国民年金の追納とは|いつまで・加算額・年金がいくら増える・税金が戻る【令和8年度】
国民年金の追納とは、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料を、承認を受ける月の前10年以内なら後から納められる制度です。1年分を追納すると、老後の年金が年間で全額免除の期間なら約1万円、納付猶予・学生納付特例の期間なら約2万円増え、納めた保険料は社会保険料控除の対象になります。免除や学生納付特例の期間があり、将来の年金と家計を考える会社員の方に向けて、令和8年度の期限・加算額・税金が戻る額を日本年金機構・国税庁・e-Govの原文で整理しました。
いつまで追納できる?期限と加算額の表
追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等の期間です(国民年金法第94条第1項)。期限は月分ごとに決まり、その月の10年後の同じ月末が目安です。たとえば平成28年4月から平成29年3月までの免除等の期間がある方が令和8年10月末に申し込んだ場合、追納できるのは平成28年10月分以降です(日本年金機構の例)。
追納の対象は、全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間です。4分の3免除・半額免除・4分の1免除の期間は、残りの保険料を納付していないと追納できません。
| 免除等を受けた年度 | 追納の期限(月分ごと) | 加算額(1か月分) |
|---|---|---|
| 平成28年度 | 令和8年4月末〜令和9年3月末 | 590円(追納額16,850円) |
| 平成29年度 | 令和9年4月末〜令和10年3月末 | 580円(17,070円) |
| 平成30年度 | 令和10年4月末〜令和11年3月末 | 560円(16,900円) |
| 令和元年度 | 令和11年4月末〜令和12年3月末 | 540円(16,950円) |
| 令和2年度 | 令和12年4月末〜令和13年3月末 | 530円(17,070円) |
| 令和3年度 | 令和13年4月末〜令和14年3月末 | 500円(17,110円) |
| 令和4年度 | 令和14年4月末〜令和15年3月末 | 400円(16,990円) |
| 令和5年度 | 令和15年4月末〜令和16年3月末 | 250円(16,770円) |
| 令和6年度 | 令和16年4月末〜令和17年3月末 | なし(16,980円) |
| 令和7年度 | 令和17年4月末〜令和18年3月末 | なし(17,510円) |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(令和8年度中に追納する際の保険料額、全額免除・納付猶予・学生納付特例の月分)。カッコ内は令和8年度中に追納する場合の1か月分の額。加算額は、この追納額から日本年金機構「国民年金保険料の変遷」の当時の保険料を引いて当サイトで算出しました。期限は「10年後の同じ月末」の当サイト整理で、令和8年10月3日時点では、平成28年度分のうち4〜9月分の期限はすでに過ぎています。
- 加算額がつくのは3年度目以降:免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。令和5年度分は令和8年度が3年度目なので加算があり、令和6年度分は令和9年度から加算がつく計算です(毎年度の額は機構が告示で公表。施行令第10条)。
- 追納すべき額:各月の保険料の額に政令で定める額を加算した額です(国民年金法第94条第3項)。加算額は、平成28年度分の0.036から令和5年度分の0.015まで、年度ごとの率を当時の保険料にかけて決まります(施行令第10条)。
- 納付とみなされる日:追納が行われた日に、その月の保険料が納付されたものとみなされます(第94条第4項)。
免除・納付猶予の制度そのもの(所得基準・申請方法)は国民年金保険料の免除・納付猶予の記事にまとめています。
1年分を追納すると:増える年金と戻る税金の試算
学生納付特例を受けた令和元年度(平成31年4月〜令和2年3月)の12か月分を、令和8年度中に追納する場合の例です。
前提(当サイト試算):令和元年度分12か月を令和8年度中に追納/昭和31年4月2日以後生まれの老齢基礎年金の満額847,300円(令和8年度)で将来も同額と仮定/課税される所得金額が195万円超330万円以下で所得税率10%・住民税の所得割10%/復興特別所得税・年金額の改定・年金にかかる税や保険料は含めない
| 項目 | 金額(当サイト試算) |
|---|---|
| 追納額(16,950円×12か月) | 203,400円 |
| うち加算額(540円×12か月) | 6,480円 |
| 社会保険料控除で軽くなる税金(所得税10%+住民税10%) | 約40,700円 |
| 税金が軽くなった後の負担 | 約162,700円 |
| 増える老齢基礎年金(847,300円×12÷480) | 年約21,200円 |
- 増える年金:納付猶予・学生納付特例の期間は、追納しないと年金額に反映されません。追納すると納付済みの期間になり、1か月あたり満額の480分の1が加わります。日本年金機構の「約2万円」と同じ水準です。
- 受け取り始めてからの目安:追納額203,400円を年約21,200円で割ると約9.6年、税金が軽くなった後の負担約162,700円で割ると約7.7年です。年金は受け取り始めてから一生続きますが、受け取る期間は人によって違います。
- 全額免除の期間なら:追納で増える年金は年約1万円(機構)で、同じ額を払っても増える幅は学生納付特例の半分です。
- 税金の戻り方:所得税は年末調整や確定申告で、住民税は翌年度の税額で軽くなります。税率は課税所得で変わるため、上の額は目安です。
