源泉徴収票の摘要欄の見方【令和8年分】前職の合算・氏名(調整)・年調未済
摘要欄は、ほかの欄に書ききれない事情を補う欄です。国税庁の手引では、前職分を通算して年末調整をしたときの前の会社の情報、所得金額調整控除の対象になった家族の氏名「(調整)」、5人目以降の扶養親族などを書くと定めています。逆に、「年調未済」「普通徴収」と書く定めは手引にありません。この記事は、会社に勤めていて源泉徴収票を受け取る方向けに、令和8年分の手引の原文と記載例にそって読み方をまとめました。
摘要欄に書かれる主な項目
国税庁の手引は、摘要欄に書く内容を10項目に分けています。会社員に関係しやすいものを、記載・意味・見るところの順に並べました。
| 摘要欄の記載 | 意味 | 見るところ |
|---|---|---|
| 前の会社の所在地・名称、退職日、支払金額・源泉徴収税額・社会保険料 | 年の途中で入社し、前の会社の給与を通算して年末調整をした | 前職の源泉徴収票の金額と合っているか |
| 氏名(調整) | 所得金額調整控除の適用があり、その対象が扶養親族 | 「所得金額調整控除額」の欄 |
| 氏名(同配) | 同一生計配偶者(控除対象配偶者を除く)が障害者・特別障害者・同居特別障害者 | 配偶者の氏名 |
| (1)氏名(年少)(2)氏名 | 控除対象扶養親族等または16歳未満の扶養親族が5人以上いる | 5人目以降の氏名 |
| 氏名の後ろの「01」「11」 | 非居住者の親族や特定親族の区分を示す数字 | 手引9〜10ページの区分表 |
| 租税特別措置法第41条の15の5第1項適用 | 23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例 | 生命保険料控除の額 |
| 居住開始年月日・住宅借入金等特別控除区分・年末残高 | 年末調整で3以上の住宅借入金等特別控除を受けた | 3回目以降の住宅の分 |
出典:国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第2章 ㉚摘要(11〜12ページ、2026年10月2日確認)。このほか、同一年中に同じ会社で入社と退職の両方があるときの「中途就」、賃金の支払の確保等に関する法律にもとづく未払給与の弁済を受けた旨と金額、災害による源泉所得税の徴収猶予の税額、租税条約にもとづく免税の対象額と「○○条約○○条該当」も、摘要欄に書くと定められています。
手引は、これらを「該当する場合に記載する」形で定めています。どれにも当てはまらなければ、摘要欄は空欄です。
前職分を合算したときの記載例
年の途中で転職した方の源泉徴収票には、前の会社の情報が摘要欄に載ることがあります。手引は、就職前に前の会社が支払った給与等を通算して年末調整をした場合に、次の3点を摘要欄に書くと定めています。
- 前の会社の所在地、名称
- 前の会社を退職した年月日
- 前の会社が支払った給与等の金額、徴収した所得税及び復興特別所得税の合計額、給与等から控除した社会保険料の金額
手引の記載例2(令和8年4月1日に入社した人)
摘要欄:神戸市中央区山手通2ー×ー× 株式会社××商事 令和8年3月31日退職/支払金額 1,095,000円 源泉徴収税額 15,180円 社会保険料 169,722円
「中途就・退職」の欄には、今の会社に入社した日(令和8年4月1日)を書きます。
この例のとおり、前の会社の金額は摘要欄に別に書かれます。一方、「支払金額」の欄には、前の会社の分を通算して年末調整をした場合、その給与等の金額も含めた総額を書くと手引は定めています。
年の途中で転職したのに摘要欄が空のときは、前職の源泉徴収票を会社に出したかを確かめます。出し方と使い方は転職した年の年末調整にまとめています。
年末調整をしていないとき(年調未済)
手引に「年調未済」と書く定めはありません。ただし、年末調整をしたかどうかは、ほかの欄で分かります。手引で「年末調整をした受給者のみ」記載するとされている欄(給与所得控除後の給与等の金額、所得控除の額の合計額、基礎控除の額、所得金額調整控除額など)が空欄なら、年末調整をしていない源泉徴収票です。
手引の記載例4は、令和8年5月31日に退職し、年末調整をしていない人です。上の欄が空欄で、摘要欄も空欄です。源泉徴収税額の欄には、その年に源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額(記載例では27,250円)が書かれます。
年末調整をしていない場合に確定申告が必要かどうかは、国税庁のタックスアンサー No.1900 の区分に当てはまるかで決まります。年末調整と関係が深いのは、次の2つです。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けていて、かつ給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人(給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額を引いた金額が150万円以下で、各種の所得金額が20万円以下の人は不要)
No.1900 は、確定申告をすれば税金が還付される人を、申告が必要な人から除いています。年の途中で退職して年末調整を受けていない方は、還付の申告ができる場合があります。申告の流れは確定申告が必要な会社員のケース、期限を過ぎたときは確定申告の期限を過ぎたらをご覧ください。
