本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。厚生労働省の告示・通知、介護保険法・施行規則、名古屋市・大阪市・世田谷区、国税庁、リショップナビの表示は2026年10月4日に各公式サイトで確認したものです。制度は改正や自治体ごとの違いがあるため、最新の内容は各公式サイトと市区町村の窓口でご確認ください。

介護保険の住宅改修は、手すり・段差解消・滑りにくい床・引き戸・洋式便器などの小さな工事が対象。上限は20万円で、工事の前に市区町村へ事前申請する

親の家に手すりをつけたい、段差をなくしたい。そう考えたとき、最初に確かめるのは介護保険の住宅改修が使えるかどうかです。使うなら、工事を頼む前の事前申請が欠かせません。この記事では、対象の工事、上限と自己負担、申請の流れ、要支援・入院中の場合、自治体の上乗せ、バリアフリー改修の減税、工事を頼む会社の選び方を、厚生労働省の告示・通知、介護保険法、自治体、国税庁の原文で確かめた範囲でまとめました。

介護保険の住宅改修は、どんな工事が対象になるのか

介護保険法第45条は、要介護の人が「手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修」を行ったときに、市町村が居宅介護住宅改修費を支給すると定めています。要支援の人は第57条で、同じ仕組みの介護予防住宅改修費です。

厚生労働大臣が定める種類は、告示で次の6つです。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他、前の5つの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

厚生労働省の通知は、それぞれの例と、対象にならないものを次のように書いています。

種類通知が挙げる例対象にならないと書かれたもの
手すりの取付け廊下・便所・浴室・玄関・玄関から道路までの通路などに、転倒予防や移動・移乗のために設置するもの。二段式・縦付け・横付けなど工事を伴わない据置の手すり(福祉用具貸与の「手すり」として別扱い)
段差の解消敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げなど置くだけのスロープや浴室内すのこ。昇降機・リフト・段差解消機など、動力で段差を解消する機器の設置工事
床・通路面の材料の変更居室の畳敷から板製床材やビニル系床材へ、浴室の床を滑りにくいものへ、通路面を滑りにくい舗装材へ―
引き戸等への扉の取替え開き戸を引き戸・折戸・アコーディオンカーテン等へ取り替える工事。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含む自動ドアにしたときの動力部分の費用
洋式便器等への便器の取替え和式便器を洋式便器に取り替える工事、既存の便器の位置や向きの変更。和式から暖房便座・洗浄機能付きの洋式への取替えは含む腰掛便座の設置。すでに洋式の便器への暖房便座・洗浄機能の付加。非水洗から水洗にする水洗化の部分
付帯して必要な工事手すり取付けのための壁の下地補強、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事、スロープ設置に伴う柵、床材変更のための下地の補修、扉の取替えに伴う壁や柱の改修など―

新築は住宅改修とは認められません。増築も、新たに居室を設ける場合は対象外です。一方、廊下の拡幅にあわせて手すりを取り付ける場合などは、手すりの費用だけが対象になり得ると通知に書かれています。

出典:介護保険法第45条・第57条(e-Gov法令検索)、厚生省告示第95号、厚生労働省通知(老企第34号「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」、老企第42号「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」)、2026年10月4日確認。

上限はいくらで、自己負担はいくらか

支給限度基準額は、告示(厚生省告示第35号)で20万円と定められています。厚生労働省の通知は、要介護状態区分にかかわらず定額で、「20万円の住宅改修を行った場合、通常、保険給付の額は18万円となる」と書いています。費用の自己負担は1割から3割です。

自己負担の割合20万円の工事をしたときに支給される最大額
1割負担18万円
2割負担16万円
3割負担14万円

20万円を超えた部分は、全額が自己負担です(名古屋市の注意事項)。たとえば1割負担の人が25万円の工事をすると、上限の20万円の9割にあたる18万円が支給され、残りの7万円は自己負担になる計算です。リショップナビの記事には、トイレの手すり設置で費用25万円、介護保険から18万円が支給された事例が載っています。

告示は住宅改修の種類を「一種類」としているので、手すりと段差解消を両方行っても、合計で20万円が上限です。通知は、対象を手すりの取付けや床段差の解消など「比較的小規模なもの」にしたと説明しています。浴室やトイレを大きく作り替える工事の全額は、この仕組みでは出ません。

出典:厚生省告示第35号、厚生労働省通知(老企第42号)、介護保険法第45条、名古屋市「住宅改修費の支給」・「住宅改修費の支給に関する注意事項」、リショップナビ「介護・バリアフリーリフォームの工事内容と費用」、2026年10月4日確認。