追納するかどうかは任意です。年金の受け取り見込みは、ねんきん定期便の見方を整理したねんきん定期便の見方の記事で確かめられます。
追納した保険料は年末調整・確定申告で控除できる
国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象で、追納した保険料も含まれます(日本年金機構)。国税庁のタックスアンサーNo.1130によると、控除できる金額はその年に実際に支払った金額の全額です。
- 会社員の場合:追納した年の年末調整で、「給与所得者の保険料控除申告書」の国民年金保険料の欄に書き、金額を証する書類(控除証明書)を添付または提示します。書き方は国民年金保険料の年末調整の記事にまとめています。
- 年末調整に間に合わなかった場合:確定申告で控除を受けられます(No.1130)。
- 控除証明書が届く時期:日本年金機構は、1月〜9月に納付した方へ10月下旬〜11月上旬ごろ、10月〜12月に納付した方へは翌年1月末〜2月ごろに送っています(令和7年分の送付日の例)。電子データの送付を選んだ方は書面が届きません。
- 過去の年分の保険料でも:本年中に支払ったものであれば、本年分の社会保険料控除の対象になります(No.1130の質疑応答Q1)。
追納申込書の出し方と納め方
- 追納申込書を用意する:日本年金機構の「国民年金保険料の追納制度」のページから「国民年金保険料 追納申込書」をダウンロードします。「ねんきんネット」の画面上で作成して印刷することもできます(電子申請ではないので、印刷した届書は年金事務所へ出します)。
- マイナンバーを確認できる書類を添える:窓口ならマイナンバーカードを提示します。郵送の場合はカードの表裏のコピーを付けます。カードがない場合は、通知カードか個人番号入りの住民票の写しと、運転免許証などの身元確認書類が必要です。
- 年金事務所に出す:窓口でも郵送でも受け付けています。街角の年金相談センターでは手続きできません。申込書を提出する根拠は、国民年金法施行令第11条です。
- 納付書で納める:申込のあとに日本年金機構から納付書が届きます。金融機関・コンビニ・Pay-easy・スマートフォンアプリで納めます。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」。申込書を追納期限の直前に提出すると、期限までに追納できなくなる場合があります。
追納できない場合と注意点
- 老齢基礎年金を受け取れる方:追納できません(国民年金法第94条第1項のかっこ書、日本年金機構)。
- 納め方の制限:口座振替・クレジットカード・ねんきんネットを活用した「納付書によらない納付」は使えません。
- 納める順序:原則として古い期間の保険料から納めます(機構)。免除の期間と、納付猶予・学生納付特例の期間の両方がある方は、納付する順序を年金事務所に相談します。法律上も、一部を追納するときは先に経過した月の分から順に行うと定められています(第94条第2項)。
- 一部免除の期間:残りの一部保険料を納付していないと追納できません。
- 追納しなくても受給資格期間には入る:納付猶予・学生納付特例の期間は、年金を受け取るための受給資格期間には数えられますが、追納しないと年金額には反映されません(機構)。
よくある質問
Q. 国民年金の追納は、いつまでにすればいいですか?
A. 追納が承認された月の前10年以内の免除等の期間が対象です(国民年金法第94条第1項)。月分ごとに見ると、その月の10年後の同じ月末が目安です。日本年金機構の図では、平成28年4月から平成29年3月までの免除等の期間を持つ方が令和8年10月末に追納を申し込んだ場合、追納できるのは平成28年10月分以降とされています。期限の直前に申込書を出すと間に合わなくなることがあるため、早めに年金事務所へ出します。
Q. 追納すると、加算額はいくらかかりますか?
A. 免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。令和8年度中に追納する場合の加算額は、平成28年度分が1か月590円、令和元年度分が540円、令和5年度分が250円で、令和6年度分と令和7年度分はかかりません(日本年金機構の追納保険料の表から当サイトで算出)。毎年度、額は変わります。
Q. 追納すると、年金はいくら増えますか?
A. 日本年金機構は、1年間分追納すると、全額免除の期間なら老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増えるとしています。納付猶予や学生納付特例の期間は、追納しないと年金額には反映されません。
Q. 追納した保険料は、年末調整で税金が戻りますか?
A. 追納した国民年金保険料は社会保険料控除の対象です(日本年金機構)。会社員の場合、追納した年の年末調整で、給与所得者の保険料控除申告書に控除証明書を添えて申告します。年末調整に間に合わなければ確定申告で申告できます。実際に戻る額は、所得税・住民税の税率で変わります。
Q. 追納は口座振替やクレジットカードでもできますか?
A. できません。追納申込書を提出したあとに日本年金機構から納付書が届くので、金融機関・コンビニ・Pay-easy・スマートフォンアプリで納めます。口座振替、クレジットカード、ねんきんネットを活用した「納付書によらない納付」は使えません。
Q. 65歳を過ぎてからでも追納できますか?
A. 老齢基礎年金を受け取ることができる方は追納できません(日本年金機構、国民年金法第94条第1項)。
Q. 親が子どもの追納分を払った場合、控除は誰が受けますか?
A. 国税庁のタックスアンサーNo.1130によると、生計を一にする親族の国民年金保険料を支払った場合は、支払った人の社会保険料控除の対象になります。学生納付特例の追納を親が払ったときの控除の扱いは、学生の子の年末調整の記事にまとめています。