本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。税率・標準税率は法令の原文(e-Gov法令検索)を2026年9月30日時点で確認したものです。
法人化はいくらから得か|利益300万〜1200万円で税・社会保険料を比較
「法人化はいくらから得か」を検索すると、法人税と所得税だけを比べた表がよく出てきます。 しかし実際の負担を決めているのは税だけではありません。役員報酬を受け取ると、国民健康保険・国民年金から 健康保険・厚生年金に切り替わり、この社会保険料が利益の大きさで効き方を変えます。 この記事では、税と社会保険料の合計で「個人事業のまま」と「法人化」を比べ、利益617万円前後が分岐点になることを計算で示します。 (前提:役員報酬は利益の50%。前提を変えると分岐点も変わります)
結論:利益617万円前後から法人化が有利になりやすい
個人事業のまま(青色申告特別控除65万円)と、法人化して役員報酬を利益の50%受け取る場合とで、 税・社会保険料を引いたあとの手取り(法人化は「役員報酬の手取り+法人に残る税引後利益」の合計)を比べました。
| 利益 | 個人事業のまま | 法人化(役員報酬50%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 2,338,116円 | 2,242,395円 | −10万円 |
| 500万円 | 3,832,699円 | 3,731,703円 | −10万円 |
| 700万円 | 5,078,363円 | 5,153,338円 | +7万円 |
| 900万円 | 6,321,984円 | 6,618,057円 | +30万円 |
| 1,200万円 | 8,214,179円 | 8,767,362円 | +55万円 |
単位:円(年額)。差額は「法人化の手取り相当額 − 個人事業のままの手取り」で、プラスが法人化有利です。 法人化の「手取り相当額」には、法人に残る内部留保(まだ現金化していない、しかしオーナーの資産である利益)を含みます。 法人側は法人税(軽減税率適用後)・法人住民税均等割・法人事業税(所得割)の合計で、地方法人税・特別法人事業税・ 法人住民税の法人税割は含めていません。含めれば法人側の負担はもう少し増えます。
利益500万円・700万円あたりでは差はわずかです。利益900万円になると 法人化のほうが年296,073円多く、利益1,200万円では年553,183円多くなります。 「利益500万円を超えたら即・法人化が得」ではなく、社会保険料まで含めると分岐点はもっと上にあります。
自分の利益に当てはめるには
ここでの「利益」は売上から経費を引いた金額で、売上と経費の内訳がどうであっても、同じ利益なら計算結果は変わりません。 直近1年の売上と経費が分かれば、その差額をこの記事の利益の欄に当てはめて読んでください。
個人事業のまま続けた場合の手取りをより細かい利益帯で確認したい場合は 年収別 手取り一覧(フリーランス・白色/青色)、 月単価から利益を見積もりたい場合は月単価別の手取り早見表で確認できます。
法人化を検討する前に確認すること
分岐点に近い利益が出ている、あるいは今後届く見込みがあるなら、次に気になるのは「相談したら何を聞かれるか」「費用はどこから発生するか」です。 この2つは法人にすれば国保料は下がるのか — 相談で何を聞かれ、どこから費用がかかるかにまとめています。 相談は無料で、その場で設立を決める必要はありません。
なぜ差が生まれるのか|社会保険料の性質の違い
国民健康保険料には賦課限度額(年930,000円。国民健康保険法施行令第29条の7)という頭打ちがあります。 利益がいくら増えても、国保料はこの額を超えません。
一方、役員報酬にかかる健康保険料・厚生年金保険料には、国保ほど低い頭打ちがありません。 役員報酬を高く取るほど、会社負担分・本人負担分のどちらも比例して増え続けます。 しかも会社負担分は、実質的に利益から出ていくお金です。 役員報酬の割合を大きくするほど、法人税が軽くなる効果より社会保険料が重くなる効果のほうが強く出る利益帯があります。 これが、税金だけを比べた表と、社会保険料まで含めた比較とで結論が変わる理由です。
役員報酬の割合で分岐点は動く
この記事の比較は「役員報酬は利益の50%」という前提に基づいています。この割合を変えると、分岐点も変わります。
- 役員報酬70%の場合:分岐点は利益1,261万円前後まで上がります。役員報酬を多く取るほど社会保険料の負担が重くなるためです。
- 役員報酬50%の場合:分岐点は利益617万円前後です(この記事の基準)。
- 役員報酬30%の場合:分岐点は利益423万円前後まで下がります。役員報酬を抑えて法人に利益を残すほど、法人化が有利になりやすい利益帯が広がります。
役員報酬をいくらにするかは、将来受け取る厚生年金の額や、当面の生活費として個人で受け取る必要のある金額にも関わります。 税・社会保険料だけで決められる話ではありません。