申請は、どんな順番で進めるのか

順番は、工事より申請が先です。介護保険法施行規則第75条は、住宅改修を行おうとするときに、あらかじめ書類を出すよう定めています。名古屋市は、承認通知が届いてから着工するよう案内しています。

  1. ケアマネジャーなどに相談する。市区町村に出す「住宅改修が必要な理由書」は、基本的に居宅サービス計画を作るケアマネジャーや、地域包括支援センターの担当職員が作ります。通知は、この書類の作成は居宅介護支援などの業務の一環で、本人から別途費用を取れないとしています。
  2. 施工会社から見積書をもらう。通知は、見積りを、材料費・施工費・諸経費などの内訳が分かるものとしています。
  3. 着工前に、市区町村へ事前申請する。出すのは、改修の内容・箇所・規模と施工者を書いた申請書、費用の見積り、理由書、改修の予定の状態が分かる写真や図です。住宅の所有者が本人でない場合は、所有者の承諾が分かる書類も要ります。
  4. 市区町村の確認結果を受け取ってから着工する。通知は、事前の確認結果は、完了後に行われる支給決定とは別だと説明するよう市町村に求めています。
  5. 工事が終わったら、支給申請をする。出すのは、かかった費用と着工・完成の年月日、領収証と工事費内訳書、改修前後の写真(原則として撮影日が分かるもの)などです。

名古屋市は、支払い方を2つ案内しています。1つは償還払いで、いったん全額を施工会社に払い、あとから費用の9割・8割・7割の支給を受けます。もう1つは受領委任払いで、利用者は1割・2割・3割だけを施工会社に払い、残りを市が会社に直接払います。受領委任払いは、市に登録された事業者の工事に限ります。

出典:介護保険法施行規則第75条(e-Gov法令検索)、厚生労働省通知(老企第42号)、名古屋市「住宅改修費の支給」、2026年10月4日確認。

要支援の場合や、認定前・入院中の場合はどうなるのか

  • 要支援の場合:介護保険法第57条の介護予防住宅改修費で、支給限度基準額は要介護と同じ20万円です。通知は、要介護と要支援の間で変わっても、使った額は一続きで管理されるとしています。
  • 認定を受ける前の場合:名古屋市は、認定を受ける前に改修した分は支給されないとしています。新規の認定申請中なら、改修することは可能で、改修前に区役所へ相談するよう案内しています。非該当になれば支給されません。
  • 入院中・入所中の場合:施行規則第75条第2項は、やむを得ない事情があれば、完了後に申請書類を出せるとしています。通知は、その例を「入院又は入所者が退院又は退所後の住宅での受け入れのため、あらかじめ住宅改修に着工する必要がある場合等」としています。名古屋市も、退院・退所を見込んだ改修は可能で、事前の相談を求めています。退院しなかった場合は支給されません。

どれも、ほかの市区町村で同じ運用かどうかは、この記事では確かめていません。住んでいる市区町村の窓口に、着工の前に聞きます。

出典:介護保険法第57条・施行規則第75条(e-Gov法令検索)、厚生労働省通知(老企第42号)、名古屋市「住宅改修費の支給に関する注意事項」、2026年10月4日確認。

20万円を使ったあと、もう一度使えるのはいつか

厚生労働省の通知は、もう一度20万円まで使える場合を2つ挙げています。

  • 転居したとき:支給限度額の管理は、いま住んでいる住宅の改修費だけが対象です。転居すると、改めて20万円まで受けられます。
  • 介護の必要の程度が3段階以上上がったとき:最初に住宅改修費の支給を受けた工事の着工時と比べて、下の表の「段階」が3段階以上上がった状態で行う工事は、改めて20万円まで受けられます。この取扱いは1回に限られます。
段階要介護等状態区分
第一段階要支援1、経過的要介護
第二段階要支援2、要介護1
第三段階要介護2
第四段階要介護3
第五段階要介護4
第六段階要介護5

表のとおり、要支援2と要介護1は同じ段階です。たとえば最初の工事のとき要介護1(第二段階)で、のちに要介護4(第五段階)になっていれば、3段階上がったことになります。

出典:厚生労働省通知(老企第42号)、名古屋市「住宅改修費の支給に関する注意事項」、2026年10月4日確認。

自治体が独自に上乗せしている場合はあるのか

あります。介護保険法第45条第6項は、市町村が条例で、国の限度基準額を超える額を、その市町村の限度額にできるとしています。通知も、市町村が、介護保険の対象外の工事や、限度額を超える工事に助成することは可能だとしています。内容は市区町村ごとに違うので、ここでは原文を確かめた2つの例だけを書きます。

