介護休暇・介護休業の給料|介護休暇(年5日・時間単位)は有給か無給か・介護休業(93日・3回まで)中の給料と介護休業給付金・ボーナス・社会保険料・子の看護休暇との違い
親の介護を抱える会社員の方が、介護のために休むときの給料を、法令と厚生労働省の通達・指針の原文で整理した解説です。介護休暇は1年度に5労働日(対象家族が2人以上なら10労働日)、介護休業は対象家族1人につき通算93日・3回までです。どちらも法律は賃金の支払を義務づけていません。有給か無給かは会社の規程で確かめる必要があり、介護休業のあいだは雇用保険から介護休業給付金(賃金日額×日数×67%)を受けられる場合があります。
休みの種類ごとの表(日数と給料)
介護で仕事を休む方法は、介護休暇、介護休業、年次有給休暇の3つに分かれます。子の看護等休暇は、介護休暇と並べて違いを確かめるために入れています。
| 種類 | 日数 | 給料 |
|---|---|---|
| 介護休暇(法第16条の5) | 1年度に5労働日(要介護状態の対象家族が2人以上なら10労働日)。1時間単位でも取れる | 法は賃金の支払を義務づけていない。有給か無給かは就業規則などで確かめる |
| 介護休業(法第11条・第15条) | 対象家族1人につき通算93日、3回まで | 法は賃金の支払を義務づけていない。雇用保険の介護休業給付金(賃金日額×日数×67%)の対象になりうる |
| 年次有給休暇(労基法第39条) | 6か月継続勤務・全労働日の8割以上出勤で10労働日。以後は勤続年数で加算 | 賃金を支払う義務がある(第9項) |
| 子の看護等休暇(法第16条の2) | 小学校第三学年修了前の子について、1年度に5労働日(2人以上なら10労働日) | 介護休暇と同じ。法は賃金の支払を義務づけていない |
出典:育児・介護休業法第11条・第15条・第16条の2・第16条の5、労働基準法第39条(e-Gov法令検索、令和8年10月1日施行版ほか)、厚生労働省通達(令和7年1月20日、改正令和7年2月5日)第4の1(11)・第5の1。2026年10月3日確認。国家公務員・地方公務員の休暇は別の法令・規則で定められているため扱いません。
介護休暇の日数・時間単位・給料
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うために、1年度(原則4月1日〜翌年3月31日)に5労働日まで取れる休暇です。対象家族が2人以上いる場合は10労働日で、厚生労働省の通達は、1人につき5日までしか取れないものではなく、同じ1人の介護に10日使うこともできるとしています。
- 世話の範囲:介護のほか、通院等の付添い、介護サービスを受けるために必要な手続きの代行などが含まれます(施行規則第38条)
- 時間単位で取れる:1日の所定労働時間に満たない「時間」を単位に、始業の時刻から連続するか終業の時刻まで連続する形で取れます(施行規則第40条)。時間は1時間の整数倍です(通達)
- 会社は拒めない:事業主は介護休暇の申出を拒めません(法第16条の6第1項)。通達は、取得当日に電話で申出をした場合も拒めず、申出書の提出は事後でも差し支えないものとすべきだとしています
- 取れない人:日々雇用される人を除き対象です。労使協定があれば、1週間の所定労働日数が2日以下の人は取得できない者と定められます。勤続期間による除外は、条文の準用に含まれていません(法第16条の6第2項)
給料については、厚生労働省の通達が、休暇期間中は民法第536条により事業主の賃金支払義務が消滅し、法は休暇期間中の賃金の支払を義務づけるものではない、としています。法律の上で有給と決まっているわけではないため、有給か無給か、無給なら取得した時間分をどう差し引くかは、就業規則や賃金規程で確かめます。介護休暇を取ったことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、禁止されています(法第16条の7で準用する第16条)。
介護休暇は介護休業とは別の制度で、介護休業給付金の対象にはなりません。給付金は雇用保険法第61条の4第1項が「介護休業をした場合」に支給するものです。
介護休業中の給料と介護休業給付金
介護休業は、対象家族1人につき通算93日・3回までに分けて取れる休業です(法第11条第2項)。3回の介護休業をした場合や、日数が93日に達している場合は、同じ対象家族について新たに申し出ることができません。有期雇用の人は、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない場合に限り、申出ができます(第11条第1項)。