源泉徴収票をもらえていないとき
源泉徴収票は、年の途中で退職した方には退職の日以後1か月以内、それ以外の方には翌年1月31日までに会社が交付します(No.7411)。届かないときの対処は源泉徴収票がもらえないときにまとめています。
氏名(調整)・(同配):所得金額調整控除
所得金額調整控除の適用があるとき、摘要欄の記載は要件ごとに次のように決まっています。
| 要件 | 摘要欄の記載 | 例 |
|---|---|---|
| 本人が特別障害者 | 記載不要 | ― |
| 同一生計配偶者が特別障害者 | 配偶者の氏名(同配) | 国税 花子(同配) |
| 扶養親族が特別障害者 | 扶養親族の氏名(調整) | 国税 一郎(調整) |
| 扶養親族が23歳未満 | 扶養親族の氏名(調整) | 国税 一郎(調整) |
出典:国税庁 手引 第2章 ㉚摘要(3)(11ページ、2026年10月2日確認。画像で照合)。本人が特別障害者のときは「本人が障害者」欄の「特別」欄に「1」(受給者に交付する票では「○」)が書かれるため、摘要欄は不要です。
手引の記載例1は、給与等の収入金額が850万円を超えていて、23歳未満の扶養親族がいる人です。23歳未満の扶養親族(子どもなど)の氏名に「(調整)」が付く、という読み方になります。
ただし、その氏名がすでに「控除対象扶養親族」の欄や「16歳未満の扶養親族」の欄などに書かれている場合は、摘要欄の記載を省略できます(手引)。摘要欄に「(調整)」がなくても、所得金額調整控除が使われていないとは限りません。適用の有無は「所得金額調整控除額」の欄で確かめます。申告書の書き方は所得金額調整控除申告書の書き方にまとめています。
扶養親族が5人以上・16歳未満のとき
源泉徴収票の扶養親族の欄に書ききれない場合は、5人目以降の氏名を摘要欄に書きます。控除対象扶養親族等と16歳未満の扶養親族の合計で数え、氏名の前に括弧つきの数字を付けます。
- 16歳未満の扶養親族は、氏名の後ろに「(年少)」と書く(手引の書き方:(1)氏名(年少)、(2)氏名)
- マイナンバーは摘要欄ではなく「備考」欄に書く。受給者に交付する源泉徴収票には、マイナンバーは書かれない
- 非居住者や特定親族の氏名の後ろには、区分の数字(「01」「11」など)が付く
16歳未満の扶養親族とは、令和8年分の手引では平成23年1月2日以後に生まれた方です。16歳未満の扶養親族には、扶養控除の適用はありません。氏名は、通常は「16歳未満の扶養親族」の欄に書かれます。
よくある質問(普通徴収・空欄)
Q. 摘要欄が空欄なのは、おかしいのでしょうか?
A. 手引の摘要欄の記載は、いずれも「該当する場合には記載する」という形です。前職分の通算、5人目以降の扶養親族、所得金額調整控除、年末調整で3以上の住宅借入金等特別控除を受けた場合など、どれにも当てはまらなければ空欄になります。国税庁の記載例4(年の中途で退職し、年末調整をしていない場合)も、摘要欄は空欄です。
Q. 摘要欄に「年調未済」と書いてあります。どういう意味ですか?
A. 国税庁の手引(令和8年分)には、摘要欄に「年調未済」と書く定めは見当たりません。書かれている場合の意味は、源泉徴収票を作成した会社にご確認ください。年末調整をしたかどうかは、源泉徴収票の「給与所得控除後の給与等の金額」「所得控除の額の合計額」などの欄が埋まっているかで分かります。これらは年末調整をした受給者のみ記載する欄です。
Q. 摘要欄に「普通徴収」と書いてあります。どういう意味ですか?
A. 国税庁の手引(令和8年分)は、摘要欄に「普通徴収」と書くことを定めていません。源泉徴収票は所得税の書類です。住民税の税額や納め方は、市区町村から届く住民税決定通知書でご確認ください。
Q. 16歳未満の子どもは、摘要欄に書かれますか?
A. 16歳未満の扶養親族は、原則として源泉徴収票の「16歳未満の扶養親族」の欄に氏名が書かれます。摘要欄に書かれるのは、控除対象扶養親族等または16歳未満の扶養親族が合わせて5人以上いて、欄に書ききれない5人目以降の氏名です。このとき氏名の後に「(年少)」と付きます。16歳未満の扶養親族には、扶養控除の適用はありません(手引の⑪の注)。
Q. 令和7年分以前の源泉徴収票にも、この記事の内容は使えますか?
A. この記事は、令和8年分の手引にもとづいています。特定親族のように、年分によって制度や記載が変わった項目があります。令和7年分以前の源泉徴収票は、その年分の手引でご確認ください。国税庁の「過去分の手引等(法定調書関係)」のページに、過去の年分が載っています。
参考・出典
- 国税庁 - 令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(第2章 3〜18ページ、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等(2026年10月2日確認)
※源泉徴収票の記載の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは勤務先の給与担当、所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。