自治体と制度表示されている内容
大阪市
高齢者住宅改修費給付事業
(2026年8月7日更新)
介護保険の住宅改修を行うとき、関連する工事だが介護保険の対象とならない部分の費用を給付。対象は、市内に住所があり、介護保険料段階が第1〜6段階で、要支援以上の認定を受けた高齢者のいる世帯。給付基準額と支給率は、生活保護受給世帯が工事費の30万円までで10/10、第1〜4段階の市民税非課税世帯が30万円までで9/10、第5〜6段階(本人は非課税で世帯は課税)が5万円までで9/10。第7段階以上(本人が市民税課税)は対象外
世田谷区
高齢者向け住宅改修の助成
(ページの最終更新は2021年10月25日と表示)
区内に住所がある65歳以上が対象。「予防改修」は、要介護・要支援に該当しなかった人向けで、手すり・段差解消・床材・引き戸・洋式便器と付帯工事を合わせて20万円が助成基準額。「設備改修」は、浴槽の取替え379,000円、流し・洗面台の取替え156,000円、洋式便器への取替え106,000円が助成基準額(世帯全員の所得合算額が6,232,000円以下などの条件あり)。要支援・要介護の人は、介護保険の支給が優先。利用者負担は基準額の1割から3割

大阪市は、介護保険の住宅改修と同時に行う、介護保険の対象にならない部分が対象です。世田谷区は、要介護・要支援に該当しなかった人の手すり等の工事や、浴槽・流しの取替えなど、介護保険の6種類に入らない工事が含まれます。世田谷区は、改修後の相談は助成の対象にならないので、改修を開始する前に相談するよう書いています。

出典:介護保険法第45条第6項(e-Gov法令検索)、厚生労働省通知(老企第42号)、大阪市「高齢者住宅改修費給付事業」、世田谷区「高齢者向け住宅改修の助成・相談」、2026年10月4日確認。世田谷区の金額は、ページの更新日が古いため、最新の額は区の窓口でご確認ください。

バリアフリー改修の減税は、どんな場合に受けられるのか

国税庁のNo.1220は、バリアフリー改修工事をした場合の「住宅特定改修特別税額控除」を説明しています。住宅ローンを使っていなくても受けられる所得税の控除で、自分が所有する家屋に、令和10年12月31日までの間に住んでいることなどが要件です。

  • 対象になる人:次のいずれかです。50歳以上、要介護または要支援の認定を受けている、所得税法上の障害者、65歳以上の人や、認定を受けた人・障害者である親族と同居している。
  • 対象になる工事:通路や出入口の幅を広げる、階段の勾配を緩やかにする、浴室を改良する、便所を改良する、手すりを取り付ける、床の段差をなくす、出入口の戸を引き戸などにする、床を滑りにくい材料に取り替える、のいずれかを含む増改築等です。
  • 費用の条件:バリアフリー改修工事の標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、その額を控除した後の金額)が50万円を超えること。
  • 控除額:標準的な費用の額(令和4年1月1日以後に住んだ場合は200万円が限度)の10%と、限度を超えた部分などの5%を足した額です。
  • 手続:確定申告で、建築士等が発行する増改築等工事証明書などを添えます。要介護・要支援の認定を理由にする場合は、介護保険の被保険者証の写しも要ります。

手すりだけの工事は、費用が50万円に届かないことがあります。トイレと浴室と玄関の段差をまとめて直すように、工事の範囲が広い場合に、費用の条件を超える余地が出てきます。住宅借入金等特別控除など、ほかの控除と選択になる場合もあります。介護保険の給付と併せたときの扱いは、このページには書かれていないので、税務署か建築士に確かめます。

出典:国税庁 No.1220「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月4日確認。

工事を頼む会社は、どう選ぶのか

介護保険を使うなら、会社選びと見積りが、事前申請の準備を兼ねます。名古屋市は、どんな改修が必要かをケアマネジャーや施工事業者とよく相談し、「複数の見積りをとるなどして、改修に係る契約などにも十分注意しましょう」と案内しています。