休業中の給料は、介護休暇と同じ扱いです。通達は、休業期間中は民法第536条により事業主の賃金支払義務が消滅し、法は賃金の支払を義務づけるものではない、としています。休業中に会社が賃金を支払うかどうかは、就業規則や賃金規程で決まります。
賃金が出ない、または少ない期間の収入を補うのが、雇用保険の介護休業給付金です。額は「休業開始時賃金日額×支給日数×100分の40」が本則で、当分の間は100分の67とされています(雇用保険法第61条の4第4項、附則第12条)。
当サイトの計算例です。
- 前提:休業前6か月の賃金が毎月30万円(賞与を除く)で、休業中は会社から賃金が出ない1支給単位期間(30日)
- 休業開始時賃金日額:30万円×6か月÷180=1万円
- 介護休業給付金:1万円×30日×67%=20万1,000円。月給の約67%
賃金日額には上限と下限があり、休業中に会社から賃金が出ると給付金が減ったり出なかったりします(賃金と給付金の合計が賃金日額×日数の100分の80以上のとき、100分の80相当額から賃金を引いた額になり、賃金だけで100分の80以上なら不支給。第61条の4第5項)。金額の上限・下限や支給の要件、申請の手続きは介護休業給付金の記事で整理しています。
ボーナス・昇給への影響
休んだぶんの給料が出ないだけでなく、ボーナスの算定にも影響するかが気になる点です。厚生労働省の指針(第二の十一)は、次のように整理しています。
| 会社の扱い | 指針の整理 | 確かめること |
|---|---|---|
| 休業した期間・介護休暇を取った日の、働かなかった時間の賃金を支払わない | 不利益な取扱いには該当しない | 給与明細で、引かれた時間が実際に休んだ時間か |
| 賞与や退職金の算定で、休業した期間・取得した日数を日割りで算定対象期間から除く | 不利益な取扱いには該当しない | 賃金規程の賞与の算定方法 |
| 休業した期間・取得した日数を超えて、働かなかったものとして扱う | 減給・賞与等での不利益な算定に該当する | 除かれた日数が休んだ日数を超えていないか |
| 実際には休んでいないのに、申出や取得をしたことだけで賃金・賞与を減らす | 減給・賞与等での不利益な算定に該当する | 減った理由を会社に確かめる |
出典:厚生労働省告示第509号「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」第二の十一の(二)チ・(三)ニ。2026年10月3日確認。個別の事案が違法かどうかは、ここでは断定できません。
賞与がどう計算されるかは、会社の賃金規程で決まります。育児休業の場合の賞与の減り方の例は育休を取るとボーナスは減る?で整理しています。指針の同じ項目が、介護休業・介護休暇にも当てはまります。
社会保険料と年次有給休暇
社会保険料:健康保険料の免除を定めた第159条の対象は「育児休業等」で、育児・介護休業法の育児休業を指します(健康保険法第43条の2・第159条)。介護休業(同法第2条第2号)を免除の対象とする条文は、確かめた範囲では見つかりませんでした。給料が出ない月の保険料の払い方(会社への振込・立替など)は、休職中の社会保険料の記事で整理しています。
年次有給休暇:介護休業をした期間は、年次有給休暇の付与の条件(全労働日の8割以上出勤)の計算で、出勤したものとみなされます(労働基準法第39条第10項)。この条文に介護休暇は挙がっていません。また、年次有給休暇で休んだ日は、会社が賃金を支払う義務があります(第9項)。ただし賃金の額の決め方(平均賃金か通常の賃金か)は就業規則で決まります。
介護休暇と介護休業の使い分け
厚生労働省の指針は、2つの制度を次のように位置づけています(第二の五の四の(三))。
- 介護休業:要介護状態にある対象家族の介護の体制を構築するため、一定期間休業する場合に対応するもの
- 介護休暇:介護保険の手続や、要介護状態にある対象家族の通院の付添いなど、日常的な介護のニーズにスポット的に対応するために利用するもの
休む前に、就業規則で確かめておきたいのは3点です。
- 有給か無給か:介護休暇、介護休業のそれぞれで、賃金が出るか
- 時間単位で取れるか:業務の性質上、時間単位で取るのが難しい業務の労働者は、労使協定で時間単位の対象から外されることがあります。その場合も1日単位では取れ、指針第二の二の(四)は、半日単位の取得を認めるなど弾力的に使えるよう配慮することを求めています
