。期限が過ぎると、原則として請求できなくなります。

期限には特例があります。日本年金機構によると、離婚から5年(令和8年4月1日前は2年)を経過するまでに、按分割合を定める審判または調停の申立てなどをしていて、本来の期限の経過後、または経過日前の6カ月以内に、審判の確定や調停の成立などがあったときは、その日の翌日から起算して6カ月が経過するまでに限り請求できます(施行規則78条の3第2項も同じ内容です)。また、按分割合を決めたあと、分割の手続き前に当事者の一方が亡くなった場合は、死亡日から1カ月以内に限り請求が認められます。詳しい事情は、お近くの年金事務所に確認してください。

合意分割と3号分割の違い

どちらの制度でも、分割されるのは婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)です。分割の効果は厚生年金の報酬比例部分に限られ、国民年金の老齢基礎年金には影響しません。

項目合意分割3号分割
当事者の合意必要(合意か、裁判手続で按分割合を定める)不要
按分割合二分の一以下の範囲で定める2分の1ずつ
対象になる期間婚姻期間中の厚生年金記録平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間
請求できる人当事者の一方第3号被保険者であった方
対象になる離婚等平成19年4月1日以後平成20年5月1日以後

出典:日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」「同(3号分割制度)」、厚生年金保険法78条の3・78条の14、2026年10月2日確認。

3号分割では、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、その請求の対象期間を年金額の基礎としているときは、請求が認められません(厚生年金保険法78条の14第1項ただし書、日本年金機構)。離婚の届出をしていなくても事実上離婚状態にあるときは、住民票等と、双方が事情を認めている旨の申立書(お二人それぞれの署名があるもの)で3号分割を請求できると、日本年金機構は説明しています。

分割後の記録に基づく老齢厚生年金を受けるには、受給資格期間を満たしていることと、生年月日に応じた支給開始年齢に到達していることが必要です。いくら分けられるかは、年金分割 計算ツールで試算できます。

よくある質問

Q. 年金分割の手続きは、離婚の前にできますか?

A. 日本年金機構によると、按分割合を決めるための情報通知書の請求は、離婚の前でも後でも行えます。一方、合意分割の請求は離婚をした後に行うもので、3号分割の請求も原則として離婚をした後に行うものです。

Q. 年金分割の請求期限はいつまでですか?

A. 厚生年金保険法78条の2第1項ただし書は、離婚等をしたときから五年を経過したときは請求できないと定めています。日本年金機構は、原則として離婚等をした日の翌日から起算して5年以内、令和8年4月1日前に離婚等をした場合は2年以内としています。

Q. 相手が年金分割に応じてくれないときはどうなりますか?

A. 合意分割は、当事者の合意がなければ進みません。協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所が按分割合を定めることができます(厚生年金保険法78条の2第2項)。一方、3号分割は、第3号被保険者であった方からの請求で、当事者双方の合意は必要ありません。

Q. 年金分割をすると、国民年金(老齢基礎年金)も増えますか?

A. 増えません。日本年金機構によると、年金分割の効果は厚生年金の報酬比例部分に限られ、国民年金の老齢基礎年金等には影響しません。

Q. 手続きをすれば、すぐに年金を受け取れますか?

A. 分割後の記録に基づく老齢厚生年金を受けるには、受給資格期間を満たしていることと、生年月日に応じた支給開始年齢に到達していることが必要です。すでに老齢厚生年金を受けている場合は、年金分割の請求をした月の翌月分から年金額が変更されます。

参考・出典

※日本年金機構と法令の原文に書かれている範囲の整理です。個別の事情によって必要な書類や期限の扱いが変わることがあります。手続きの詳細は年金事務所に、離婚の条件に関する法律問題は弁護士にご確認ください。

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