マイクロ法人|役員報酬を低く抑える仕組み
「マイクロ法人」は、個人事業と1人社長の法人を併用する形態の通称です。 事業の実質的な売上は個人事業(またはメインの事業)として扱い、法人では最低限の役員報酬だけを受け取ります。
役員報酬を年960,000円(月8万円)まで下げて計算すると、次のようになります。
| 利益 | 個人事業のまま | 法人化(役員報酬 月8万円) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 3,832,699円 | 3,916,810円 | +8万円 |
| 900万円 | 6,321,984円 | 7,106,679円 | +78万円 |
| 1,200万円 | 8,214,179円 | 9,210,954円 | +100万円 |
役員報酬を低く抑えるほど、会社負担・本人負担ともに健康保険・厚生年金の保険料が下がる仕組みがあります。 役員は、勤務時間にかかわらず報酬を受け取っていれば原則として健康保険・厚生年金への加入義務があります (従業員向けの週所定労働時間による加入判定の基準は、代表権を持つ役員には当てはまりません)。 報酬額を下げても加入義務そのものがなくなるわけではなく、下がるのは保険料の等級です。
一方で、法人を維持する限り、利益が出ていない年でも住民税の均等割は毎年70,000円発生します。 決算・申告の事務や税理士への顧問料といった、この記事の計算には含めていない追加コストもかかります。 節税になるかどうかは事業の実態や家族構成によっても変わるため、断定はできません。 自分の場合にどうなるかは、無料相談で確認できます。
よくある質問
Q. 法人化はいくらから得ですか?
A. 役員報酬を利益の50%取る前提では、利益617万円前後から法人化した場合の合計の手取り(役員報酬の手取り+法人に残る税引後利益)が個人事業のままより多くなります。利益500万円では法人化のほうが年100,996円少なく、利益900万円では法人化のほうが年296,073円多くなります。ただしこれは役員報酬の割合を変えると動く数字です。
Q. 役員報酬はどう決めればいいですか?
A. 本記事の計算では、役員報酬の割合を70%にすると分岐点は利益1,261万円前後まで上がり、30%にすると利益423万円前後まで下がります。役員報酬を多く取るほど厚生年金・健康保険の会社負担・本人負担がともに増えるため、法人化の効果は役員報酬の決め方に大きく左右されます。
Q. マイクロ法人とは何ですか?
A. 個人事業と1人社長の法人を併用し、法人からは最低限の役員報酬だけを受け取る形態を指す通称です。役員報酬を低く抑えるほど、会社負担・本人負担ともに健康保険・厚生年金の保険料が下がる仕組みがあります。一方で、法人には利益が出ていなくても住民税の均等割(年70,000円が標準額)が毎年かかり、決算・申告の事務や顧問料といった追加コストも発生します。節税になるかどうかは個々の事情によるため、税理士等の専門家に確認することをおすすめします。
Q. 赤字の年でも法人の税金はかかりますか?
A. 法人税・法人事業税は所得(利益)がなければ発生しませんが、法人住民税の均等割は赤字でも毎年発生します(地方税法第52条・第312条)。資本金1,000万円以下・従業者50人以下の標準額は道府県民税20,000円+市町村民税50,000円の合計70,000円です。
参考・出典
- 法人税の税率:法人税法 第66条(原則23.2%、資本金1億円以下の法人は所得800万円以下の部分19%)
- 中小法人の軽減税率:租税特別措置法 第42条の3の2(所得800万円以下の部分を15%に軽減。令和9年3月31日までに開始する事業年度)
- 法人住民税均等割の標準額:地方税法 第52条・第312条(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下は道府県民税2万円+市町村民税5万円)
- 法人事業税の標準税率:地方税法 第72条の24の7(資本金1億円以下の法人。所得400万円以下3.5%・400万円超800万円以下5.3%・800万円超7.0%)
- 給与所得控除(役員報酬にも適用):所得税法 第28条/国税庁 No.1410
- 賦課限度額:国民健康保険法施行令 第29条の7(医療分67万円+後期高齢者支援金等分26万円)
- 健康保険・厚生年金の保険料率:全国健康保険協会 令和8年度 都道府県毎の保険料率(当サイトの試算で使用)
※本ページの金額は、公表されている税率・標準税率から機械的に計算した概算です。 実際の税額・保険料は資本金の額、従業者数、自治体、役員報酬の決め方、他の経費で変わります。 地方法人税・特別法人事業税・法人住民税の法人税割は含めていません。断定的な税務判断は行っていません。 正確な金額は税務署または税理士等の専門家にご確認ください。