- ボーナスの算定:休んだ期間・日数をどう扱う規程か
よくある質問
Q. 介護休暇は有給ですか、無給ですか?
A. 法律は、有給にするかどうかを定めていません。厚生労働省の通達は、休暇期間中は民法第536条により事業主の賃金支払義務が消滅し、法は休暇期間中の賃金の支払を義務づけるものではない、としています。有給か無給かは、会社の就業規則や賃金規程を確かめる必要があります。
Q. 介護休暇を取った日の給料が引かれるのは、不利益な取扱いですか?
A. 厚生労働省の指針は、介護休暇を取得した日の現に働かなかった時間について賃金を支払わないことは、不利益な取扱いには該当しないとしています。一方、取得した日数を超えて働かなかったものとして扱うこと(実際には休んでいない日まで減らすなど)は、減給や賞与での不利益な算定に当たるとしています(指針第二の十一)。個別の事案が違法かどうかは、ここでは断定できません。
Q. 介護休暇を取ったときも、介護休業給付金はもらえますか?
A. もらえません。介護休業給付金は、雇用保険法第61条の4第1項が「介護休業をした場合」に支給するものです。介護休暇(育児・介護休業法第16条の5)は介護休業とは別の制度で、この給付金の対象としては条文に挙がっていません。
Q. 介護休暇は、パートや契約社員でも取れますか?
A. 日々雇用される人を除き、取れます。厚生労働省の通達は、期間を定めて雇用される人には、介護休業と異なり別途の要件を課していないとしています。ただし労使協定で、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者を取得できない者と定めている会社では、その人は取得できません(施行規則第42条・第8条第2号、通達第5の4)。
Q. 介護休暇は1時間だけ取ることもできますか?
A. できます。法第16条の5第2項と施行規則第40条は、1日の所定労働時間に満たない「時間」を単位として、始業の時刻から連続するか、終業の時刻まで連続する形で取れるとしています。通達は、時間は1時間の整数倍としています。業務の性質上、時間単位で取るのが難しい業務の労働者は、労使協定で時間単位の取得の対象から外されることがあり、その場合も1日単位では取れます。
Q. 介護休業が無給のとき、社会保険料はどうなりますか?
A. 健康保険料の免除を定めた第159条の対象は「育児休業等」で、育児・介護休業法の育児休業を指します(第43条の2)。介護休業を免除の対象とする条文は、確かめた範囲では見つかりませんでした。給料が出ない月の保険料の払い方は、休職中の社会保険料の記事で整理しています。
Q. 公務員の場合も同じですか?
A. この記事は、民間の会社員向けに、育児・介護休業法と厚生労働省の通達・指針の範囲で整理したものです。国家公務員・地方公務員の休暇は別の法令や規則で定められているため、扱っていません。勤務先の規則を確かめてください。
参考・出典
- e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(第2条・第11条・第12条・第15条・第16条・第16条の2・第16条の5〜第16条の7)
- e-Gov法令検索 同法施行規則(第8条・第38条・第40条・第42条)
- 厚生労働省 育児・介護休業法の施行について(通達)
- e-Gov法令検索 雇用保険法(第61条の4、附則第12条)
- e-Gov法令検索 健康保険法(第43条の2・第159条)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第39条)
※法令と厚生労働省の通達・指針に書かれている範囲の整理です。有給か無給か、時間単位で取れるかなどは、会社の就業規則で決まる部分があります。個別の判断は、勤務先の人事担当、労働局、社会保険労務士に確認してください。