  • 理由書をケアマネジャーに頼む:通知は、ケアマネジャーが、自ら設計・施工をしないのに本人から工事を請け負って事業者に一括下請けさせたり、住宅改修の事業者から仲介料・紹介料を取ったりすることは認められないとしています。理由書の作成費も、本人からは取れません。
  • 受領委任払いにしたい:名古屋市の場合、市に「受領委任払い取扱事業者」として登録された事業者の工事に限ります。大阪市は、平成28年度から、住宅改修を行う事業者を登録事業者に限っていないと書いています。
  • 会社の得意分野:リショップナビの記事は、バリアフリー改修や福祉施設の施工経験が豊富な事業者、福祉住環境コーディネーターが在籍するリフォーム会社が望ましいとし、実績のある複数の業者に問い合わせるよう勧めています。

費用の目安として、リショップナビの記事には、次の相場が載っています。公的な相場ではなく、同社の記事の表示です。

場所工事内容記事の費用相場
トイレ手すりの設置2〜18万円
トイレ扉を引き戸に交換4〜30万円
トイレ和式トイレを洋式トイレに変更15〜57万円
浴室段差解消5〜28万円
浴室手すりの設置0.5〜5万円
浴室すべりにくい床材に変更4〜20万円
玄関スロープ設置で段差を解消2〜45万円
玄関手すりの設置1.5〜13万円

同社の案内では、入力フォームから申し込むと、リショップナビから電話で詳しい希望の確認があり、希望に合う会社を最大5社紹介し、紹介後は会社から直接連絡が入る流れです。同社の記事は、バリアフリーリフォームが得意な業者なら、制度や申請方法のアドバイスもしてくれると書いています。ただし、紹介される会社のすべてが介護保険の事前申請の書類(見積書など)に対応するとは書かれていません。依頼する会社に、申請に使うことを先に伝えて確かめます。

出典:名古屋市「住宅改修費の支給」・「住宅改修費の支給に関する注意事項」、大阪市「高齢者住宅改修費給付事業」、厚生労働省通知(老企第42号)、リショップナビ「介護・バリアフリーリフォームの工事内容と費用」(2025年12月15日更新)・トップページの「ご利用の流れ」、2026年10月4日確認。

よくある質問

Q. 親がまだ要介護認定を受けていません。先に手すりをつけても、介護保険は使えますか?

A. 名古屋市は「要介護・要支援認定を受ける前に住宅を改修した場合は、支給を受けることができません」としています。一方で、新規の認定申請中や、入院・入所中に退院・退所を見込んで改修することは可能で、改修前に区役所へ相談するよう案内しています。認定が非該当になった場合や、退院しなかった場合は支給されません。ほかの市区町村の扱いは、窓口で確かめます。

Q. 賃貸の住まいでも、介護保険の住宅改修は使えますか?

A. 介護保険法施行規則第75条は、住宅の所有者が本人でない場合、所有者が改修について承諾したことが確認できる書類を、申請書類に添えるよう求めています。承諾書が要る、というのが原文の範囲です。貸主の許可の取り方は契約によるため、契約書も確かめます。

Q. 工事が終わってから、申請してもいいですか?

A. 施行規則は、住宅改修を行おうとするときに、あらかじめ申請書や見積りなどを出すよう定めています。名古屋市も、着工前に区役所または支所へ申請していることを支給の要件に挙げています。例外として、入院していた人が退院後の住まいで受け入れるために先に着工する必要がある場合など、やむを得ない事情があるときは、完了後に出せる定めがあります。

Q. 20万円を、2回に分けて使えますか?

A. 厚生労働省の通知は、支給限度額を「以前に支給された住宅改修費の額を支給限度基準額(20万円)から控除した額」としています。20万円に達するまでは、残りの額を使えるという書き方です。要介護度が変わっても、要介護から要支援に変わっても、この管理は続きます。

Q. 床に置くだけの手すりやスロープは、住宅改修の対象ですか?

A. 厚生労働省の通知は、工事を伴わない据置の手すりや、置くだけのスロープを、住宅改修ではなく福祉用具貸与の種目として分けています。ネジ等で居宅に取り付ける簡易なものは「工事を伴うもの」に含まれ、手すりの取付けに当たる場合は住宅改修の対象になると書かれています。どちらに当たるかは、ケアマネジャーか市区町村の窓口で確かめます。

Q. 介護保険の給付を受けた工事は、バリアフリー改修の減税も受けられますか?

A. 国税庁のNo.1220は、標準的な費用の額を、補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額で見ると書いています。介護保険の給付がこの「補助金等」に当たるかどうかは、このページには書かれていません。税務署か、増改築等工事証明書を作る建築士に確かめます。

参考・出典