会社都合と自己都合、退職後の扱いはどう違う?
同じ「退職」でも、離職理由が会社都合(倒産・解雇・特定受給資格者など)か自己都合かで、失業給付を受け取れるタイミング・日数、国民健康保険料の軽減、退職金の額まで変わります。この記事では4つの違いを表で比べ、どういう場合に会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)と認められるのか、離職票の離職理由に納得できないときの対処法を解説します。
会社都合と自己都合、4つの違い
離職理由が会社都合になると、主に次の4点で自己都合より有利になります。
| 比較項目 | 会社都合 | 自己都合 |
|---|---|---|
| 給付制限 | なし(待期7日のみ) | あり(原則1か月、法律上は1〜3か月) |
| 所定給付日数 | 90日〜330日 | 90日〜150日 |
| 国保の軽減 | 非自発的失業の軽減あり | 通常の所得基準のみ |
| 退職金の支給率 | 会社都合の方が高い会社が多い | 自己都合減額の規定があることが多い |
所定給付日数は年齢と被保険者期間で変わります(ハローワーク 基本手当の所定給付日数)。国保の軽減は国保の7割・5割・2割軽減は自分が対象か、退職金の支給率の目安は退職金の手取り計算機で確認できます。
会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)になる条件
次のいずれかに当てはまれば、自分で「辞める」と伝えた場合でも会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)として扱われます。
- 長時間残業:離職前6か月のうちに、連続する3か月で月45時間、いずれか1か月で100時間、または連続する2か月以上の平均で月80時間を超える時間外労働があった場合
- 賃金不払い:退職手当を除く賃金の3分の1を超える額が、支払期日までに支払われなかった場合
- パワハラ・セクハラ:上司・同僚からの故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けた場合、事業主がハラスメントを把握しながら必要な措置を講じなかった場合
- 倒産・解雇:会社の倒産、事業所の廃止、自分の責めに帰すべき重大な理由によらない解雇
- 賃金の大幅な低下:予見できない事情で賃金が従前の85%未満に低下した場合
- 有期契約の雇止め:3年以上更新されてきた契約が更新されなかった場合、更新が明示されていたのに更新されなかった場合
ここまでに当てはまらない自己都合退職でも、体力の不足・心身の障害・疾病や、家族の介護・看護などやむを得ない事情があれば「特定理由離職者」として給付制限が免除されることがあります。判断基準はハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲に掲載されています。長時間残業の実態を振り返るには残業の上限は月45時間・年360時間、ハラスメントの記録の取り方はパワハラ・セクハラへの対処法で解説しています。
離職票の離職理由に異議を出す方法
離職票-2には、会社が記入した離職理由と、本人が離職理由に異議があるかを答える欄があります。会社が書いた理由(例:自己都合退職)に納得できない場合は、「離職者本人の判断」欄で「異議あり」を選び、具体的事情記載欄に自分の認識している経緯(長時間残業の実態、パワハラの内容など)を記入して提出します。ハローワークは会社への確認や提出書類をもとに離職理由を改めて判定します。異議が認められると、給付制限なしで会社都合として扱われます。判定に納得できない場合は、管轄のハローワークに相談してください。
関連する制度
よくある質問
会社から「自己都合」として離職票を渡されましたが、実態は解雇です。訂正できますか?
離職票の離職理由に異議がある場合、離職票-2の「離職者本人の判断」欄に○をつけ、具体的事情記載欄に自分の認識を書いて提出できます。ハローワークが会社への確認や資料の提出を求めたうえで離職理由を判定します。
会社都合退職だと転職やボーナスで不利になりますか?
会社都合退職であること自体が転職の合否に直接不利になるわけではありません。一方で会社側は倒産・解雇等を理由とする離職者数が多いと助成金の受給に影響するため、自己都合として処理したがるケースがあります。
早期退職優遇制度に応募した場合は会社都合になりますか?
事業主から直接・間接に退職を勧奨されて離職した場合は特定受給資格者になりますが、従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」に自分の意思で応募した場合は、原則としてこれに該当しません。
参考・出典
- e-Gov法令検索 - 雇用保険法(第33条)(2026年10月確認)
- ハローワークインターネットサービス - 基本手当の所定給付日数(2026年10月確認)
- ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(2026年10月確認)
※本ページの記載は一般的な制度の説明です。個別の離職理由の判定はハローワークが行います。